アウトドアブランドの頂点に君臨するアークテリクス。その数ある製品の中でも、特に専門性の高いシーンで絶大な信頼を得ているのが化繊インサレーションジャケット「ニュークレイ」シリーズです。
しかし、「アトム」や「プロトン」といった人気モデルの影に隠れがちで、「一体どんなジャケットなの?」「アトムとはどう違うの?」と疑問に思う方も少なくありません。
この記事では、アークテリクスのニュークレイに焦点を当て、その本質的な特徴から、類似モデルとの明確な違い、そして最適な選び方まで、数多の登山ユーザー情報に基づき徹底的に解説します。
この記事でわかること
①ニュークレイの基本的な特徴とコンセプト
②アトムやプロトンとの具体的な違い
③着用シーンから考える最適なモデルの選び方
④購入で後悔しないためのサイズ感と注意点
アークテリクスのニュークレイ:基本性能を解説

✅そもそもアークテリクス ニュークレイとは
✅客観的なレビューから分かる特徴
✅購入前に知りたい残念なところ
✅後悔しないサイズ感と選び方
✅登山シーンでの最適な使い方
そもそもアークテリクス ニュークレイとは
アークテリクスの「ニュークレイ」は、行動中の着用を想定しない「保温着(ビレイパーカー)」として位置づけられる化繊インサレーションジャケットです。クライミングで先行するパートナーの安全を確保する「ビレイ中」のように、厳しい寒さの中で体を動かさずに待機する状況で、体温が奪われるのを防ぐことを最大の目的としています。
このため、一般的なミッドレイヤー(中間着)とは設計思想が根本から異なります。
最大の特徴は、中綿に使用されている「Coreloft™ Continuous(コアロフト™ コンティニュアス)」という素材です。これは一本の長い繊維で作られたシート状の化繊綿で、少ない量で大きく膨らむ(ロフトが高い)特性を持ちます。これにより、ダウンジャケットに匹敵するほどの軽量性と高い保温性を両立させているのです。
また、表地には「Arato™(アラト)」という高密度なリップストップナイロンが使われており、優れた防風性を発揮します。風を完全にシャットアウトすることで、中綿が含む暖かい空気(デッドエア)を逃さず、保温効果を最大限に高める仕組みです。
ニュークレイのコンセプト
ニュークレイは「動かない時」に特化した保温着です。軽量・コンパクトでありながら、高い防風性と保温性を備え、クライミングのビレイ、冬山の休憩、テント泊など、静的なシーンでユーザーを寒さから守るために開発されました。
客観的なレビューから分かる特徴
ニュークレイに関する様々なレビューを分析すると、いくつかの共通した評価が見えてきます。多くのユーザーがその高い性能を実感しており、特に以下の点が特徴として挙げられます。
圧倒的な軽さと保温性の両立
「ダウンのように軽くて暖かい」という評価が最も多く見られます。実際に手に取ると、そのボリューム感からは想像できない軽さに驚かされます。化繊中綿のメリットである濡れへの強さも兼ね備えているため、湿った雪や悪天候でも保温性が低下しにくい点は、ダウンにはない大きな利点です。これにより、天候を気にせずタフに使える安心感があります。
優れた防風性と携帯性
表地の「Arato™」ナイロンは非常に密度が高く、冷たい風を全く通しません。縫い目を極力減らした構造も相まって、風が強い状況でも体感温度の低下を効果的に防ぎます。また、付属のスタッフサックに収納すると驚くほどコンパクトになり、バックパックのスペースを圧迫しない携帯性の高さも高く評価されています。
ハーネスに連結できるループが付いているのも、クライマーには嬉しいポイントです。ビレイの際に素早く取り出して羽織ることができます。
考え抜かれたディテール
ヘルメットの上からでも被れる大きなフード「ストームフード™」や、濡れたグローブを乾かしながら収納できる大型の内ポケット(ダンプポケット)など、アルパイン環境での使用を想定した機能的なデザインが採用されています。フロントジッパーがダブルジップ仕様になっているモデルもあり、ハーネスを装着したままでも操作しやすいよう工夫されています。
購入前に知りたい残念なところ
非常に高性能なニュークレイですが、その特性を理解せずに購入すると「期待と違った」と感じてしまう可能性もあります。ここでは、購入前に知っておくべき注意点やデメリットを解説します。
