「そろそろ本格的な登山用ザックが欲しいけれど、種類が多すぎてどれを選べばいいか分からない」「タロン22と33、どちらが自分のスタイルに合っているのか決めきれない」といった悩みをお持ちではないでしょうか。
オスプレーのタロンシリーズは、世界中のハイカーから「背負うのではなく着るザック」と称賛されるほどのフィット感を誇りますが、プロ20のような軽量特化モデルや、ランバーパックのタロン6などバリエーションが豊富で、スペック表だけでは自分に最適な一台を見つけるのが難しいのも事実です。
また、似たような容量のストラトスやグレゴリーのズールと比較してどうなのか、防水性や耐久性はどうなのかといった疑問も尽きません。
この記事では、長年アウトドアギアを使い倒してきた筆者が、タロンシリーズの主要4モデル(6・22・33・Pro 20)を徹底的に分析し、2025年モデルの最新アップデート情報も含めて、その実力を余すところなく解説します。
カタログには載っていない「現場でのリアルな使用感」や「ちょっとした不満点」まで包み隠さずお伝えすることで、あなたのザック選びの迷いを完全に解消します。
この記事でわかること
①22と33の構造の違いとサイズ選びの基準
②軽量タロンPro 20やトレラン向けタロン6を選ぶシーン
③新モデルで変更された素材の耐久性と重量
④ストラトスやグレゴリーと比較したメリット・デメリット
オスプレーのタロン6・22・33・プロ20のレビューと特徴

ここでは、オスプレーを代表するロングセラー「タロン」シリーズの中でも、特にユーザーからの関心が高い4つのモデルにフォーカスして、それぞれの特徴や選び方のポイントを深掘りしていきます。
単なる容量の違いだけでなく、パネルローディングかトップローディングかといった構造的な差異や、使用されている素材テクノロジーによる強度の違いなど、実際にフィールドで使用する場面を想定しながら詳細に解説していきます。
✅タロン22と33のサイズ感や背面長の選び方
✅登山でタロン22が人気の理由と評価のポイント
✅タロン33は小屋泊登山に使えるか検証
✅軽量なタロンプロ20と通常モデルの違い
✅トレラン用タロン6のボトル収納と評価
タロン22と33のサイズ感や背面長の選び方

タロンシリーズを検討する際、多くの人が最初に直面するのが「22リットルにするか、33リットルにするか」という選択です。数字だけ見れば11リットルの差ですが、実はこの2つのモデルは「荷物の出し入れ方法(アクセス)」と「想定されるアクティビティ」が根本的に異なります。
パネルローディングとトップローディングの違い
タロン22は「パネルローディング(クラムシェル)」タイプを採用しています。これはメインコンパートメントのジッパーがU字型に大きく開き、パックの下部までガバッと開放できる構造です。
この構造の最大のメリットは、底に入れたレインウェアや救急キットへ瞬時にアクセスできる点です。日帰り登山はもちろん、ジム通いや自転車通勤など、頻繁に荷物を出し入れする日常的なシーンでもストレスを感じさせません。
一方、タロン33は伝統的な「トップローディング(雨蓋式)」を採用しています。巾着のように上から荷物を詰め込み、雨蓋で蓋をするタイプです。
この構造は「詰め込み」に強く、防寒着や食料を無理やり押し込んでもジッパーが壊れる心配がありません。また、雨蓋と本体の間にロープやジャケットを挟み込むといった拡張性も持っています。
背面長(トルソー)の正確な測り方
オスプレーのザックを選ぶ際、身長でサイズ(S/MやL/XL)を選んでしまうのはNGです。必ず「背面長(トルソー)」を基準に選んでください。タロンシリーズは背面長調整機能(アジャスタブル・エアスケープバックパネル)を搭載していますが、ベースとなるサイズが合っていないと、その性能を十分に発揮できません。

【失敗しない背面長の測り方】
メジャーを用意し、以下の手順で測定してください。家族や友人に手伝ってもらうとより正確です。
- 第7頸椎を見つける: 首を前に傾けたとき、首の付け根に最も大きく出っ張る骨を探します。ここがスタート地点です。
- 腸骨稜(ちょうこつりょう)を見つける: 腰骨の左右の頂点を探します。その頂点を結んだ水平なラインがゴール地点です。
- 距離を測る: 背骨のラインに沿って、第7頸椎から腸骨稜のラインまでの長さを測ります。
この長さが43cm〜50cm程度ならS/Mサイズ、48cm〜58cm程度ならL/XLサイズが適合範囲となる場合が多いですが、必ず最新のサイズチャートを確認してください。
また、最近では大柄な体格の方に向けて、ヒップベルトを延長し、ショルダーストラップの角度を調整した「Extended Fit(EF)」モデルも展開されています。「今までどのザックもしっくりこなかった」という方は、ぜひこのEFモデルを試着してみてください。
登山でタロン22が人気の理由と評価のポイント

