アークテリクスのアトムやゴアテックスジャケットは、高機能であるからこそ、お手入れに悩む方も多いのではないでしょうか。「高価なウェアを洗濯して傷めてしまわないか」「そもそも家庭でも洗濯できるのか？」といった不安を感じるのは自然なことです。
しかし、実はアークテリクスは製品の性能を維持し、長く愛用してもらうために、定期的な洗濯を推奨しています。この記事では、なぜ、洗濯したほうがいいのかという根本的な理由から、適切な洗濯頻度や洗濯洗剤の選び方まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
ゴアテックスの洗濯は裏返しにするべきかといった細かい疑問、製品を長持ちさせる洗濯方法、そして乾燥機どうする？という乾燥のポイントまで、具体的な手順を追って説明します。さらに、アトムだけでなく扱いが難しいダウン製品の洗濯方法や、専門店に任せた方がいい場合についてもカバー。
実際のユーザーレビューも参考にしながら、あなたの大切なウェアを最高のコンディションで使い続けるためのポイントをお伝えします。
①アークテリクス製品を洗濯すべき本当の理由
②初心者でもできるアトムやゴアテックスの正しい洗濯手順
③乾燥機や洗剤の選び方といったメンテナンスの重要ポイント
④ダウン製品の扱いやクリーニングに出す適切なタイミング
アークテリクスのアトムの洗濯｜基本の知識と準備
✅家庭でも洗濯できる？
✅なぜ、洗濯したほうがいい？
✅ゴアテックスの洗濯頻度は？
✅ゴアテックスの洗濯洗剤は？
✅洗濯は裏返し？
家庭でも洗濯できる？
アークテリクスの代表的な製品であるアトムシリーズやゴアテックス製シェルは、ご家庭の洗濯機で洗濯することが可能です。高価なアウトドアウェアのため、クリーニングに出さなければならないと思われがちですが、アークテリクスはむしろ家庭でのこまめな洗濯を推奨しています。
家庭で洗濯することによって、専門のクリーニング店に出す手間やコストを省けるだけでなく、ウェアの汚れが気になった時にすぐに対応できるというメリットがあります。汚れは放置すると生地の劣化や機能低下の原因となるため、適切なタイミングで自分で洗濯できることは、ウェアを長持ちさせる上で非常に有効です。
もちろん、洗濯表示タグを確認し、正しい手順を踏むことが大前提です。この後の見出しで解説するポイントを守れば、初心者の方でも安心して大切なウェアの手入れができます。
なぜ、洗濯したほうがいい？
アークテリクスのウェアを洗濯したほうが良い理由は、単に汚れを落とすためだけではありません。最大の目的は、製品が持つ本来のパフォーマンスを回復・維持し、結果としてウェアの寿命を延ばすことにあります。
ゴアテックスに代表される高機能素材は、汗や皮脂、泥などの汚れが付着したまま放置されると、その機能が著しく低下します。
例えば、防水透湿性素材の表面には、目に見えない微細な孔（あな）が無数に開いていますが、皮脂汚れなどがこの孔を塞いでしまうと、内側からの湿気を放出する「透湿性」が損なわれ、ウェアの中が蒸れてしまいます。
また、生地の表面に施されているDWR（耐久撥水）加工も、汚れが付着することで水滴を弾く効果が弱まります。撥水性が低下すると、生地の表面が水で濡れた膜に覆われ、やはり透湿性が妨げられてしまいます。
定期的に洗濯をしてこれらの汚れをしっかりと取り除くことで、素材本来の機能が回復します。アークテリクスがサスティナビリティ（持続可能性）の観点から「製品を長く使い続けること」を重視していることからも、洗濯というメンテナンスは、ウェアと長く付き合うための不可欠なプロセスと言えます。
ゴアテックスの洗濯頻度は？
アークテリクスのゴアテックスウェアを洗濯する最適な頻度は、使用状況によって異なりますが、「汚れが目立ったり、生地表面の撥水性が落ちて水滴を弾かなくなったりしたら」と考えられます。
アークテリクスが公式に示している具体的な目安は以下の通りです。
- ヘビーユースの場合（ランニングやスキーツアーなど激しい運動）： 10回から12回の使用ごとに洗濯するのが推奨されます。
- ライトユースの場合（犬の散歩や街中での使用）： 20回から30回の使用ごとに洗濯するのが目安となります。
ただし、これはあくまで一般的な目安です。例えば、泥汚れが付着したり、襟元や袖口に皮脂汚れが目立ったりした場合は、使用回数に関わらず早めに洗濯することをおすすめします。
