アークテリクスから登場した注目のスリッポン、クラッグ。クライミングの合間のリカバリーや、キャンプでのリラックスタイムに最適な一足ですが、アークテリクスのクラッグのサイズ感について悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
このシューズは靴紐がないスリッポン構造なので、一度選んだサイズを後から調整することができません。そのため、自分の足の実寸や、普段履いているアプローチシューズとの違い、さらには幅広や甲高といった足の特徴に合わせて慎重に選ぶ必要があります。
筆者も実際に手に取ってみて、これまでのアークテリクスのシューズとはラストの作りが少し変わったなと感じています。この記事では、失敗しないためのサイズ選びのポイントや、用途に応じたフィッティングのコツを分かりやすく紹介します。
①独自に開発した新しい木型の特徴とサイズ
②モンドサイズとUSサイズの具体的な注意点
③スリッポン構造による足の甲やかかとのフィット感
④歩行かリラックスかで変わる推奨サイズの選び方
アークテリクスのクラッグ:サイズ感と設計思想

まずは、クラッグがどのような考えで作られているのか、その背景から見ていきましょう。
ここを理解すると、なぜ「いつものサイズ」では失敗する可能性があるのかが見えてきます。従来のモデルとの違いを知ることが、ベストサイズへの第一歩ですよ。
✅自社開発ラストによる前足部ボリュームの変化
✅モンドサイズとUSサイズの換算における注意点
✅シューレースがないスリッポン構造のフィット理論
✅スペーサーメッシュの伸縮性と馴染みによる変化
✅かかとを踏める構造が歩行性能に与える影響
自社開発ラストによる前足部ボリュームの変化
アークテリクスのフットウェアといえば、長らくサロモンとの提携による開発が主流でした。しかし、近年は完全自社設計への移行を加速させています。
この変化は、靴の「性格」そのものを大きく変えたと言っても過言ではありません。筆者が実際にクラッグを履いてみて最も驚いたのは、フォアフット(前足部)のボリューム感ですね。
以前のアークテリクス製品、特にサロモン時代のモデルは、全体的に「細身(Narrow)」な作りが特徴でした。多くのアジア人、特に私たち日本人のように「幅広・甲高」な足を持つユーザーにとっては、横幅を合わせるために実際の足の長さよりもワンサイズ、場合によっては1cm以上大きなサイズを選ばざるを得ないことが多々あったんです。
しかし、2024年モデル以降の自社開発ライン、とりわけこのクラッグにおいては、指先が自然に広がることを許容するゆったりとした設計に進化しています。

過去のサイズ感覚が通用しない理由
この設計変更により、過去のアークテリクス製品のサイズ感覚をそのままスライドさせて選ぶと、「思っていたより大きすぎる」という失敗に繋がるリスクがあります。特に「アークテリクスは細いから大きめを選べ」という昔からの定説を信じ切っている方は要注意です。
今のラスト(木型)は、現代的な足型に合わせてより人間工学的に、そして多目的(マルチパス)に設計されています。指先には適切な遊びがありつつ、中足部でしっかりホールドする形になっているので、まずは「自分の足が今の設計にどう合うか」をフラットな視点で見る必要がありますね。
モンドサイズとUSサイズの換算における注意点
サイズ選びを複雑にしているもう一つの要因が、表記の問題です。アークテリクスは、足の実寸(cm)を基準にした「モンドサイズ」を公式に採用しています。理論上は最も正確なはずですが、実際に他ブランドから移行しようとすると、USサイズやEUサイズとの換算で「あれ?」と思う瞬間が出てくるはずです。
| 実寸 (cm) | USメンズ | USウィメンズ | EUサイズ |
|---|---|---|---|
| 24.0 | 6 | 7 | 38 2/3 |
| 25.0 | 7 | 8 | 40 |
| 26.0 | 8 | 9 | 41 1/3 |
| 27.0 | 9 | 10 | 42 2/3 |
| 28.0 | 10 | 11 | 44 |
筆者が調べたところ、一部のユーザーからは「USサイズ換算だと以前より大きく感じる」という声が上がっています。例えば、これまでUS 11.5を愛用していた人が、クラッグではUS 11でジャストフィットだったというケースも報告されているんです。
これはアークテリクスがシューズの全長(Internal Length)をわずかに延長し、かつ前述の通りボリュームを増やしたことに起因しています。
(参照元:フットウェア サイズ表|ARC’TERYX|アークテリクス公式 …)
失敗を防ぐ基準について
購入時に一番信頼すべきは、「今履いているスニーカーのUS表記」ではなく、自分の足の「実寸(モンドサイズ)」です。もし自分の足が正確に26.5cmなら、まずは26.5cmのモンドサイズを基準にします。
そこから、後述する用途(リラックスか、アプローチか)に合わせて微調整するのが最も失敗が少ない方法かなと思います。海外ブランドだからと難しく考えず、まずはセンチメートル単位の自分自身の足に向き合ってみるのが正解かもしれませんね。