数あるデイパックの中で、なぜタロン22は長年にわたり「王道」として君臨し続けているのでしょうか。その理由は、単なるスペックの高さではなく、「フィールドでの行動を止めない」ための工夫が細部にまで宿っているからです。筆者が実際に使用して感じた、カタログスペック以上の価値について詳しくお伝えします。
「人馬一体」ならぬ「人ザック一体」の背負い心地
タロン22の核心技術は、「AirScape(エアスケープ)バックパネル」と「BioStretch(バイオストレッチ)ハーネス」の融合にあります。背面パネルは、射出成形されたフレームシートに肉抜きされたフォームを重ねた構造で、背中に吸い付くようなフィット感を実現しています。
多くの高通気性ザック(例えばオスプレーのストラトスなど)は、背面にメッシュを張って空間を作る「トランポリン構造」を採用しています。
これは確かに涼しいのですが、荷物の重心が身体から数センチ離れるため、岩場でのクサリ場やハシゴ場など、身体を振る動作をした際にザックが外側に遠心力で振られる感覚が生じます。対してタロン22は、重心が極めて背中に近いため、身体の動きに完全に追従します。これが「背負っていることを忘れる」と言われる所以です。
行動を止めない独自ギミック:Stow-on-the-Go

筆者が最も気に入っている機能の一つが「Stow-on-the-Go(ストウオンザゴー)トレッキングポールアタッチメント」です。通常、ポールをしまうにはザックを下ろして背面に固定する必要がありますが、この機能を使えば、左のショルダーストラップとパック左下のループを使って、歩きながら「脇差」のようにポールを一時固定できます。
例えば、急に岩場が現れて両手を使いたくなった時や、地図やスマホを確認するために一瞬だけ手を空けたい時。この動作が数秒で完了するため、リズムを崩さずに歩き続けることができるのです。これは一度使うと手放せない機能です。
【コンプレッションストラップの配置の妙】
地味ですが素晴らしいのが、サイドのコンプレッションストラップ(荷物を圧縮するベルト)の位置です。多くのザックでは、このベルトがサイドポケットの上を通っており、ボトルの出し入れを邪魔します。しかしタロン22では、ポケットの中や下を通すことができる「インサイドアウト」構造になっているため、ボトルへのアクセスを妨げません。こうした細かな配慮が、長時間の山行でのストレスを軽減してくれます。
タロン33は小屋泊登山に使えるか検証
「日帰りメインだけど、年に1〜2回は山小屋に泊まりたい。でも、そのために大きなザックを買い足すのはちょっと…」と悩んでいる方にとって、タロン33はまさに救世主となる可能性を秘めたモデルです。結論から申し上げますと、タロン33は「パッキングの工夫次第で、夏の小屋泊登山に十分対応可能」です。
フローティングリッドによる容量拡張性

タロン33の最大の特徴であるトップローディング構造は、パッキングの自由度が非常に高いです。雨蓋(リッド)は固定されておらず、ストラップの長さを調整できる「フローティング(可動式)」になっています。
これにより、メイン気室に入りきらなかったレインウェアやヘルメット、あるいは脱いだフリースなどを、本体と雨蓋の間に挟み込んで固定することができます。
この「プラスアルファの収納力」が、天候が急変しやすい山岳エリアや、防寒着が増える春・秋の登山において強力な武器となります。パネルローディングのタロン22ではジッパーが閉まらなくなるような状況でも、タロン33なら「とりあえず突っ込んで蓋をする」という力技が使えるのです。
スリーピングパッドストラップの存在意義
もう一つ、タロン22にはなくてタロン33にある重要な機能が、パック底部の「スリーピングパッドストラップ」です。ここには、サーマレストのZライトのような「クローズドセルマット」や、軽量なテントポールなどを外付けすることができます。
小屋泊まりであっても、衛生面や寝心地を考慮してマットを持参する人は少なくありません。33リットルという容量の中にマットまで入れるとスペースを圧迫してしまいますが、外付けできることでメイン気室をフルに着替えや食料に使えます。このストラップがあるだけで、宿泊を伴う山行への対応力が劇的に向上します。
【パッキング時の注意点】
タロン33には、大型ザックによくある「サイドアクセスジッパー」や「ボトムアクセスジッパー」がありません。つまり、一度底に入れた荷物を取り出すには、上の荷物をすべて出す必要があります。
そのため、以下のパッキングルールを徹底しましょう。
1. 行動中に絶対に使わないもの(着替え、寝袋、洗面用具)を最下部に入れる。
2. 頻繁に使うもの(行動食、地図、日焼け止め)は雨蓋に入れる。
3. レインウェアや救急キットは、メイン気室の一番上か、雨蓋の下に挟む。
軽量なタロンプロ20と通常モデルの違い
「タロン Pro 20」は、シリーズの中で異彩を放つハイエンドモデルです。価格も通常のタロン22より高価(日本国内参考価格で数千円〜1万円程度の差)ですが、その価格差に見合う価値はあるのでしょうか。
このモデルは、初心者よりもむしろ、ギアの価値を理解している中上級者、特に「ファスト&ライト」を志向するユーザーに向けた製品です。
最強素材「NanoFly(ナノフライ)」の実力