重要なのは、完全に汚れてしまう前にこまめにケアをすることです。汚れを長期間放置すると、生地の奥深くまで浸透して落としにくくなるだけでなく、素材の劣化を早める原因にもなります。
少なくとも、シーズンが終わり長期間保管する前には、一度洗濯をしてきれいな状態にしておくことが、ウェアを長持ちさせる秘訣です。
ゴアテックスの洗濯洗剤は？
アークテリクスのゴアテックス製品を洗濯する際には、洗剤の選び方が非常に重要です。誤った洗剤を使用すると、ウェアの機能を損なう原因となるため、注意が必要です。
最も推奨されるのは、柔軟剤や漂白剤、香料など余分な成分が含まれていない「中性の液体洗剤」です。
粉末洗剤は水に溶け残ると、生地の微細な孔を塞いだり、すすぎで落としきれなかったりするリスクがあるため、液体タイプの方が適しています。
使用を避けるべき洗剤
- 柔軟剤（柔軟剤入り洗剤も含む）： 柔軟剤の成分が生地の表面をコーティングしてしまい、撥水性を著しく低下させます。また、透湿性の妨げにもなるため、絶対に使用しないでください。
- 漂白剤： 色落ちの原因になるだけでなく、ゴアテックスメンブレン（防水透湿フィルム）自体にダメージを与える可能性があります。
- 石鹸： 洗剤成分が残りやすく、撥水性を損なう原因となる場合があります。
市販の中性液体洗剤（例：エマール、ナノックスなど）も使用可能ですが、最も安心なのはアウトドアウェア専用の洗剤（例：NIKWAXのテックウォッシュなど）を使用することです。これらの専用洗剤は、機能性素材の性能を損なうことなく、汚れを効果的に落とすように設計されています。
洗濯は裏返し？
アークテリクスのゴアテックスウェアを洗濯する際、「裏返しにするべきか」という疑問を持つ方がいますが、公式の洗濯手順では特に裏返す指示はありません。基本的には表のまま洗濯して問題ありません。
それよりも重要なのは、洗濯機に入れる前の準備です。ウェアへのダメージを防ぎ、隅々まできれいに洗うために、以下の手順を必ず守ってください。
- 全てのジッパーを閉める ：フロントジッパーや脇下のピットジップ、ポケットのジッパー（※）は、全て完全に閉じてください。これは、洗濯中にジッパーのスライダーや歯が他の衣類や洗濯槽に引っかかり、生地を傷つけたり、ジッパー自体が破損したりするのを防ぐためです。
- 裾やフードについている：ドローコードは、全て緩めてください。コードを絞ったままだと、その部分にシワが寄ってしまい、汚れが落ちにくくなります。
- ベルクロ（マジックテープ）を留める： 袖口などにあるベルクロは、緩めに留めておきます。開いたままだと、硬いフック面が他の生地を傷つける可能性があります。
（※ポケットのジッパーについては、アークテリクスの公式情報内で「開ける」「閉める」の両方の記述が見られますが、これは脱水時の水抜けなどを考慮したものです。破損防止の観点からは、全てのジッパーを閉じるのが最も安全と考えられます。）
これらの準備をすることで、ウェアを保護しながら効果的に洗濯することができます。
アークテリクスのアトムの洗濯｜実践的な洗い方と乾燥法
✅長持ちさせる洗濯方法
✅アトムの洗濯方法・ユーザーレビュー
✅ダウンの洗濯方法はどうする？
✅乾燥機の使い方？
✅クリーニング店に任せる場合
✅まとめ：アークテリクスのアトムの洗濯
長持ちさせる洗濯方法
アークテリクスの高機能ウェアを長持ちさせるためには、洗濯の各工程でいくつかのポイントを押さえることが大切です。ここでは、洗濯機を使用した基本的な手順と注意点を解説します。
STEP1：洗濯前の準備
前述の通り、洗濯前にジッパーを全て閉め、ドローコードやベルクロを適切に処理します。襟元や袖口など、特に皮脂汚れがひどい箇所がある場合は、薄めた中性洗剤をスポンジなどに含ませ、優しく叩くようにして部分洗いをしておくと、より効果的です。
STEP2：洗濯
洗濯機に入れる際は、ウェアを洗濯ネットに入れると、他の衣類との絡まりやパーツの破損を防ぐ上でより安心です。洗剤は規定量を守り、水量は多めに設定します。水の温度は40℃以下のぬるま湯が、皮脂汚れを落とすのに効果的です。洗濯コースは「手洗い」「ドライ」「デリケート」など、水流の弱いコースを選んでください。
STEP3：すすぎ
