日本を代表する二大山岳スポット、富士山と屋久島の縄文杉。どちらも一生に一度は行ってみたい憧れの場所ですが、いざ計画を立てようとすると富士山と屋久島のどっちがきついのかという疑問が真っ先に浮かびますよね。
登山未経験の方や体力に自信がない方にとっては、筋肉痛の程度や必要な装備の準備、あるいは途中でリタイアしたくなった時の救助体制など、不安な要素も多いはず。筆者も最初は、日本一高い富士山が圧倒的にきついと思っていましたが、実際に調べてみると、屋久島の長距離歩行にはまた別の過酷さがあることに気づきました。
この記事では、それぞれのルートの特徴や身体への負担を多角的に分析し、初心者がどちらを先に選ぶべきか、どのようなトレーニングが必要かについて詳しくお伝えします。
この記事でわかること
①富士山と屋久島の物理的データから見る難易度
②高山病や長距離歩行が与えるダメージと筋肉痛
③それぞれの環境で求められる優先順位の登山装備
④初心者が完走するためのステップと安全管理
富士山と屋久島のどっちがきつい?スペックで比較

まずは、数字で見るスペックの比較から始めていきましょう。富士山と屋久島では、歩く距離も登る高さも全く異なります。
どちらがより「きつい」と感じるかは、皆さんの体力のタイプによっても大きく変わってくるポイントかなと思います。筆者の経験上、単純な標高だけでは測れない「隠れた負荷」がそれぞれにあるんですよね。
✅富士山と縄文杉の標高差や歩行時間の違い
✅筋肉痛や疲労困憊の原因となる路面状況の差
✅低酸素が招く高山病のリスクと身体的負荷
✅22キロの長距離歩行と膝へのダメージ
富士山と縄文杉の標高差や歩行時間の違い
富士山の吉田ルート(五合目起点)と、屋久島の縄文杉(荒川登山口往復)を比較すると、まず目につくのは標高差と歩行時間です。富士山は標高差が約1,450mもあり、重力に逆らってひたすら登り続けるパワーが求められます。
一方、屋久島の標高差は約700mと富士山の半分程度ですが、往復の歩行距離が約22kmと非常に長いのが特徴です。

| 比較項目 | 富士山(吉田ルート) | 屋久島(縄文杉往復) |
|---|---|---|
| 往復距離 | 約14km | 約22km |
| 標準歩行時間 | 約7~10時間 | 約10~12時間 |
| 最高標高 | 3,776m | 約1,300m |
| 平均歩数 | 約20,000〜25,000歩 | 約30,000〜40,000歩 |
富士山は移動距離こそ短いものの、一歩一歩が急登であるのに対し、屋久島は「いつ終わるのか」と感じるほどの圧倒的な歩行時間が精神的なきつさに直結します。歩数にして3万歩から4万歩。10時間以上動き続ける持久力があるかどうかが、屋久島攻略の鍵になります。
特に屋久島の場合、朝4時や5時に出発して、帰着が夕方になるという「1日を通した集中力」が試されるんです。富士山も夜通し歩く「弾丸登山」というスタイルがありますが、これは低酸素によるダメージが大きく、また別の種類のきつさがありますね。
時間の制約によるプレッシャーの差
富士山は山小屋が点在しているため、疲れたら宿泊(予約必須ですが)という選択肢もゼロではありません。
しかし、屋久島の縄文杉ルートは荒川登山口への最終バスの時間が決まっているため、逆算して歩かなければなりません。13時頃には縄文杉を出発しないと山中で日没を迎えるリスクがあり、この「時間切れ」への焦りが、体力をさらに削る要因になります。
筋肉痛や疲労困憊の原因となる路面状況の差
足元の状況も、疲労度に大きく影響します。富士山は「砂走り」に代表される火山礫(スコリア)の道で、一歩踏み出すたびに足元がズボッと沈み込み、踏ん張りが効きにくいのが辛いところ。
特に下山時は膝への衝撃が大きく、翌日は激しい筋肉痛に襲われる可能性が高いです。大腿四頭筋(太もも)への負荷は、下り坂でのブレーキ動作によって極限まで高まります。
対する屋久島は、ルートの約8割がかつて杉を運んでいた「トロッコ道」です。一見すると平坦で楽そうに見えますが、実はこれがなかなかの曲者なんですよ。枕木の間隔が一定ではなく、自分の自然な歩幅で歩くことができません。
この不自然な歩幅を数時間繰り返すことで、普段使わない前脛骨筋(すねの筋肉)がパンパンに張りやすくなります。そして、後半の「大株歩道」からは一転して、木の根や岩が露出した急な山道に変わります。

