富士山で何キロ歩く必要がある?4ルートの距離と登山計画の立て方!

登山の知識・計画関連
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日本一の山、富士山に挑戦しようと思ったとき、まず気になるのが「富士山で何キロ歩く必要があるのか?」という点ではないでしょうか。登山に慣れていない方にとって、数キロという距離が山道ではどれほどの負担になるのか、想像するのはなかなか難しいものですよね。

また、富士山では登山口によって歩行距離が大きく異なりますし、登山にかかる時間や必要な持ち物も変わってきます。日帰りでの挑戦を考えているのか、それとも山小屋に泊まってゆっくり登るのかによって、準備の仕方も全く別物になります。

この記事では、富士山の主要4ルートそれぞれの歩行距離や難易度の違い、さらには山頂での「お鉢巡り」や、最近話題の海抜0メートルから登るルートについても詳しく解説していきます。

富士山で何キロ歩く必要があるのか?という基本的な疑問を解消しつつ、筆者の経験を交えながら、安全で楽しい富士登山を実現するための具体的なアドバイスをお届けします。体力に自信がない方も、しっかりとした計画を立てれば登頂のチャンスは十分にありますので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。

平地と富士山での歩行における疲労度の違いを比較したイラスト。富士山の1kmは平地の4〜5倍の疲労感があることを示している
富士山と平地の疲労度比較

この記事でわかること

①主要4ルートの歩行距離と難易度の違い
②山頂の「お鉢巡り」に必要な距離と時間
③海抜0メートルから目指す過酷なルートの全貌
④体力に合わせた登山ルートと計画の立て方

富士山で何キロ歩く?選ぶ登山ルートで決まる!

登山・トレッキング装備完全ガイド:初心者入門イメージ

富士山には大きく分けて4つのルートがありますが、どこから登り始めるかで歩く距離は倍以上変わってきます。ここでは、各ルートが持つ物理的な距離の数字と、実際に歩いた時に感じる「体感的なキツさ」について、筆者の見解を交えて深掘りしていきますね。

✅標高差と距離から見る主要4ルートの難易度比較
✅吉田ルートの距離と登山口からの所要時間
✅最短距離で登れる富士宮ルートの歩行負荷
✅須走ルートの樹林帯と砂走りの距離的特徴
✅最長距離の御殿場ルートを歩き抜くための計画

標高差と距離から見る主要4ルートの難易度比較

富士登山の基本となるのは、山梨県側の「吉田ルート」と静岡県側の「富士宮ルート」「須走ルート」「御殿場ルート」の4つです。これらはスタート地点となる五合目の標高がバラバラなので、当然ながら歩く距離も累積標高差も異なります。

吉田・富士宮・須走・御殿場の主要4ルートの始点標高、登り・下りの距離、目安タイムをまとめた比較表。
富士山主要4ルートの距離と所要時間一覧

【重要】富士山主要4ルートの距離・目安タイム比較表

ルート名登山口標高登り距離下り距離登りタイム下りタイム
吉田ルート約2,305m約6.8km約7.0km約6時間約4時間
富士宮ルート約2,380m約4.3km約4.3km約5時間約3時間
須走ルート約1,970m約7.8km約6.2km約6.5時間約3時間
御殿場ルート約1,440m約10.5km約8.4km約9時間約4時間

※数値は環境省発表の資料等を基にした目安です。混雑状況や体力により1〜2時間は容易に変動します。

この表をじっくり見ると、最も距離が短いのは富士宮ルート最も長いのは御殿場ルートであることが分かります。御殿場ルートは富士宮ルートの2倍以上の距離を歩く必要があるだけでなく、登山口の標高が低いため、獲得しなければならない標高差も非常に大きくなります。

登山において「距離が長い」ということは、それだけ重い荷物を背負って高所環境にさらされる時間が長くなることを意味します。これは単なる疲労だけでなく、天候急変時のリスク露出時間が増えることにも繋がるので、ルート選びは慎重に行うべきですね。

また、富士山の地質は「火山砂利」がメイン。平地の1kmと同じ感覚で計算すると、間違いなく痛い目を見ます。一歩踏み出すごとに足元がわずかに沈み込むため、推進力が削がれるからです。

筆者の感覚では、富士山の1kmは平地の4〜5km分くらいの疲労感があるなと感じています。初心者の皆さんは、まずこの距離の「質」の違いを意識することから始めてみてください。