シューレースがないスリッポン構造のフィット理論
クラッグの最大の特徴であり、サイズ選びにおける最大の難所が「シューレース(靴紐)がない」という点です。これは脱ぎ履きが楽で最高なのですが、フィッティングの観点から見ると「後からの調整が一切きかない」というシビアな側面を持っています。
一般的な登山靴なら、多少大きくても紐を締め上げればホールドできますが、クラッグではそれが不可能です。
フィッティングを支配するのは、アッパー素材の伸縮性とヒールの構造、そしてあなたの足のボリュームそのものです。筆者が実際に足を入れてみて感じたのは、甲の部分にかかるテンションの重要性ですね。
スリッポンは「入り口」と「甲の押さえ」だけで足を固定するため、ここが緩いと歩くたびに靴の中で足が前後左右に動いてしまいます。これは単に不快なだけでなく、不整地では捻挫のリスクにも繋がります。
シビアな「隙間」チェック
サイズ選びの際は、特に「甲の密着感」と「かかとの浮き」を念入りに確認してください。立ち上がって数歩歩いた時に、かかとがパカパカと浮いてしまうようなら、そのサイズは明らかに大きすぎます。
紐で締められない以上、「吸い付くようなフィット感」があるかどうかが、クラッグがあなたの相棒になるか、ただの高級スリッパになるかの分かれ目です。

履いた瞬間に「少しタイトかな?」と感じるくらいが、実はスリッポンとしては正解に近いことが多いんですよ。
スペーサーメッシュの伸縮性と馴染みによる変化
「タイトめが正解」と言われて不安になった方もいるかもしれませんが、安心くださいね。
クラッグのアッパーに採用されている「スペーサーメッシュ(Spacermesh™)」は、非常に賢い素材なんです。これは単に風通しが良いだけではなく、足の動きや形状に合わせて形状を変化させる「動的ラッピング」の役割を担っています。
この素材は、新品の状態では繊維の弾性が強く、人によっては「ちょっと窮屈かも」と感じるほどの圧迫感があるかもしれません。しかし、数日間履き続けることで、素材があなたの足特有のカーブや骨格に合わせて絶妙に馴染んでいきます。
筆者の経験上、アークテリクスのテクニカルなメッシュ素材は、使えば使うほど「自分専用の型」に近づいていく感覚がありますね。
馴染みを計算したサイズ選び
ただし、注意点もあります。つま先部分を保護する「ラバーランド(トウキャップ)」部分は、メッシュと違って一切伸びません。 したがって、メッシュ部分のタイトさは馴染みで解消されますが、指先がラバーに当たって痛い場合は、どれだけ履き込んでも解決しないんです。
メッシュの「包み込まれるようなタイト感」はOKですが、トウキャップへの「物理的な衝突」はNG。この違いを見極めるのが、クラッグマスターへの道ですね。

馴染んだ後の快適性は、まさにこの素材の恩恵。最初は少し我慢が必要かもしれませんが、その先には最高のフィット感が待っています。
かかとを踏める構造が歩行性能に与える影響
クラッグが多くのクライマーやハイカーに支持される最大の理由は、ヒールを折りたたんでスリッパのように履ける「ヒールダウン機能」にあります。クライミングシューズでボロボロになった足を、サッと解放できるのは本当に幸せな瞬間ですよね。

しかし、この便利機能がサイズ選びをさらに面白く?(そして難しく)させています。(笑)
ヒール部分にはネオプレンのような柔軟な素材が使われており、かかとを上げた「ヒールアップ」状態では、足首周りを隙間なく包み込んでくれます。このテンションが適切であれば、スリッポンとは思えないほどしっかりとしたホールド感を得られます。
しかし、サイズが大きすぎると、この「包み込む力」が弱まり、せっかくのホールド性能が台無しになってしまいます。
安定性を左右するテンション
もし、アプローチ(岩場までのアプローチ)でこの靴をメインに使いたいなら、「かかとを上げた時にしっかりテンションがかかっているか」を最優先にチェックしてください。逆に、完全にリカバリー専用と割り切るなら、少し余裕のあるサイズで解放感を優先するのもアリでしょう。
サイズ選びを間違えて「歩行中に脱げそう」な状態になると、無意識に指先に変な力が入ってしまい、かえって足が疲れてしまいます。リラックスのための靴で疲れてしまっては本末転倒ですよね。
歩行性能を重視するなら、かかとが「カチッ」と収まるサイズを選ぶのがポイントです。
アークテリクスのクラッグ:サイズ感を選ぶ用途別基準