濡れた岩や苔むした木道は非常に滑りやすく、常に体幹を使ってバランスを取らなければならないため、全身が疲労困憊の状態になりやすいのが屋久島の特徴ですね。
足首と膝へのダメージの違い
富士山は単調な登攀が続くため、特定の部位を酷使する傾向があります。一方で屋久島は、不安定な足場を回避するために細かな筋肉を使い続けるため、全体的な「だるさ」が強く残ります。
どちらも共通して膝への負担は大きいですが、ひねりなどの怪我のリスクは、根が張り巡らされた屋久島の方が高いと言えるかもしれません。しっかりとした登山靴選びが、この筋肉痛を軽減する最大の防御策になります。
低酸素が招く高山病のリスクと身体的負荷

富士山における最大の敵は、距離でも傾斜でもなく「酸素の薄さ」です。標高3,000mを超えると酸素分圧は著しく低下し、血中酸素飽和度(SpO2)が下がります。
これにより、高山病の発症リスクが急激に高まります。頭痛、吐き気、激しい倦怠感など、筋肉の疲れとは別の次元で「身体が思うように動かない」という生理的な恐怖を感じるのが富士山ならではのきつさです。
筆者の友人も、フルマラソンを走れる体力があるのに高山病で八合目でリタイアしたことがあります。体力があるから大丈夫、と過信できないのが怖いところですね。
富士登山における高山病は、どれほど体力があるアスリートでも発症する可能性があります。特に寝不足や水分不足は厳禁です。血中酸素飽和度が80%を下回るような状況では、脳浮腫や肺水腫といった命に関わる事態を招く恐れもあります。無理をせず直ちに標高を下げる勇気が必要です。こればかりは気合でどうにかなる問題ではありません。
一方、屋久島の縄文杉へのトレッキングでは標高は約1,300m程度です。この高さでは気圧の低下は約15%ほどに留まるため、酸素不足による直接的な苦痛は富士山と比較して極めて限定的です。
屋久島で息が切れるのは、あくまで「運動による心拍上昇」が原因。富士山での息切れは「吸っても酸素が入ってこない」ことによる生理的ストレスです。この違いを理解しておくだけでも、事前の心構えが変わるはずです。
22キロの長距離歩行と膝へのダメージ
屋久島のきつさは、22kmという距離がもたらす「物理的な摩耗」に集約されます。標準的なペースでも往復で10時間以上はかかるため、終盤には足裏の痛みや、膝関節の違和感を感じる人が続出します。
特に後半の下り坂では、自分の体重の数倍の負荷が膝にかかり続けるため、サポートタイツやトレッキングポールの活用が強く推奨されます。これがあるのとないのとでは、翌日の歩行能力に天と地ほどの差が出ます。
また、屋久島特有の路面環境もダメージを加速させます。濡れた木の根を踏むと、一瞬で足元が掬われるような感覚になります。
滑り落ちないように踏ん張る際、関節や靭帯には相当な負荷がかかっています。富士山の下山も「砂走り」で一気に下りる際に膝を痛めやすいですが、屋久島は「長時間の連続負荷」によって、じわじわと軟骨が摩耗していくような、メカニカルな身体損傷が起きやすい傾向にあります。
※↑↑これ、思った以上にしんどいそうです。(筆者の友人談)
回復にかかる時間の相違
富士山の疲労は、酸素をたっぷり吸って数日休めば抜けることが多いですが、屋久島の22km歩行による筋繊維の損傷や関節の炎症は、回復に1週間近くかかることも珍しくありません。
特に普段から歩き慣れていない初心者の方は、この「22キロ」という数字を重く受け止めるべきかなと思います。もちろん、事前のトレーニングでこのダメージは大幅に軽減できますよ。
富士山と屋久島のどっちがきつい?環境要因で判断

単純なスペックだけでなく、当日の天候や周辺のインフラ状況によっても難易度は激変します。ここでは、実際に現地で直面する環境の違いについて見ていきましょう。精神的な「きつさ」は、実は環境要因の方が大きいかもしれません。
✅雨や湿気が激しい屋久島での装備の選び方
✅初心者が挑戦する際の適切な順番とトレーニング
✅救助体制と山小屋の有無から見る安全性の違い
✅まとめ:富士山と屋久島のどっちがきついのか?