吉田ルートの距離と登山口からの所要時間

富士山で最も人気があり、全登山者の約半数以上が利用するのが吉田ルートです。登りの距離は約6.8kmで、標準的なペースなら約6時間かけて登ります。

このルートがなぜ選ばれるのかというと、山小屋の数が圧倒的に多いからですね。救護所も充実しており、初めて富士山に挑戦する方にとっては、数キロごとに休憩ポイントがあるのは精神的に非常に大きな支えになります。

吉田ルートの構造的特徴

夜間に多くの登山者がライトを点けて山頂を目指す吉田ルートの様子。メリットとして山小屋の多さ、デメリットとして渋滞が挙げられている。
吉田ルートの夜間登山の様子と特徴

吉田ルートは六合目付近までは比較的緩やかですが、そこから先は延々とジグザグの道が続きます。道幅は比較的広く整備されていますが、ピークシーズンには数千人の登山者が集中するため、「渋滞」が発生します。

この渋滞が厄介で、自分のペースで歩けないために余計な体力を消耗したり、冷え固まったりすることもあります。距離自体は7km弱ですが、渋滞を加味すると8時間近くかかる日もあるので、時間に余裕を持った計画が必須です。

下山道の「落とし穴」

下山道は約7.0kmと、登りよりも少し長めに設定されています。吉田ルートの下山専用道は、ブルドーザーが通るための道を歩くことが多く、視覚的に変化の乏しい砂利道が数時間続きます。

足元が滑りやすく、膝への衝撃が蓄積されるため、登りよりも下りで膝を痛める人が多いのが実情です。登頂して満足した後の7kmは、精神的にかなりハードですので、最後まで気を引き締めていきましょう。

最短距離で登れる富士宮ルートの歩行負荷

富士宮ルートは、五合目の標高が2,380mと全ルートの中で最高地点にあります。そのため山頂までの歩行距離は約4.3kmと最短。数値だけ見れば「一番楽そう」に見えますが、実際はそう甘くありません。このルートは全体的に傾斜が非常に急で、ゴツゴツとした岩場が多いのが特徴です。

垂直方向への負荷と高山病リスク

富士宮ルートの急な岩場を登る登山者。最短ルートゆえの急登と高山病リスクへの注意喚起が記載されている。
富士宮ルートの急勾配な岩場

距離が短いということは、それだけ急激に高度を上げるということ。一歩あたりの段差が大きいため、太もも(大腿四頭筋)への負担は他ルートより確実に大きくなります。

また、短時間で一気に標高を上げてしまうため、体が気圧の変化についていけず、高山病を発症しやすいルートとも言われています。筆者もこのルートを登る時は、あえて五合目で1時間以上滞在して体を慣らすようにしています。

混雑時のストレス

富士宮ルートは登山道と下山道が同じ一本道です。道幅が狭い箇所での「登り優先」の譲り合いや、すれ違い待ちが頻繁に発生します。

リズムが崩れると疲労が溜まりやすいため、距離の短さに惑わされず、十分な休息と水分補給を心がける必要があります。膝に不安がある方は、登り坂の衝撃を和らげるトレッキングポールの使用を強くおすすめします。

須走ルートの樹林帯と砂走りの距離的特徴

須走ルートは、富士山の多様な表情を最も楽しめるルートかもしれません。登りの距離は約7.8kmと吉田ルートより長めですが、七合目付近まで広がる豊かな樹林帯が特徴です。

他のルートは五合目から森林限界を超えていることが多いですが、須走ルートは木々に囲まれて歩くため、強風や直射日光から守られ、体温調整がしやすいという隠れたメリットがあります。

須走ルートの行程変化

最初は土の道や樹林の中を歩き、高度を上げるにつれて砂利道、そして岩場へと変化していきます。

八合目からは吉田ルートと合流するため、そこからの1km強は急激に混雑し、ペースダウンを余儀なくされます。静かな森歩きと賑やかな岩場登りの両方を体験できる、非常にコントラストの強いルートですね。

須走ルートの特徴である豊かな樹林帯と、下山時の砂走りの様子。スパッツの着用が推奨されている。
須走ルートの樹林帯と砂走り

名物「砂走り」の爽快感

下り(約6.2km)の最大の見どころは「砂走り」です。ふかふかの火山灰地に足を沈ませながら、一歩で数メートル進むような感覚で駆け下りることができます。登りでは苦労する砂地が、下りでは最高のクッションになり、膝への衝撃を劇的に軽減してくれます。

