ブラックダイヤモンドのベクター廃番!後継ヘルメット【3選】を解説!

ブラックダイヤモンドのベクター廃番!後継ヘルメット【3選】を解説!登山ギア・アクセサリー
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こんにちは、登山・トレッキング装備完全ガイドのRYUSEIです。

登山やクライミングの装備を探していると、時々「あのアイテム、良かったのになあ」と懐かしくなる名品がありますよね。「ブラックダイヤモンド ベクター」も、まさにそんなヘルメットの一つかなと思います。

あの独特のスタイリッシュなシルエット、今でもファンが多いと聞きます。ですが、いざ探してみると「あれ、売ってない?」となりますよね。そう、ベクターは現在「廃番」モデルなんです。

この記事にたどり着いたあなたは、「ベクターのレビューや口コミを調べていた」「中古でもいいから欲しい」「当時の価格はいくらだった?」「サイズ感、特にレディースモデルはどうだった?」といった情報を探していたのかもしれません。

この記事では、名品と謳われたベクターの魅力を振り返りつつ、中古品購入の注意点、そしてベクターの思想を受け継ぐ「現行の後継モデル」について、詳しく解説していきますね。

この記事でわかること

①ベクターが「名品」と呼ばれた理由と当時の仕様
②中古ヘルメット購入の具体的なリスクと注意点
③ベクターの正確なサイズチャートとフィッティング
④今選ぶべきベクターのおすすめ後継機種3選

名品ブラックダイヤモンドのベクター:魅力と機能美

ブラックダイヤモンドのベクター・名品ブラックダイヤモンドのベクター:魅力と機能美
登山・トレッキング装備完全ガイド:初心者入門イメージ

まずは、ブラックダイヤモンド ベクターが「名品」と呼ばれる理由を振り返ってみましょう。単に機能的だっただけではなく、多くのクライマーや登山者の心を掴み、なぜ今でも「名品」として記憶に残っているのか、その「特別な何か」を深掘りします。

✅「キノコにならない」レビューと口コミ
✅軽量性と通気性、ヘルメットの仕様
✅ベクターのサイズ感、レディースも解説
✅当時の価格と現在の中古相場
✅ベクターは廃番? 入手方法と注意点

「キノコにならない」レビューと口コミ

ベクターに関するレビューや口コミで、最も多く、そして熱烈に語られたのが「シルエットの美しさ」です。

従来の登山用ヘルメット、特に耐久性を重視したABS樹脂製のモデルは、衝撃吸収スペースとシェルの厚みの関係で、どうしても構造的に丸く、大きく見えがちでした。これが、俗に「キノコみたい」 と揶揄される原因だったんですね。

私自身、昔使っていたヘルメットがまさにそれで、山頂で撮った写真を見返すたびに、頭でっかちな自分にちょっと残念な気持ちになったものです。その点、ベクターはサイドがスッキリとした洗練されたデザインを採用していました 。

これは、後述する「インモールド構造」によってシェル自体を薄くできたことと、計算されたデザインの賜物です。この「キノコにならない」スタイリッシュさが、山での気分を上げ、写真写りも良くしてくれるという体験価値も含めて、機能性以上にユーザーから絶大な支持を受けた最大の理由かなと思います。

軽量性と通気性、ヘルメットの仕様

もちろん、デザインだけでなく登山用ヘルメットとしての基本機能も、当時としては非常に高いレベルにありました。

インモールド構造と軽量性

ベクターは、アウターシェルとなるポリカーボネイトシェルと、衝撃吸収材であるEPSフォーム(発泡スチロールのような素材)を、金型の中で「一体成型」する「インモールド構造」を採用していました 。これにより、接着剤などが不要になり、強度バランスを保ちながらヘルメット全体を大幅に軽量化できたんです。

その重量は、S/Mサイズでわずか230g 。これは、現行のハイエンドモデルと比較しても遜色ないレベルの軽さであり、当時のヘルメットとしては画期的なスペックでした。首への負担が少なく、長時間の行動でも疲れにくいという大きなメリットをもたらしました。

卓越したベンチレーション

さらに、前後に合計8箇所も大きなベンチレーター(通気孔)が効果的に配置されていました 。これにより、行動中にヘルメット内部にこもる熱や湿気を、空気の流れ(エアフロー)によって効率的に排出。暑い夏場のクライミングや、汗をかく登攀(とうはん)中も、頭部を快適な状態に保ってくれました。