通常モデルとの最大の違いは、メインファブリックに採用されている「NanoFly™」です。これは、100デニールの高強力ナイロンに、200デニールのUHMWPE(超高分子量ポリエチレン)リップストップをグリッド状に織り込んだ特殊素材です。
UHMWPEは、ダイニーマやスペクトラといった商標で知られる繊維と同種の素材で、鉄の数倍の引張強度を持つと言われています。
実際に触ってみると、通常のナイロンよりもパリッとした硬質感があり、岩角に擦り付けても毛羽立ちにくい圧倒的な耐摩耗性を感じます。北アルプスの岩稜帯や、藪漕ぎを強いられるバリエーションルートなど、ギアに対する負荷が極めて高い環境において、この「破れにくさ」は命を守る信頼性に直結します。
軽量化と機能の取捨選択
重量は約1.03kg前後(サイズによる)と、数値上は劇的に軽いわけではありませんが、生地のハリが強いため、荷物が少なくてもパックの形状が崩れにくく、荷重分散性能が高いのが特徴です。また、Proモデルでは一部のストラップやバックルが軽量化されていたり、機能がシンプル化されていたりします。
「軽さは正義だが、耐久性は犠牲にしたくない」という矛盾する要求に対し、最先端の素材工学で回答を示したのがタロンPro 20です。トレイルランニング用のベスト型ザックでは容量不足だが、通常のハイキングザックでは重すぎると感じるファストパッカーにとって、これ以上の選択肢はないでしょう。
(出典:Osprey公式サイト『Talon Pro 20』)
トレラン用タロン6のボトル収納と評価
タロン6は、シリーズの中で唯一の「バックパックではない」モデル、すなわちランバーパック(ウエストバッグ)です。背中の蒸れを完全に解消したい夏の低山ハイクや、長距離のトレイルランニングにおいて、その開放感は他の追随を許しません。
走行安定性を高めるStraightJacketシステム
腰に巻くタイプのバッグで最大の敵となるのが「揺れ(バウンス)」です。走るたびに荷物が上下に暴れるのは不快極まりないですが、タロン6は「Biostretchヒップベルト」と「StraightJacketコンプレッション」によってこの問題を解決しています。
本体を左右から包み込むようなコンプレッションウィングが装備されており、ストラップを締め上げることで、中身が少ない状態でも荷物を強力に圧縮し、腰椎(仙骨付近)にガッチリと密着させることができます。適切に装着すれば、キロ5分台のランニングでもストレスを感じないほどの安定感を発揮します。
「ナルゲンボトルが入らない」問題の真相

しかし、購入前に絶対に知っておくべき注意点があります。それはボトルの適合性です。タロン6には左右にボトルホルダーがありますが、ここのサイズ設計がややシビアです。
【ボトル選びの重要アドバイス】
多くのハイカーが愛用している「ナルゲンボトル(1リットル広口)」は、入れること自体は物理的に可能ですが、非常にきつく、実用的ではありません。
- NG例: 1Lナルゲンボトル。ポケットが限界まで広がり、出し入れに両手が必要になる上、腰へのフィット感を損ないます。
- 推奨例: 自転車用の750mlボトル、オスプレー純正のスポーツボトル、スマートウォーターのような細身のペットボトル、あるいは500ml程度のソフトフラスク。
筆者の経験では、600ml程度のサイクリングボトルを使用するのが最もスムーズでした。無理に太いボトルを使おうとせず、このバッグの設計に合わせたボトル選びをすることが、快適に使うための鍵となります。
オスプレーのタロン6・22・33・プロ20のレビューと詳細