ニュークレイFLは気に入ってはいるのだが、ダブルジッパーでないのでビレイの時にやや使いづらい。似たような製品でダブルジッパーのマムートのジャケットがセールで安かったので買ってみた。色も大体同じ。 pic.twitter.com/qocfhCAtNn
— ILCHOL (@ILCHOL) February 17, 2023
通気性はほぼゼロで行動着には不向き
最大の注意点は、通気性がほとんどないことです。これは高い防風性と保温性を実現するための設計であり、決して欠陥ではありません。しかし、これを着たまま登山やハイキングなどの運動量の多い活動をすると、汗で内部が蒸れてしまい、逆に汗冷えを引き起こす原因となります。
「蒸れる」は性能の裏返し
ニュークレイはあくまで「停滞時」の保温に特化しています。行動中に着る「アクティブインサレーション」とは全くの別物と理解することが重要です。もし行動中も着続けられる保温着を探している場合は、「プロトン」シリーズが最適な選択肢となります。
デリケートな表地
軽量性を追求するため、表地の「Arato™」は10デニールや15デニールといった非常に薄い生地で作られています。もちろんリップストップ加工が施され、耐久性は確保されていますが、岩や木の枝などに引っ掛けると破れてしまう可能性は否定できません。ハードな環境でラフに扱いたい場合は、少し気を使う必要があります。
価格が高価
アークテリクス製品全般に言えることですが、ニュークレイも高価なジャケットです。その性能は価格に見合ったものですが、使用目的が明確でない場合はオーバースペックとなり、コストパフォーマンスが悪く感じられるかもしれません。
後悔しないサイズ感と選び方
ニュークレイのサイズ選びは、他のモデルとは少し異なる視点が必要です。なぜなら、その着用シーンに合わせて独特のフィット感で作られているからです。
ニュークレイめっちゃいい
— オースチン (@KARA6sango) February 14, 2024
だけど袖があと2センチ長ければ😅
アークテリクスは袖が長めなのにニュークレイは短め。
ちょいちょい袖の短さが気になってしまう😵💫#ARCTERYX#アークテリクス#arcteryx pic.twitter.com/BXqgJ7Cfqr
基本は「レギュラーフィット」
アトムやプロトンが体に沿う「トリムフィット」であるのに対し、ニュークレイはゆったりとした「レギュラーフィット」を採用しています。これは、ベースレイヤーやフリース、さらにはハードシェルの上からでも羽織れるように設計されているためです。
このため、普段アークテリクスでMサイズを着ている方がニュークレイのMサイズを試着すると、「かなり大きい」と感じることがほとんどです。特に街着として単体でスッキリ着たい場合は、1サイズ、場合によっては2サイズダウンしないと、着られているような印象になってしまう可能性があります。
フィット感の比較
- トリムフィット(Atom, Proton):体にフィットする細身のシルエット。レイヤリング時のごわつきが少ない。
- レギュラーフィット(Nuclei):ゆとりのあるシルエット。他のウェアの上から重ね着しやすい。
街着メインで考えているなら、必ず試着することをおすすめします。オンラインで購入する場合は、実寸法の数値を手持ちのジャケットと比較検討するのが確実です。
モデル(SV, FL)による違い
ニュークレイには、主に「SV」と「FL」というサブカテゴリーが存在しました。(現在は「ニュークレイ フーディ」などに統合・名称変更されています)
- SV (Severe Weather):より厳しい気象条件を想定。中綿量が多く、保温性が最も高い。フィット感も最もゆったりしている。
- FL (Fast & Light):軽量性と携帯性を重視。SVより中綿量は少ないが、幅広いシーズンに対応できる。
例えば「ニュークレイSVパーカ」は化繊インサレーションの中で最高クラスの保温力を誇りますが、その分サイズ感も非常に大きめです。自身の使用目的と求める保温力に応じて、どのモデルが最適かを見極めることが重要になります。
登山シーンでの最適な使い方
ニュークレイが登山シーンでその真価を発揮するのは、汗をかく「動」の状態から、体を動かさない「静」の状態へ移行する瞬間です。つまり、行動中に着るのではなく、的確なタイミングで羽織ることで最大の効果を得られます。ここでは、具体的な活用シーンを深掘りして解説いたします。
山初めは北横岳!