その他の主な仕様

アジャスター: 後頭部にはラチェット式アジャスターを搭載。グローブをしたままでも素早く、確実なフィット感の調整が可能でした 。

ヘッドランプクリップ:シェルと一体化したデザインで、引っかかりが少なく、かつ確実にヘッドランプを固定できる構造でした 。

安全基準:もちろん、CE(欧州安全基準)UIAA(国際山岳連盟)といった、登山・クライミングにおける国際的な安全基準をクリア しており、デザインだけでなく安全装備としての信頼性も高いモデルでした。

ベクターのサイズ感、レディースも解説

中古での購入を検討する際、一番気になるのがサイズ感ですよね。フィットしないヘルメットは、安全性を損なうだけでなく、不快感でしかありません。

公式サイズチャートの確認

ベクターは主にS/MとM/Lの2サイズ展開でした。まずは公式のサイズチャートを確認してみましょう 。

フィッティング
ブラックダイヤモンドのヘルメットは、頭のサイズや被りものに対応
するために、サイズを調整することができます。

ハーフドーム:S/M=48〜57㎝
M/L=55〜61.5㎝

ベクター:S/M=53〜59㎝
M/L=58〜63㎝
ウィメンズベクター:53〜59㎝

ヘルメットのサイズを測る際は、メジャーを使って、眉毛の上約1インチ(約2.5cm)の、頭が最も出っ張っている部分の周囲を測るのが基本です 。

ウィメンズモデルとS/Mサイズ

「ベクター ウィメンズ」 というレディースモデルもラインナップされていました。これについて、あるユーザーレビューに非常に興味深い記述があります。それは、「S/Mサイズだとウィメンズも設計が同じ」というものです 。

これは、S/Mサイズに関しては、標準モデルとウィメンズモデルでフィット感やシェルの設計は共通であり、主な違いはカラーバリエーションだった可能性が高いことを示しています 。中古市場でS/Mサイズを探している方にとっては、「ウィメンズモデルだから」と敬遠する必要がなく、むしろカラー選択の幅が広がる という有益な情報ですね。

フィッティングの豆知識

ヘルメットのサイズ選びでは、ご自身の登山スタイルも考慮に入れる必要があります。
あるレビューでは、購入時に店員さんから「厳冬期もやるならバラクラバ(目出し帽)をつけた上から被る想定で選んだほうがいい」とアドバイスされたそうです 。

冬山登山やアイスクライミングなどで、ヘルメットの下に防寒用のバラクラバや厚手のビーニー(ニット帽)を着用する場合、その分の厚み(数ミリ~1cm程度)を考慮しないと、ヘルメットが窮屈で被れなくなってしまいます。

ご自身の頭囲がサイズ(例:S/M=53-59cm)の上限に近い場合、インナーを考慮するとワンサイズ上げた方が良いケースもあるので注意が必要ですね。

当時の価格と現在の中古相場

ベクターの価値を判断するために、価格も見ておきましょう。

当時のメーカー希望小売価格は 11,990円(税込)でした 。これは、エントリーモデル(現行ハーフドームは9千円台 )よりは高く、ハイエンドモデル(現行ベイパーは2万円超 )よりは手頃な、アッパーミドルクラスの位置づけだったと言えます。

実際の購入者のレビューでは、2021年時点で9,130円で購入したという記録もあり 、ショップのセールなどでお得に入手できた時期もあったようですね。

では、廃番となった現在の「中古相場」はどうでしょうか。Yahoo!オークションの過去の落札データ(約7件)を見ると、平均落札価格は 5,054円となっています 。

定価の半額以下で取引されていることがわかります。メルカリなどでも取引履歴が見られ 、中には7,500円 といった、状態の良いものが高値で取引されているケースもあるようです。

ベクターは廃番? 入手方法と注意点

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ここまでベクターの魅力を熱く語ってきましたが、本題です。結論から言うと、ベクターは完全に「廃番」モデルです 。ブラックダイヤモンドの現行ヘルメットラインナップに、ベクターの名前はありません 。