ただし、調子に乗ってスピードを出しすぎると転倒の危険があるほか、靴の中に砂が大量に入り込むため、スパッツ(ゲイター)の装着は絶対です。砂埃対策にマスクやゴーグルも用意しておくと完璧ですよ。

最長距離の御殿場ルートを歩き抜くための計画

御殿場ルートは、まさに「修行の道」と呼ぶにふさわしいルートです。登山口の標高が1,440mと極めて低く、山頂までの距離は約10.5km。

これは五合目スタートの富士宮ルートの約2.4倍に相当します。さらに標高差も2,300m以上あり、標準コースタイムも登りだけで9時間前後。日帰りで挑戦するには超人的な体力が必要です。

視覚的な絶望感と精神力

御殿場ルートを歩く際に最も辛いのは、先の見えすぎる景色です。遮るものがない広大な砂礫の斜面が続き、山小屋が遥か遠くに見えます。

「歩いても歩いても近づかない」という感覚は、精神的な消耗を加速させます。また、山小屋の数が極端に少なく、一度トラブルが起きると自力で何とかしなければならない場面が多いため、装備の選択も非常に重要になります。

御殿場ルートの広大な砂礫の道。圧倒的な距離と標高差、山小屋の少なさなど上級者向けの修行の道であることを示している
御殿場ルートの果てしない道

大砂走りという報酬

しかし、苦労して登りきった者だけが味わえる「大砂走り」は、富士山で最もダイナミックな下山体験です。約7kmに及ぶ砂の坂道を飛ぶように下ることができ、登りの苦労が嘘のように数時間で登山口まで戻ってこれます。

筆者も初めて体験した時は、そのスピード感に驚きました。このルートを選ぶなら、少なくとも前日は麓でしっかり休息を取り、早朝(あるいは深夜)から余裕を持ってスタートする計画を立ててください。

富士山で何キロ歩く?距離を知り安全な登山計画を!

登山・トレッキング装備完全ガイド:初心者入門イメージ

登山口から山頂までの距離だけを計算して安心するのは禁物です。富士登山の本当の醍醐味、あるいは本当の試練は、山頂に到達した後に待っている場合があるからです。

✅山頂のお鉢巡りで歩く距離と高度な環境のリスク
✅海抜0メートルから42キロ歩くルート3776
✅富士山麓を一周するウォーキングの距離と魅力
✅まとめ:富士山で何キロ歩く?

山頂のお鉢巡りで歩く距離と高度な環境のリスク

山頂に辿り着いた安堵感から忘れがちなのが「お鉢巡り」の距離です。富士山頂は巨大な火口を一周できるようになっており、その距離は約2.4km〜3.0kmあります。標準的な所要時間は約1時間半から2時間ですが、これはあくまで「歩くだけ」の時間です。

お鉢巡りの構造的負荷

富士山火口を一周するお鉢巡りのマップ。剣ヶ峰や山頂郵便局の位置、一周約2.4kmから3.0kmの距離があることを説明している
富士山頂お鉢巡りルートマップ

山頂での歩行は、海抜3,700mを超える超高所で行われます。酸素濃度は平地の約3分の2。この環境下での3kmは、平地での10km歩行に匹敵する負荷が心肺機能にかかります。

また、日本最高地点の「剣ヶ峰」へは、通称「馬の背」と呼ばれる非常に滑りやすく急な坂を登らなければなりません。登頂直後の疲労した足に、この2.4kmのアップダウンは想像以上に堪えます。

【注意】山頂でのタイムスケジュール

お鉢巡りをするなら、以下の時間をプラスで考慮しておく必要があります。

  • 剣ヶ峰での写真撮影待ち:30分〜1時間(混雑時)
  • 神社での参拝や御朱印:15分
  • 山頂郵便局からの投函:15分
  • 休憩・食事:30分

これらを合計すると、山頂に3時間以上滞在することになります。下山に要する体力と、最終バスの時間から逆算した判断が不可欠です。天候が急変した場合は、お鉢巡りを断念する勇気を持ちましょう。