ここからは、実際に購入を検討する段階で気になる「細かいけれど重要なポイント」について解説します。レディースモデルとの違いや、雨の日の対策、ライバル製品との比較など、買ってから後悔しないための情報をまとめました。
✅レディースモデルのテンペストとの違い
✅タロンシリーズの防水性とレインカバー
✅ストラトスやグレゴリー製品との比較
✅旧モデルと現行モデルの変更点
✅総括:オスプレーのタロン6・22・33・プロ20のレビュー
レディースモデルのテンペストとの違い

タロンの対になるレディースモデルが「テンペスト(Tempest)」です。「単にカラーリングを変えてサイズを小さくしただけでしょ?」と思われがちですが、オスプレーの女性用モデルへのこだわりはそんな浅いものではありません。女性の解剖学的特徴に合わせて、設計が根本から見直されています。
具体的な設計の違い
- ショルダーハーネスの形状: タロンがストレートに近い形状なのに対し、テンペストはバストへの干渉を避けるように大きくカーブを描いています。また、首回りの幅も女性の肩幅に合わせて狭めに設計されています。
- ヒップベルトの角度: 女性の骨盤は男性よりも角度がついている(円錐台形に近い)ため、ヒップベルトのパッド形状がそれに合わせて成形されています。これにより、腰骨の上に乗るようなフィット感を実現しています。
- 背面長(トルソー)の設定: 全体的に短めに設定されており、小柄な女性でも適切な位置で背負えるようになっています。
性別にとらわれない選び方
ここで重要なのは、「男性ならタロン、女性ならテンペスト」という固定観念を捨てることです。例えば、非常に小柄で細身の男性の場合、タロンのS/Mサイズでも大きすぎることがあり、テンペストの方がしっくりくるケースがあります。
逆に、長身で肩幅の広い女性の場合、タロンの方がフィットすることもあります。「レディースモデル」という名前に抵抗があるかもしれませんが、黒やグレーなどの落ち着いたカラーも展開されています。
大切なのは性別というラベルよりも「自分の体にフィットして、荷物を楽に運べるかどうか」です。可能であれば、店頭で両方のモデルを背負い比べてみることを強くおすすめします。
タロンシリーズの防水性とレインカバー

登山初心者の方がよく誤解してしまうポイントですが、タロンシリーズは「完全防水」ではありません。確かに生地表面にはDWR(耐久撥水)加工が施されており、水を玉のように弾きますが、これはあくまで一時的なものです。
雨対策の現実
強い雨に打たれ続けたり、長時間雨の中を歩いたりすると、ジッパーの隙間や縫い目から水が浸入してきます。特にバックパネル側のフォーム部分は保水しやすいため、一度濡れると乾くのに時間がかかります。したがって、山行には必ず別売りの「レインカバー」を携帯する必要があります。
タロンシリーズにはレインカバーが標準装備されていないため(一部の地域やモデルを除く)、オスプレー純正の「Ultralight Raincover(サイズSなど)」や、汎用のカバーを別途購入してくださいね。ザックの中に濡れては困るもの(着替えやダウンジャケット)を入れる際は、防水スタッフバッグやドライサックに入れて二重に防水対策をすることも重要です。
加水分解とメンテナンスの注意点
ザックの内側にはPU(ポリウレタン)コーティングが施されていますが、これは経年劣化や湿気により「加水分解」を起こし、ベタつきや異臭を放つことがあります。これを防ぐためには、使用後のメンテナンスが不可欠です。
【PFASフリー時代のメンテナンス】
最新の2025年モデルなどは、環境への配慮から「PFAS(有機フッ素化合物)フリー」の撥水剤を使用しています。これは環境に優しい反面、従来のフッ素系撥水剤に比べて油汚れに弱く、撥水性能の持続期間が短い傾向があります。
泥汚れや汗(皮脂)がついたまま放置すると撥水性が低下するため、汚れたら中性洗剤で優しく手洗いし、陰干ししてください。撥水性が落ちてきたと感じたら、ニクワックスなどの撥水スプレーでケアすることで、性能を復活させることができます。
ストラトスやグレゴリー製品との比較