— あきお葉っぱ (@013arcfreak) January 4, 2025
Rho Hybrid 1/2 Zip Neck
プロトンフーディ
ガンマMX
ニュークレイSV 緊急用
アルファSV
プロトンパンツ、β ARパンツ
ガンマMXで通気がよくシェルより快適でした。稜線の風もずっと当たらないなら問題なし。シェルはライトウェイト系持っていればいい組み合わせになると思う pic.twitter.com/zE8XfiIBO2
休憩中や山頂での体温維持に
汗をかきながら稜線や山頂に到着した後、ザックを下ろして休憩に入る場面を想像してみてください。運動をやめた体からは急速に熱が失われ、汗で濡れたウェアが風にさらされることで、深刻な「汗冷え」を引き起こす危険性があります。
このような状況こそ、ニュークレイが最も輝く瞬間の一つです。バックパックから素早く取り出して羽織るだけで、まず表地の高密度な「Arato™」生地が冷たい風を完全にシャットアウトします。
そして、内側の「コアロフト™ コンティニュアス」中綿が、体から発せられる熱を瞬時に捉えて暖かい空気の層を作り出し、体温の低下を防ぎます。軽量でコンパクトに収納できるため、どんな山行でも携行をためらう理由が見つからないのも大きな利点と言えるでしょう。
テント場でのリラックスウェアとして
春・秋のキャンプや、夏の高山でのテント泊では、日が暮れると気温が一気に下がります。テント設営を終え、汗をかいた行動着から着替えた後にニュークレイを羽織れば、暖かく快適な夜の時間を過ごすことが可能です。
ここで特に重要なのが、化繊インサレーションならではの湿気への強さです。テント内は人の呼気や外気との温度差で結露しやすく、ダウン製品では湿って保温力が低下してしまうことがあります。しかし、ニュークレイであれば、多少の湿気を帯びてもロフト(かさ高)が潰れにくく、安定した保温力を維持してくれます。
寒さが厳しい場合は、シュラフ(寝袋)の上から掛け布団のように使ったり、足元に入れて保温を補助したりと、様々な活用ができます。
ダウンとの使い分け
乾燥した環境が確実な場合は軽量なダウンも魅力的ですが、天候が変わりやすい日本の山岳環境や、結露が避けられないテント泊では、ニュークレイのような高性能な化繊ジャケットが安心感という面で非常に優れています。
本来の用途、ビレイジャケットとして
前述の通り、ニュークレイはクライミングにおけるビレイジャケットとして開発された背景があります。ビレイとは、登っているパートナーの安全を確保する役割のことで、時には氷点下の岩壁で長時間待機することも少なくありません。
このような過酷な状況下で、ニュークレイはクライマーの体を寒さから守ります。ヘルメットの上からでもすっぽり被れる大きめのフード、ハーネスや他のウェアに干渉しないゆったりとしたシルエット、そして濡れたグローブを体温で乾かせるほど大きな内側のダンプポケットなど、全てのディテールがアルパイン環境での使用を想定して作り込まれています。
奥穂高3190m登頂
— あきお葉っぱ (@013arcfreak) July 28, 2025
ガンマパンツ、ソックス、アタックザックはノーバン14です。
昨晩はニュークレイ着て丁度良い世界です pic.twitter.com/7OybWoW6Wn
想定外の事態に備える「保険」として
登山では、道迷いや怪我、急な天候悪化といった不測の事態が起こり得ます。もし、予定外の場所で夜を明かす「ビバーク」を迫られた場合、体温を維持できるかどうかは生死を分ける重要な要素になります。
ニュークレイの優れた保温性と軽量性は、まさにこのような緊急時の「保険」として最適です。使用頻度は高くないかもしれませんが、ザックの片隅に常に忍ばせておくことで、万が一の事態に陥った際の生存率を大きく高めてくれる、頼もしいお守りのような存在にもなるのです。