さて、ここからはより具体的に、あなたのライフスタイルに合わせたサイズ選びの基準を提示していきます。クラッグは一足で何役もこなせますが、どの機能を最も優先するかで「正解」が変わってくるんです。
✅街履きやキャンプで快適なコンフォートフィット
✅岩場やビレイで安定するプレシジョンフィット
✅幅広や甲高の足型に向けた失敗しない選び方
✅インソールの沈み込みによる内部容積の変化
✅スリッポンゆえの特性とは?
✅まとめ:アークテリクスのクラッグのサイズ感
街履きやキャンプで快適なコンフォートフィット
多くの方が検討されているのが、この「日常使いやキャンプ」でのリラックス目的ではないでしょうか。この用途において最も大切なのは、長時間の着用でもストレスを感じない「ゆとり」です。
筆者がおすすめするのは、足の実寸(モンドサイズ)に基づいたジャストサイズの選択です。
快適性を最大化するチェックポイント
キャンプでは厚手のソックスを履くことも多いですし、一日の終わりには足がむくんでボリュームアップしていることもあります。実寸通りのサイズであれば、指先を自由に動かせるスペース(トウスプリングの恩恵)を確保しつつ、リラックスした状態で過ごせます。
- 普段履きのスニーカー(NikeやNew Balanceなど)と同じサイズ感を基準にする。
- 幅広・甲高を自覚しているなら、実寸より0.5cmアップを検討。
- 厚手のウールソックスを履いた状態で、圧迫感がないか確認する。
この設定なら、移動中の車内や飛行機でも快適ですし、テントサイト周辺を歩き回るのにも最適です。まさに「どこまでも行けるスリッパ」としての魅力を最大限に引き出せる選び方ですね。
岩場やビレイで安定するプレシジョンフィット
一方で、クラッグを「テクニカルな道具」として使いたい方もいるでしょう。例えば、不安定な岩場でのビレイ作業や、ちょっとしたアプローチ、あるいは設営作業などです。こうした場面では、靴の中で足が遊んでしまうことは致命的な欠点になります。
この用途で選ぶなら、実寸サイズ、あるいは足型が細めの方ならあえて0.5cmサイズダウンすることを検討してください。これはアークテリクス公式でも、より確実なホールドを求めるユーザー向けに示唆されている選び方です。
| フィットタイプ | サイズ選びの目安 | 主なメリット |
|---|---|---|
| プレシジョン | 実寸 or 0.5cmダウン | 横ブレの解消、高い安定性 |
| コンフォート | 実寸 or 0.5cmアップ | 長時間の快適性、着脱の容易さ |

プレシジョンフィットの感覚
プレシジョン(精密)フィットでは、足と靴が一体化するような感覚になります。
最初は少し窮屈に感じるかもしれませんが、Vibram® Megagripのアウトソールが持つ強力なグリップ力を活かすには、この「遊びのなさ」が不可欠です。立ち仕事が多いビレイ時でも、足裏全体で地面を捉えられるので、疲労軽減にも繋がりますよ。
幅広や甲高の足型に向けた失敗しない選び方
日本人に多い「幅広・甲高」の足。クラッグは新しいラストのおかげで以前よりは対応しやすくなっていますが、それでも注意すべきポイントがあります。それは、素材の特徴でも触れた「トウキャップ(ラバー部分)の硬さ」です。
甲の部分については、スペーサーメッシュの高い伸縮性が甲高の足を優しく包み込んでくれるので、あまり心配はいりません。紐がないことで特定の箇所が圧迫されるリスクも低いです。
問題は「幅」です。特に小指の外側が、硬いラバーランドの境界線に当たってしまうと、歩行のたびに深刻な痛みが生じます。
幅広ユーザーへのアドバイス
幅広を自覚している方が「ホールド感を求めてサイズダウン」するのは非常に危険です。
ラバー部分は絶対に伸びません。もし試着した際に小指がラバーの端に当たっている感覚があるなら、迷わずサイズを上げてください。
幅広の方は、実寸ベースか0.5cmアップを選び、中のインソールが沈み込むことで生まれる「余白」を利用してフィットさせるのが、最も賢明で失敗のない選択です。痛くて履かなくなるのが一番もったいないですからね。