したがって、現在ベクターを入手する方法は、フリマアプリやオークションサイトといった中古市場以外にありません 。

しかし、ここで非常に重要な、安全に関わる注意喚起があります。

最重要】中古ヘルメット購入の3大リスク

ヘルメットは、万が一の際に落石や滑落時の頭部強打から命を守る、最重要の「安全装備」です。デザインや価格だけで中古品に手を出すことには、深刻なリスクが伴います。

  1. 見えない衝撃のリスク
    ヘルメットの衝撃吸収材であるEPSフォームは、一度大きな衝撃を受けて潰れると、二度と元には戻らず、その部分の衝撃吸収性能を完全に失います。外見上はシェルに傷一つなくても、内部で破損している可能性はゼロではありません。
  2. 経年劣化のリスク
    シェルの素材であるポリカーボネイトや、ストラップ(ナイロン等)は、樹脂製品です。使用頻度に関わらず、紫外線や空気、汗などにさらされることで、時間とともに必ず劣化(硬化・脆化)していきます。見た目はキレイでも、本来の強度が失われている可能性があります。
  3. 耐用年数の超過リスク
    多くのヘルメットメーカーは、製品の耐用年数を「未使用・適切な保管でも製造から5~10年」「使用開始から3~5年」などと定めています。ベクターが流通していた時期(2021年のレビュー があることなどから逆算)を考えると、市場に出回っている中古品の多くは、この耐用年数をとっくに過ぎている可能性が極めて高いです。

※安全性が保証されないヘルメットを使用することは、万が一の際に命取りになります。この点を十分に理解した上で、購入を判断する必要があります。

ブラックダイヤモンドのベクター:後継を探す

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中古のリスクを理解した上で、「それでもベクターが持っていた“軽量性”や“スタイリッシュなシルエット”を諦めたくない」というのが本音ですよね。わかります。

そこで、ベクターのDNAを受け継ぎ、かつ現代の安全基準を満たした「現行の後継モデル」を選ぶのが最も賢明な選択だと私は思います。ここでは、後継候補となる3つのモデルをピックアップして徹底比較します。

✅後継候補①:ビジョン ヘルメット
✅後継候補②:ベイパー ヘルメット
✅定番モデル:ハーフドーム ヘルメット
✅比較レビュー:シルエットとサイズ感
✅総括:ブラックダイヤモンドのベクター

後継候補①:ビジョン ヘルメット

引用元:メルカリ

ベクターの直接的な後継モデルとして、私が最も有力だと考えているのが「ビジョン」です。

ビジョンは、ブラックダイヤモンドのヘルメットラインナップの中で「最も堅牢」と位置づけられています 。その秘密は、EPPとEPS、そしてABSシェルを組み合わせた「複合シェル構造」にあります 。

衝撃を受けやすい頭頂部にABSシェル 、側面や後頭部に弾力性のあるEPPフォーム 、そしてベースに軽量なEPSフォーム をハイブリッドさせることで、UIAA(国際山岳連盟)の安全基準 (※ではUIAA準拠と明記)も満たす高い保護性能を実現しています。

驚くべきは、これだけ頑丈でありながら、重量はS/Mサイズで220g と、ベクター(230g) よりもさらに軽量化されている点です。シルエットもベクター譲りのスッキリしたデザインで、まさに「ベクターの正当進化モデル」と呼ぶにふさわしい逸品です。

ビジョン (Vision)

特徴: 最も堅牢かつ軽量なオールラウンドモデル
重量(S/M): 220g
価格(税込): 15,290円 (出典:ロストアロー「ビジョン」)

後継候補②:ベイパー ヘルメット

引用元:石井スポーツ

「ベクターも良かったけど、もうひとランク上のモデルも気になっていた」という方には、「ベイパー」がおすすめです。

ベイパーは、ブラックダイヤモンドの最軽量ハイエンドモデル です。まさに、ベクターユーザーが「あっちの方がデザインかっこいいかも」 と憧れた存在かもしれませんね。

S/Mサイズの重量はわずか188g と、ビジョン(220g) やベクター(230g) と比較しても突出した、圧倒的な軽さを誇ります。価格は22,990円(税込) と高価ですが、これは究極の軽量化のために高価な素材や複雑な構造を採用しているため。

「1gでも軽くしたい」と考えるアルパインクライミングやスピード重視の登山者にとって、これ以上の選択肢はないかもしれません。

ベイパー (Vapor)