ニュークレイ活用の鉄則:「止まったら、羽織る」
「登っている時」ではなく、「止まった時」に着る。これがニュークレイを登山で最大限に活用するための、シンプルかつ最も重要な鉄則です。このジャケットは、常に着続けるためのものではなく、ここぞという場面で戦略的に投入する「ギア」であると理解することで、その真価を100%引き出すことができるでしょう。
アークテリクスのニュークレイ:人気モデルと比較

✅保温性に優れたアトムとは
✅行動着として優秀なプロトンとは
✅アトム・プロトンと3つを比較・違いを網羅
✅総括:アークテリクスのニュークレイ
保温性に優れたアトムとは
アークテリクスの化繊ジャケットを語る上で、決して外すことのできない存在が「アトム」シリーズです。このシリーズは、ブランド内での人気はもちろん、アウトドア業界全体における「多用途化繊ジャケット」のひとつの基準となるほどの完成度を誇ります。
その本質は、特定の状況に特化するのではなく、あらゆるシーンで高いレベルの快適性を提供する、懐の深い「オールラウンダー」である点にあります。
もともとは保温性を重視した一枚として登場しましたが、モデルチェンジを重ねる中で、現代のアウトドアアクティビティに求められる適度な通気性も獲得しました。これにより、多くのユーザーにとって最も使い勝手の良いバランスの一着へと進化しています。
絶妙なバランスを生むハイブリッド構造
アトムシリーズ、特にその中核をなす「アトム フーディ(旧アトムLT)」の多用途性を支えているのは、考え抜かれたハイブリッド構造です。異なる素材を適材適所に配置することで、保温、通気、動きやすさという、時に相反する要素を巧みに両立させています。
ジャケットの前面、背面、そして腕といった保温性が特に求められる部分には、アークテリクス独自の化繊中綿「コアロフト™ コンパクト」が封入されています。これは繰り返しの圧縮にも強く、長期間性能を維持しやすいのが特徴です。
一方で、熱や汗がこもりやすい脇下の部分には、ストレッチ性と通気性に優れたフリース素材のパネルが採用されています。このパネルがあるおかげで、ハイキングの登りなどでじんわりと汗をかいても、余分な熱気を効率的に放出してくれます。
また、フリースが持つ伸縮性は、腕の動きや体のひねりを妨げず、ストレスのない着心地にも貢献しているのです。
アウターとしての機能性
表地に使われている「Tyono™(ティノ)」というナイロン生地は、しなやかで着心地が良いだけでなく、DWR(耐久撥水)加工が施されています。そのため、小雨や霧雪程度であれば弾くことができ、アウターとしても十分に機能します。
アークテリクス アトムフーディ公式から届いてた。買い増しになるが気に入っているし問題無し!カラー違いだから交互に着るかね…でも今年は暖冬だから着るのはかなり先になりそうだな。 pic.twitter.com/mAboCcWeqo
— hungry (@naoki27498430) November 2, 2023
幅広いシーンに対応する汎用性
この絶妙なバランス感覚により、アトムはミッドレイヤー(中間着)とアウター(上着)という二つの役割を高い次元でこなします。
例えば、秋の涼しい日のハイキングではアウターとして活躍し、稜線での冷たい風を防ぎながらも、暑くなりすぎない快適な山行をサポートします。そして、冬のスキーや雪山登山では、防水性のあるハードシェルの下に着用するミッドレイヤーとして、濡れを気にすることなく確実な保温層を確保してくれます。
もちろん、その洗練されたデザインはアウトドアシーンだけに留まりません。通勤や旅行、普段の散歩まで、日常生活に自然に溶け込むため、まさに「毎日着られるアークテリクス」と言えるでしょう。