雨や湿気が激しい屋久島での装備の選び方
屋久島は「1ヶ月に35日雨が降る」と言われるほどの多雨地帯です。雨の中を10時間歩き続けるのは、想像以上に体力を奪います。ここで重要なのがレインウェアの質です。
安価なビニールカッパでは内部が汗で蒸れ、服がびしょ濡れになってしまいます。結果として低体温症や深刻な疲労を招くため、ゴアテックス(GORE-TEX)などの透湿性の高い素材が必須となります。濡れた服が肌に張り付く不快感は、精神的な摩耗を加速させます。
屋久島では「濡れないこと」よりも「濡れても体温を逃さないこと」が重要です。速乾性のあるアンダーウェアを選び、綿素材の衣類は絶対に避けましょう。また、靴の中まで浸水すると足の皮がふやけて靴擦れの原因になるため、防水性の高い登山靴もしっかり準備してください。ザックカバーだけでなく、中身を防水バッグに入れる二重の対策も忘れずに!
富士山でも雨は降りますが、それ以上に恐ろしいのが「風」です。森林限界を超えると風を遮るものが何もないため、風速1m/sごとに体感温度は1℃下がると言われています。屋久島が「湿度の戦い」なら、富士山は「風と冷えの戦い」です。

<<どちらの環境も、装備をケチると一気に「きつい」から「危険」に変わってしまいます。>>
初心者が挑戦する際の適切な順番とトレーニング

「どちらを先に登るべきか?」という質問に対し、筆者のおすすめは屋久島からのスタートです。理由は、酸素の薄さという不可抗力の要素が少ないため、自分のペースさえ守れば完走できる確率が高いからです。
まずは屋久島の白谷雲水峡やヤクスギランドといった、3〜5時間程度で歩けるコースで「不安定な足場」に慣れることから始めるのが良いかなと思います。いきなり縄文杉に挑むのではなく、ステップを踏むことが大切です。
トレーニングとしては、週に数回のウォーキングに加え、階段の上り下りを積極的に取り入れたほうが良さそうです。特に「膝を高く上げる」筋肉(腸腰筋)を鍛えておくと、屋久島の木の根が張り巡らされた道や富士山の岩場で足がスムーズに上がります。
また、実際に本番で使う登山靴を履いて、近所の低山(高尾山など)で5〜6時間歩く練習をしておくと、靴擦れの有無や自分の体力の限界値が分かって安心ですよ。富士山を目指すなら、心肺機能を高めるためにジョギングなども有効です。
救助体制と山小屋の有無から見る安全性の違い

意外と知られていないのが、安心感の差です。富士山(特に吉田ルート)は、数十分歩くごとに山小屋があり、トイレも売店も完備されています。
いざという時は救護所に医師がいたり、主要な山小屋には「救助会」によるクローラー(搬送車)があったりと、救助体制が非常に整っています。(出典:富士山のトイレ事情『富士山登山オフィシャルサイト』)こうしたインフラの充実が、極限状態での精神的な支えになります。
一方の屋久島は、一度森に入れば山小屋はなく(宿泊不可の避難小屋のみ)、トイレも携帯トイレブースが基本です。電波が届かない場所も多く、怪我をしても自力で歩くか、人力での搬送、あるいはヘリコプターによる救助を待つしかありません。
エスケープルートがほぼ一本道であるため、途中でリタイアしても結局は長い距離を歩いて戻らなければならないのが屋久島の厳しさです。
この「自己責任の重さ」が、屋久島特有の精神的なハードルを高くしています。不安な方は、ガイドさんを同行させることで、安全性が飛躍的に向上しますよ。
まとめ:富士山と屋久島のどっちがきついのか?
最後にまとめとして、富士山と屋久島のどっちがきついかという問いへの回答です。これは、あなたが「肺が苦しいのが嫌か、足が痛いのが嫌か」という選択に似ています。
どちらも日本が世界に誇る素晴らしい場所ですが、それぞれの「きつさ」の本質を知ることで、準備の仕方が変わってくるはずです。

- 富士山:標高による生理的な苦しさ(高山病)、寒風、単調な登りに耐えられるならおすすめ。日本一の頂に立つ達成感は唯一無二です!
- 屋久島(縄文杉):往復22kmの長丁場を歩き切る根気、雨や湿度への耐性、不安定な足場でのバランス感覚があるならおすすめ。数千年の時を刻む森の生命力は圧巻です!
どちらに挑戦するにしても、自分の現在の体力を見極め、適切な装備を揃えることが成功の秘訣です。不慣れな方はガイドツアーを利用して、歩き方のコツを教わるのも完走への近道ですね。
<<無理のない計画を立てて、一生の思い出に残る最高のアウトドア体験を楽しんでください!>>

なお、正確な登山規制や最新の登山道の状況については、必ず各自治体(屋久島観光協会など)や環境省の公式サイト(屋久島世界遺産センター)・(富士登山オフィシャルサイト)をご確認ください。最終的な判断はご自身の健康状態や当日の天候を考慮した上で、慎重に判断しましょう。安全第一で、素晴らしい山旅を!