特徴: 究極の軽量性を誇るハイエンドモデル
重量(S/M): 188g
価格(税込): 22,990円

定番モデル:ハーフドーム ヘルメット

引用元:LOST ARROW

「軽量性やシルエットも大事だけど、まずはコストパフォーマンスと“とにかく頑丈”なヘルメットが欲しい」という方には、定番の「ハーフドーム」も選択肢になります。

ABS樹脂を使ったハードシェル構造 で非常に頑丈。インモールド構造などと比べて重量は330g(S/M) と重くなりますが、岩場などでガンガン使っても安心感があります。価格も9,240円(税込) と、現行モデルの中では最も手頃で、初めてのヘルメットとしても絶大な人気を誇ります。

ただし、先に述べた通り、シルエットはベクターのようなスッキリ感は薄れ 、丸みを帯びた伝統的な形状です。ベクターの代替として「デザイン性」を求めている方にはミスマッチかもしれません。

ハーフドーム (Half Dome)

特徴: 高耐久・高コスパの定番モデル
重量(S/M): 330g
価格(税込): 9,240円

比較レビュー:シルエットとサイズ感

さて、3つの後継候補を比較してみて、結局どれを選ぶべきか。ここで一度、情報を整理してみましょう。

シルエットの比較

ベクターの最大の魅力であった「キノコにならない」 というシルエットを求めるなら、やはりビジョンかベイパーの2択になるかなと思います。

ハーフドームは、その構造上、どうしてもシェルが厚く、丸みを帯びた伝統的なヘルメットの形状 に近くなります。頑丈さと価格は魅力ですが、ベクターのデザイン性を求めている方にはミスマッチかもしれません。

スペックの徹底比較

ベクターと現行後継候補3モデルのスペックを一覧表にまとめます。ご自身の優先順位(軽さ? 堅牢性? 価格?)と照らし合わせてみてください。

モデル名ベクター (廃番)ビジョン (Vision)ベイパー (Vapor)ハーフドーム (Half Dome)
位置づけ軽量・スタイリッシュ最堅牢・オールラウンド最軽量・ハイエンド定番・高耐久・高コスパ
構造インモールド (PC+EPS)複合シェル (EPP+EPS+ABS)ハイブリッドハードシェル (ABS+EPS)
重量 (S/M)230g220g188g330g
価格 (税込)11,990円15,290円22,990円9,240円
シルエットスッキリ (高評価)スッキリ (ベクター似)非常にスッキリやや大きめ(伝統的)

サイズ感の注意点

サイズ感については、ビジョン もベイパー もベクター と同様にS/M(53-59cm)、M/L(58-63cm)の2サイズ展開が基本です。(※ハーフドームはサイズ展開が異なります )。

そのため、ベクターでS/Mだった方はビジョンやベイパーでもS/Mがフィットする可能性は高いです。ただし、同じサイズ表記でも、シェルの内部形状(幅が広い、前後が長いなど)はモデルによって微妙に異なることがあります。

「ベクターでS/Mだったから」と通販で即決せず、可能であれば必ず店頭で試着(フィッティング)することを強くおすすめします。

総括:ブラックダイヤモンドのベクター

「ブラックダイヤモンド ベクター」は、間違いなく一時代を築いた名品ヘルメットでした。その洗練されたデザインは、今でも魅力的ですよね。

しかし、本記事で繰り返しお伝えしてきた通り、安全装備であるヘルメットの耐用年数を考えると、私は中古品 を探すよりも、現行モデルを選ぶことを強く推奨します。

ベクターの魅力であった「軽量性」と「スタイリッシュなシルエット」を継承し、さらに「安全性」を現代の基準でアップデートしたモデルを選ぶべきです。

RYUSEIのおすすめ代替モデル

バランス最強の正当後継: ビジョンベクターより軽く、BD史上最も堅牢 。価格と性能のバランスが最も優れています。

究極の軽さとスタイル:ベイパー予算が許すなら。圧倒的な軽さとデザイン性を追求するハイエンドな選択肢。

特に「ビジョン」は、ベクターが持っていた美点をほぼ全て受け継ぎながら、弱点であった(かもしれない)堅牢性を最大限に高めたモデル です。ベクターを探していた方にとって、最も満足度の高い、そして何より安全な選択肢になるのではないでしょうか。

これらの現行モデルを購入の際は、ブラックダイヤモンド製品の正規輸入代理店である「株式会社ロストアロー」 の正規取扱店を選ぶと、製品保証やアフターサービスの面でも安心ですね。最終的な判断は、ご自身の安全のために、慎重に行ってください。

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