万能ゆえの注意点
アトムは非常に優れたジャケットですが、「万能」であることは「何かに特化しているわけではない」ことの裏返しでもあります。激しい運動で大量の汗をかく状況では、より通気性の高い「プロトン」に軍配が上がります。
また、脇下のフリースパネルは風を通すため、強風に長時間さらされるような環境でアウターとして使うには、少し心許ない場面もあるかもしれません。
アトムはこんな人におすすめ
「最初の一着として、アウトドアから街着まで、季節や場所を問わずに幅広く使える信頼性の高いジャケットが欲しい」。このように考える方にとって、アトムは最も後悔の少ない選択肢となるはずです。一枚で多くの役割をこなせるため、結果的にコストパフォーマンスも非常に高い一枚と言えます。
行動着として優秀なプロトンとは
アークテリクスのラインナップの中で、「プロトン」シリーズは「アクティブインサレーション」、すなわち「着たまま行動し続けるための保温着」という明確な目的を持って開発された、専門性の高い一着です。もし、ニュークレイが「魔法瓶」のような存在だとすれば、プロトンは「呼吸する断熱材」と表現するのが最も的確かもしれません。
その最大の使命は、保温性を確保しながらも、運動時に体から発せられる余分な熱や湿気を効率的に外へ放出することにあります。これにより、登山やスキーといったアクティビティの最中に、暑くなってウェアを脱いだり、寒くなって着込んだりという、煩わしいレイヤリング調整の手間を最小限に抑えてくれます。
「呼吸する」保温性を実現する技術
プロトンがなぜこれほど高い次元で「行動着」として機能するのか、その秘密は素材の組み合わせにあります。
まず、中綿には通気性に優れたタイプの「コアロフト™」が採用されています。これは、繊維の間に意図的に隙間を作ることで、暖かい空気を保持しつつも、湿気や熱気がスムーズに抜けやすい構造になっています。
そして、もう一つの核となるのが、表地と裏地に採用されている「Fortius™ Air(フォーティアス™ エア)」という生地です。この素材は、高い耐久性を持ちながら、空気が通り抜けやすい「通気性」を重視して設計されています。
実際に生地に口を当てて息を吹きかけると、空気が通り抜けるのが感じられるほどです。この「通気するシェル」と「通気する中綿」の組み合わせによって、プロトン独自の自己調節機能が生まれるのです。
摩耗への強さも特徴
「Fortius™ Air」は、岩やザック、ハーネスなどとの摩擦にも非常に強い耐久性を持っています。そのため、クライミングや沢登りといった、ウェアへのダメージが想定されるようなハードなアクティビティでも、安心して使用することができます。
「脱ぎ着のジレンマ」からの解放
冬期の登山やバックカントリースキーを経験したことがある方なら、「行動中は暑いが、止まると一気に冷える」というジレンマに悩まされたことがあるはずです。プロトンは、まさにこの問題を解決するために存在します。
例えば、急な登りでは、その優れた通気性がオーバーヒートを防ぎ、汗をかきすぎるのを抑制します。そして、緩やかな稜線に出て風に吹かれる場面では、適度な保温性と耐風性が体を冷やしすぎないように守ってくれます。
このように、運動強度が変化する状況でも、ウェアが自動的に衣服内の環境を調整してくれるため、ユーザーはアクティビティそのものに集中し続けることができるのです。
第4位
— あんかけ (@Purute2) January 25, 2023
アークテリクス プロトンARフーディ(化繊)
5位のナノエアより2段階ほど寒さが和らぐ
防風性の高い表地により、風速10 m程度までなら耐えられるのは厳冬期の八ヶ岳で実証済み