海抜0メートルから42キロ歩くルート3776

近年、熟練ハイカーの間で話題となっているのが、駿河湾の海抜0メートル地点から富士山頂を目指す「富士山登山ルート3776」です。その総歩行距離は約42km。フルマラソンの距離を、垂直方向に3.7km以上登りながら進むという、日本屈指のロングトレイルです。

旅としての富士登山

このルートは静岡県富士市の「ふじのくに田子の浦みなと公園」などを起点とし、市街地を抜け、茶畑を通り、森林地帯を越えて五合目、そして山頂へと繋がります。自身の足跡が海から山頂まで一本の線で繋がる達成感は、他のどのルートでも味わえない格別なものです。

推奨されるスケジュールは3泊4日。これはもはや「登山」という枠を超えた「冒険」に近いですね。市街地走行のためのランニングシューズと、登山道用のトレッキングブーツの両方を用意するなどの工夫も必要になります。

歴史的な背景を辿れば、昔の「富士講」の人々は皆、麓から歩いて登っていました。例えば「吉田口登山道」も、北口本宮冨士浅間神社を起点にすれば、山頂まで20km近い道のりになります。

距離が長ければ長いほど、富士山の巨大さを全身で感じることができるのは間違いありません。体力に自信のある方は、ぜひ一生に一度の挑戦として検討してみてください。

海抜0mから山頂を目指す全長約42kmのルート3776と、山麓を一周する約200kmのウォーキングコースの図解。
ルート3776と富士山麓一周コース

富士山麓を一周するウォーキングの距離と魅力

「登るのは体力的に厳しいけれど、富士山のパワーを感じたい」という方におすすめなのが、富士山の裾野を歩くウォーキングです。山麓をぐるりと一周するルートの総延長は約200kmに及びます。登山道のような過酷な酸素不足はありませんが、その圧倒的な距離は、また別の達成感を与えてくれます。

分割踏破という楽しみ方

200kmを一度に歩くのは現実的ではありませんが、多くのウォーキング愛好家は、全10〜18回程度に分けて数ヶ月から1年かけて一周する「分割踏破」を楽しんでいます。

1回あたり10km〜15km程度なら、体力に自信がない方でも無理なく続けられますよね。ルート沿いには構成資産である湖や神社、洞窟などの名所が点在しており、富士山の文化的な深さを知ることができます。

一方で、一気に歩き通す「アクトレップ:富士山一周ウルトラウォーキング(125km)」のような超過酷なイベントも存在します。舗装路を長時間歩くため、登山靴よりもクッション性の高いウォーキングシューズが適しています。登頂だけではない富士山の楽しみ方が、この「距離」の中に詰まっています。

まとめ:富士山で何キロ歩く?

富士山で何キロ歩くか?という問いの答えは、選ぶルートによって最短約8.6km(富士宮往復)から最長約42km(ルート3776)までと、非常に幅があることが分かりました。一般的な五合目からの登山であっても、標高、傾斜、酸素濃度という特殊な変数が加わるため、数字以上の重みがあることを忘れないでください。

失敗しないための距離計算のポイント

  • 「登りの距離 + 下りの距離 + お鉢巡り3km」で総距離を算出する
  • 歩行速度は「時速1.5km」を基準に、余裕を持った時間を割り出す
  • 下山時の膝への負担を考え、距離が長くてもクッション性の高いルート(須走・御殿場)を選ぶ選択肢も持つ

富士山登山における疲労度やエネルギー消費量は、平地での歩行の数倍に達するというデータもあります(出典:山梨県『富士登山を安全に楽しむために』)。

最終的なルート決定は、ご自身の体力や経験、そして当日の天候を冷静に判断して行ってください。「何キロ歩いたか」よりも「どれだけ安全に、深く富士山を感じられたか」こそが、最高の思い出になるはずです。

もし装備の重さや靴の選び方で迷ったら、当サイトの他の記事も参考にしてみてくださいね。あなたの富士登山が、素晴らしいものになるよう応援しています!

※登山道は気象条件等により閉鎖される場合があります。正確な最新情報は、必ず富士登山オフィシャルサイトを確認してください。また、体調に不安を感じた際は、無理をせず専門医の診断を受けるようにしましょう。

富士登山の総距離計算公式(登り+下り+お鉢巡り)と、安全に歩くためのマインドセットをまとめたイラスト。
安全な富士登山の計画と心得
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