すすぎは、ウェアの機能回復において非常に重要な工程です。洗剤成分が生地に残留すると、撥水性や透湿性の低下に直結します。そのため、すすぎは最低でも2回以上行うことを強く推奨します。洗濯機に「注水すすぎ」機能があれば、それを利用するとより効果的に洗剤を洗い流せます。
STEP4：脱水
脱水は、生地への負担を最小限に抑えるため、1分程度の短時間で済ませます。ゴアテックスなどの素材は保水性が低いため、長時間の脱水は必要ありません。逆に、過度な脱水は生地にダメージを与えたり、シワの原因になったりします。
これらの手順を守ることで、ウェアへの負担を抑えながら、性能を維持するための適切な洗濯が可能です。
アトムの洗濯方法・ユーザーレビュー
アークテリクスのアトムシリーズ（アトムLT、アトムARなど）は、中綿にダウンではなく化学繊維（コアロフト™）を使用しているため、ゴアテックス製品と同様に家庭での洗濯が可能です。むしろ、ダウン製品よりも取り扱いが容易な点が大きなメリットと言えます。
基本的な洗濯方法は、前述の「長持ちさせる洗濯方法」とほぼ同じです。 まず、洗濯表示タグを確認し、柔軟剤や漂白剤を使用しないこと、アイロンが禁止されていることなどを把握します。
洗濯機に入れる前にジッパーを全て閉め、洗濯ネットに入れます。洗剤は中性洗剤を使用し、弱水流のコースで洗い、すすぎは十分に行い、脱水は短時間で済ませます。
ユーザーレビューに見る洗濯の効果
実際にアトムを洗濯したユーザーのレビューを見ると、その効果がよく分かります。 「3シーズン洗っていなかったアトムLTを、市販の中性洗剤を使って手洗いしたところ、つけ置きした水が真っ黒になり、驚いた」「濯ぎを繰り返すと水が透明になり、目に見えてきれいになったことを実感できた」といった声が多く見られます。
また、「黒い粉のような汚れも出てきたが、これは排気ガスのすすやホコリだろう」「洗濯後、さほど見た目は変わらないように感じても、汚れた水を見ればきれいになっているのは間違いない」というように、見た目以上に汚れていることを洗濯によって初めて認識するユーザーも少なくありません。
これらのレビューからも、アトムのような化繊インサレーションジャケットは、定期的に洗濯することで清潔さを保ち、長く快適に着用できることがわかります。
ダウンの洗濯方法はどうする？
アークテリクスのダウン製品の洗濯は、化繊インサレーションであるアトムシリーズとは異なり、非常に慎重な取り扱いが求められます。アークテリクス公式も、基本的には専門のクリーニング店に依頼することを推奨しています。
その理由は、ダウンの最大の特性である「ロフト（かさ高）」を損なうリスクがあるためです。ロフトが失われると、ダウンが含むことができる空気の層が減り、保温性が著しく低下してしまいます。不適切な洗濯や乾燥は、ダウンの羽が固まったり、偏ったりする原因となります。
もし自己責任で家庭洗濯に挑戦する場合は、以下の手順と注意点を厳守する必要があります。
- 洗濯機： ドラム式洗濯機を強く推奨。縦型洗濯機の場合は、ウェアを保護するために必ずメッシュのランドリーバッグを使用します。
- 洗剤： ダウン専用の洗剤を使用します。
- 洗濯コース： ぬるま湯を使用し、「デリケート洗い」などの弱水流コースを選びます。すすぎは洗剤を完全に取り除くため、2回以上行います。
- 脱水： 脱水は行わず、洗濯槽から取り出した後、清潔なタオルで優しく押して水分を取り除きます。
- 乾燥： 低温設定にした乾燥機に、清潔なテニスボールを2〜3個一緒に入れて乾燥させます。テニスボールがウェアを叩くことで、ダウンの偏りをなくし、ロフトを回復させる助けになります。完全に乾くまでには3時間以上かかる場合もあり、ここで中途半端に終えると、臭いやカビの原因になるため、徹底的に乾燥させることが不可欠です。
このように、ダウンの家庭洗濯は手間と時間がかかり、リスクも伴います。大切なウェアの性能を確実に維持するためには、やはり専門のクリーニング店に任せるのが最も安心な選択肢です。
乾燥機の使い方？
アークテリクスのウェアを洗濯した後、乾燥機の使用は素材によって扱いが大きく異なります。特にゴアテックス製品にとっては、撥水性を回復させるための重要な工程となります。
ゴアテックス製品の場合
ゴアテックス製品は、乾燥機にかけることが推奨されます。生地表面のDWR（耐久撥水）加工は、洗濯によって汚れが落ちることで ある程度回復しますが、さらに熱を加えることで撥水基が起き上がり、性能がより効果的に回復します。