アウターとして最強のアクティブインサレーション
この上にハードシェルを羽織ると過熱気味&ゴワゴワするのは難点 pic.twitter.com/Sowrr9ZtRE
保温力と防風性に関する注意点
プロトンは通気性を最優先しているため、単体での保温力や防風性は、アトムやニュークレイに劣ります。風が非常に強い状況や、気温が極端に低い中での長時間の停滞には向いていません。あくまで「動き続けること」で、その真価が最も発揮されるジャケットであると理解しておく必要があります。
プロトンはこんな人におすすめ
「寒い季節でも、運動すると大量の汗をかく」「登山のたびに、ウェアの脱ぎ着を繰り返すのが面倒だ」。このように感じる方にとって、プロトンは最高のパフォーマンスを提供してくれる相棒となります。
特に、冬のトレイルランニング、アイスクライミング、バックカントリースキーのハイクアップなど、活動と休息のサイクルが短い高強度のアクティビティに最適です。
アトム・プロトンと3つを比較・違いを網羅
ここまで解説してきた3つのモデル「ニュークレイ」「アトム」「プロトン」の違いを、より分かりやすく表にまとめました。それぞれに異なる目的と特性があることが一目で理解できるはずです。
項目 | ニュークレイ (Nuclei) | アトム (Atom) | プロトン (Proton) |
---|---|---|---|
主な目的 | 静的保温(保温着) | 汎用的な保温 | 動的保温(行動着) |
着用シーン | 休憩、ビレイ、キャンプ | 街着、ハイキング、ミッドレイヤー | クライミング、冬期登山、BCスキー |
通気性 | 低い (ほぼ無い) | 中程度 | 非常に高い |
防風性 | 非常に高い | 高い | 中程度 (風を通す) |
フィット感 | レギュラーフィット (ゆったり) | トリムフィット (やや細身) | トリムフィット (細身) |
コンセプト | 風を完全に止め、熱を閉じ込める | 保温と通気のバランスを取る | 熱と湿気を外に逃がす |
このように、通気性と防風性が完全なトレードオフの関係になっているのが分かりますね。ニュークレイは「魔法瓶」、プロトンは「換気扇付きの断熱材」とイメージすると分かりやすいかもしれません。
ニッチな今期の化繊ビレイパーカはこのあたり。
— ぜつえん (@zetuenonly) September 26, 2023
がっつりモデルチェンジはBDのみで全社クロスコア中綿になりました。
3万円代だったBD、Rabも値上げでみんな似た金額設定です。
ノースはライトじゃないやつは今季あるのか謎。アークのニュークレイSVのモデルチェンジ後がどれかわからないのも謎でした pic.twitter.com/P6LQTzVs20
総括:アークテリクスのニュークレイ
最後に、この記事の要点をリスト形式でまとめます。
- ニュークレイは行動しない時のための「静的保温着」
- クライミングのビレイや冬キャンプでの使用が本来の目的
- 中綿は軽量で保温性の高い「コアロフト コンティニュアス」
- 表地は防風性に優れた高密度な「Arato」ナイロン
- ダウンに匹敵する軽さと保温性を両立
- 化繊なので濡れや湿気に強く保温性が落ちにくい
- 通気性はほとんどなく行動着には絶対に向かない
- 行動中に着ると激しく蒸れて汗冷えの原因になる
- フィットは重ね着を想定したゆとりのある「レギュラーフィット」
- 街着で使うなら1〜2サイズのサイズダウンを検討
- ヘルメット対応フードや大型内ポケットなど機能的な作り
- 付属スタッフサックで非常にコンパクトに収納可能
- アトムは保温と通気のバランスに優れた「万能選手」
- プロトンは通気性抜群の「行動着」
- 明確な使用目的を持って選ぶことが満足への鍵