筆者はアディダスやアシックスのスニーカーは26.5を普段履いています。ヨーロッパメーカーはつま先がやや細めに出来ているようです。
以前は27.0を履いていましたが、右足が0.5㎝程小さいにもかかわらず小指があたって痛くなっていました。今は、ドロミテ、グラミチ、ガルモント、サレワは27.5を愛用しています。(アプローチシューズ・トレランシューズ含む、靴底は全てビブラムソール)
サイズ感がやや大きくても、薄手のスポーツソックスを2枚重ねると良い感じです。登山靴には、インソールを入れる場合もありますが、上記メーカーのライトトレッキングシューズ類に関しては、ソックス(例:薄手+中厚手など)での調整が◎ですね。個人的見解ですが参考までに。(笑)
インソールの沈み込みによる内部容積の変化
最後に、あまり語られませんが非常に重要な「経時変化」についてお伝えします。クラッグには、環境に配慮した「Insite Contoura®」という厚手のフォームインソールが採用されています。
このインソール、実はかなり優秀で、履き込むことであなたの足裏の形に合わせて「沈み込む」ように設計されているんです。

購入時の違和感をどう捉えるか
新品の状態で足を入れると、この厚手のインソールのおかげで、全体的に「少しパンパンかな?」と感じるかもしれません。しかし、数週間使用すると、体重がかかる踵や母指球付近のフォームが圧縮され、靴の内部容積がわずかに拡大します。
これにより、最初は「少しきつい」と感じていたサイズが、最終的に「完璧な自分専用のジャストサイズ」へと変化するんです。

素材の特性からの視点
このように、クラッグは動的な変化を前提としたシューズです。「今この瞬間の100点」ではなく、「履き込んで馴染んだ後の100点」を想像して選ぶのがコツです。
もちろん、あまりにも痛い場合はサイズが小さすぎますが、「心地よいタイトさ」であれば、それは未来のジャストフィットへの予兆かもしれません。
スリッポンゆえの特性とは?
長々と解説してきましたが、アークテリクス クラッグのサイズ選びで後悔しないための結論はシンプルです。まずは自分の足の実寸(cm)を正確に把握すること。
そして、リラックス重視なら実寸通り、アクティブに使いたいなら実寸からマイナス0.5cmを検討してみてください。アークテリクスの新しい自社ラストは、多くの方にフィットする包容力を持っていますが、スリッポンゆえの「調整不可」という特性だけは忘れないでくださいね。
正確なサイズチャートや最新の在庫状況、そして詳細なカラーバリエーションについては、ぜひアークテリクス公式オンラインストアで最終確認を行ってください。特に新色は人気でサイズ欠けも早いので、早めのチェックがおすすめです。
自分にぴったりのクラッグを手に入れて、キャンプ場や岩場、そして日常の移動を、これまでにない快適なものに変えてみませんか?

もしどうしてもサイズ選びに迷ったら、アークテリクスの直営店に足を運んでみてください。専門のスタッフさんが、あなたの足型を見ただけで最適なアドバイスをくれるはずです。筆者も迷った時はいつもプロの意見を参考にしていますよ!
まとめ:アークテリクスのクラッグのサイズ感
この記事で解説した重要なポイントをリストにまとめました。最終チェックとして活用してくださいね。
- サロモン提携時代から完全自社設計へ移行し木型が大きく変化した
- アジア人の足型に合うよう前足部のボリュームが以前より増大した
- 指先が自然に広がる人間工学的デザインを採用している
- 過去の細身なモデルと同じ感覚でサイズを選ぶと大きすぎるリスクがある
- 公式基準であるモンドサイズを元に実寸のセンチメートルで選ぶ
- 全長が延長されたため従来のUSサイズ換算では誤差が生じやすい
- 靴紐がないスリッポン構造のため後からのサイズ調整ができない
- 歩行時にかかとがパカパカと浮かないか入念にチェックする
- 甲の部分が隙間なく吸い付くような密着感があるか確認する
- スペーサーメッシュ素材は履き込むことで足の形に馴染んで伸びる
- つま先のラバーランド部分は一切伸びないため指が当たると痛みの原因になる
- 厚手のインソールが体重で圧縮されることで内部容積が徐々に拡大する
- 購入時に少しきついと感じる程度が馴染んだ後のジャストフィットに繋がる
- キャンプなどのリラックス用途では実寸通りのサイズが推奨される
- 岩場での安定性を重視するなら実寸よりハーフサイズ下げて一体感を高める
- 幅広や甲高のユーザーは安易なサイズダウンを避け実寸以上を選択する
※本記事で紹介したサイズ感や着用感は、あくまで一般的な目安であり、個人の足型や好みによって異なります。最終的な判断は、可能な限り試着を行った上で、自己責任において行っていただくようお願いいたします。