↑↑画像:これはストラトス24です。
タロンの購入を検討する際、必ずと言っていいほど比較対象に挙がるのが、同じオスプレーの「ストラトス(Stratos)」や、グレゴリーの「ズール(Zulu)/ジェイド(Jade)」です。これらはどれも素晴らしいザックですが、得意とするシーンが異なります。
背面システムによる決定的な違い
| モデル名 | 背面構造 | 最大の特徴 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| タロン (Talon) | AirScape (フォーム密着型) | ・重心が体に近くブレない ・荷物が軽く感じる一体感 ・動きやすい | ・岩場や鎖場を通る人 ・MTBや走る動作もする人 ・バランス重視の人 |
| ストラトス (Stratos) | AirSpeed (メッシュトランポリン) | ・背中とザックの間に空間がある ・圧倒的な通気性で涼しい ・背中が蒸れない | ・汗っかきで背中の蒸れが嫌な人 ・真夏の低山ハイクがメインの人 ・整備された道を歩く人 |
| グレゴリー ズール (Zulu) | FreeFloat (メッシュ+可動パネル) | ・腰で荷重を支える感覚が強い ・クッション性が高くソフト ・ヒップベルトが体の動きに追従 | ・重い荷物を背負うことが多い人 ・肩の負担を減らしたい人 ・「ザック界のロールスロイス」を体験したい人 |
選び方の結論
選び方はシンプルです。「とにかく背中の涼しさが最優先」ならストラトスを選んでください。ただし、ストラトスは荷物が身体から離れる構造上、重心が後ろに引っ張られる感覚が少しあります。
対して、「動きやすさと安定感が最優先」ならタロンです。身体に張り付くため背中は熱くなりますが、その分、荷物が身体の一部になったかのような一体感が得られ、疲れにくいというメリットがあります。
グレゴリーのズールは、その中間的な存在ですが、腰ベルトの厚みやクッション性が非常に高いため、10kg近い荷物を背負う場合にはズールの方が肩が楽に感じるかもしれません。
旧モデルと現行モデルの変更点

タロンシリーズは数年おきにモデルチェンジを行っていますが、最新の2024-2025年モデルにおける変更点は、主に「サステナビリティ(持続可能性)」と「耐久性」に焦点を当てたものです。
素材の変更と重量の増加
最新モデルでは、メインファブリックに「bluesign®認証リサイクル100D x 210D高強度ナイロン」が採用されました。以前のモデルよりも生地の厚みや密度が増しており、それに伴い重量もわずかに増加しています(例えばタロン22のM/Lサイズで約0.87kgから約1.08kgへ)。
「重くなったのは改悪ではないか?」と感じる方もいるかもしれませんが、実際に触ってみると生地の安心感が違います。薄手の生地は軽量ですが、藪や岩で擦れた際に破れるリスクがありました。新モデルではそのリスクが軽減されており、長期的には「壊れにくい=長く使える」というメリットにつながります。
細部のアップデート
その他、バックルの形状や配置、ロゴのデザインなども微調整されています。また、環境負荷低減のためにプラスチックパーツにもリサイクル素材が使われるなど、見えない部分での進化が進んでいます。
中古市場で旧モデルを探すのも一つの手ですが、ハーネスのフィット感やフォームのへたり具合を考えると、最新の人間工学が反映され、新品の反発力を持つ最新モデルを選ぶのが、結果として最も快適な登山への近道と筆者は思います。
総括:オスプレーのタロン6・22・33・プロ20のレビュー

今回はオスプレーのタロン6・22・33・プロ20のレビューを詳細にお届けしました。結論として、タロンシリーズは「道具としての使いやすさを極限まで高めた、身体の一部のように動けるバックパック」を探している人にとって、間違いのない選択肢です。
最後に、各モデルがどんな人に最適かをまとめます。
- タロン22: 日帰り登山、自転車通勤、フェスなど、あらゆるシーンで使い倒したい「万能選手」を求める人に。
- タロン33: 荷物が増えがちな日帰りハイクや、パッキングを工夫して夏の小屋泊・テント泊にも挑戦したい「野心的なハイカー」に。
- タロンPro 20: 岩場やバリエーションルートなど、過酷な環境でも信頼できる軽さと強さを求める「エキスパート」や「ファストパッカー」に。
- タロン6: 夏の低山ハイクやトレイルランニングで、背中の蒸れから完全に解放されたい「ミニマリスト」に。
それぞれのモデルに明確な個性と得意分野があります。ぜひ自分の登山スタイルや普段のアクティビティに合わせて最適なサイズを選び、フィールドでの「人ザック一体」の快適さを体験してください。
タロンは、あなたの冒険を支える最高の相棒になってくれるはずです。なお、最新の価格や在庫状況については、必ず正規代理店や公式サイトをご確認ください。