洗濯後、自然乾燥または乾燥機でウェアを完全に乾かしてから、ドラム式乾燥機にかけます。設定は「中温」で40〜50分程度が目安です。この熱処理により、新品に近い水弾きを取り戻すことが期待できます。自宅に乾燥機がない場合は、コインランドリーの乾燥機を低温設定で20分程度使用する方法も有効です。
アトムなど化繊インサレーションの場合
アトムシリーズのような化繊インサレーションは、乾燥機の使用も可能ですが、アークテリクスは風通しの良い日陰での自然乾燥を推奨しています。化繊は速乾性が高いため、自然乾燥でも比較的早く乾きます。乾燥機を使用する場合は、生地へのダメージを避けるため、必ず低温設定で行ってください。
ダウン製品の場合
前述の通り、ダウン製品を家庭洗濯した場合は、ロフトを回復させるために乾燥機の使用が不可欠です。テニスボールなどと一緒に、低温で時間をかけて完全に乾かす必要があります。
| 素材の種類 | 推奨される乾燥方法 | 乾燥機の役割 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ゴアテックス | 乾燥機（中温） | 撥水性の回復 | 高温は避ける |
| 化繊インサレーション (アトム等) | 日陰での自然乾燥 | （必須ではない） | 使用する場合は低温で |
| ダウン | 乾燥機（低温） | ロフト（かさ高）の回復 | 完全に乾かすことが必須 |
いずれの素材も、高温での乾燥は生地の圧着部分の剥離や、素材そのものへのダメージに繋がるため、厳禁です。
クリーニング店に任せる場合
アークテリクスのウェアを自身で洗濯することに不安がある場合や、特にデリケートなダウン製品の場合は、プロのクリーニング店に任せるのが最も安全で確実な選択肢です。
ただし、どのクリーニング店でも良いというわけではありません。高機能なアウトドアウェアのクリーニングには専門的な知識と技術が求められるため、お店選びが重要になります。
クリーニング店選びのポイント
- アウトドアウェアのクリーニング実績が豊富か
お店のウェブサイトなどで、ゴアテックス製品などの取り扱い実績があるかを確認しましょう。アウトドアウェア専門のクリーニングサービスを提供している業者も存在し、そういった専門店であれば安心して任せられます。 - ウェットクリーニングに対応しているか
多くの高機能ウェアは、石油系溶剤を使用するドライクリーニングが推奨されていません。水を使って特殊な洗剤で洗う「ウェットクリーニング」に対応しているお店を選んでください。 - 撥水加工のオプションがあるか
クリーニングと合わせて、撥水加工を再度施してくれるオプションがあるお店が理想的です。プロによる加工は、市販のスプレーよりも効果が長持ちする傾向があります。
依頼する際の注意点
お店に預ける際には、「アークテリクスのゴアテックス（またはダウン）製品であること」を明確に伝え、洗濯表示タグを見せて、適切な方法でクリーニングしてもらうよう依頼してください。特に、柔軟剤や高温での処理を避けてもらうよう、念のため伝えておくとより安心です。
大切なウェアを長く使うための投資と考え、信頼できるプロにメンテナンスを依頼することも、賢明な選択の一つです。
まとめ：アークテリクスのアトムの洗濯
この記事では、アークテリクスのアトムシリーズをはじめとする高機能ウェアの洗濯方法について解説しました。最後に、製品を長く大切に使うための重要なポイントをまとめます。
•アークテリクスは性能維持のため定期的な洗濯を推奨
•アトムもゴアテックスも家庭用洗濯機で洗濯可能
•洗濯は汚れや皮脂による機能低下を防ぐ
•洗濯頻度の目安は汚れや撥水性の低下
•ライトユースなら10〜20回の着用ごとが目安
•洗剤は柔軟剤や漂白剤を含まない中性の液体洗剤を選ぶ
•洗濯前には全てのジッパーを閉め、ドローコードを緩める
•すすぎは洗剤を残さないよう2回以上行うのが基本
•脱水は短時間で済ませ、生地へのダメージを避ける
•アトムのような化繊インサレーションは日陰での自然乾燥を推奨
•ダウン製品の洗濯は難しく、専門クリーニングが最も安心
•自身での洗濯に不安がある場合もクリーニングを検討
•適切なメンテナンスがウェアの寿命を延ばす
•シーズン終わりには一度洗濯する習慣を
