サロモンのセンスライド5のレビュー！サイズ感や登山での評判を検証

トレランシューズを探していると必ず目にするサロモンですが、中でもセンスライド5は評判が良くて気になりますよね。ネット上のレビューを見ているとサイズ感やフィット感について様々な意見があり、自分の足に合うのか迷ってしまうことも多いです。

またランニングだけでなく登山や普段履きとして使えるのか、あるいはソールの寿命がどれくらい持つのかも購入前に知っておきたいポイントだと思います。今回はこの万能モデルについて、実際に使ってみて感じたことを詳しくまとめてみました。

※本記事は、実際にセンスライド5を履き倒して感じた一次情報と、あらゆるユーザーの口コミを総合的にまとめ、導き出した私なりの答えを忖度なしでレビューしています。

サロモンのセンスライド5のレビュー：基本性能

まずは、センスライド5がどのような進化を遂げたのか、実際に足を入れて走ってみて分かった基本的なスペックと使用感について深掘りしていきます。カタログスペックだけでは分からない、細かなニュアンスまでお伝えできればと思います。

評判の良いサイズ感と選び方

シューズ選びにおいて、最も頭を悩ませるのが「サイズ感」ではないでしょうか。特に海外ブランドであるサロモンは、伝統的に「細身（ナロー）」なラスト（足型）を採用しているイメージが強く、「自分の足には合わないんじゃないか」と不安に思う方も多いはずです。過去のモデルでは小指が当たって痛くなる経験をしたことがあり、最初は少し警戒していました。

しかし、結論から言うと、センスライド5のサイズ感は「以前よりも少しフレンドリーになった」という印象です。具体的には、爪先（トウボックス）には縦方向に十分なゆとりがありつつ、横幅（ワイズ）はスタンダードからややタイトといった絶妙な設計になっています。

これにより、足幅が標準的なランナーであれば、普段履いているランニングシューズと同じサイズ（True to Size）を選んで全く問題ありません。

SensiFit™が生み出す極上のフィット感

このシューズの真骨頂とも言えるのが、サロモン独自の「SensiFit™（センシフィット）」技術です。これは、アッパーの補強パーツがミッドソールからレーシングシステムまでを包み込むように配置されている構造のこと。

実際に紐を締め上げていくと、単に上から押さえつけるのではなく、足全体が下から持ち上げられるようにホールドされる感覚があります。

この感覚は、まるでオーダーメイドのシューズを履いているかのよう。特に下り坂で足が前後にズレそうになる場面でも、中足部がガッチリと固定されているため、爪先がシューズの先端に当たって「爪が死ぬ」リスクを大幅に軽減してくれます。

甲高・幅広ランナーへのアドバイス

一方で、日本人に多いと言われる「幅広（2E〜3E相当）」や「甲高」の足を持つ方は少し注意が必要です。標準モデルだと、小指球（小指の付け根）あたりに圧迫感を感じる可能性があります。

また、一部の市場では「WIDEモデル」も展開されています。もし店頭で見かけることがあれば、そちらを優先的に試着することをおすすめします。無理して細いモデルを履くと、長時間のランニングで足がむくんだ際に激痛に変わることもあるので、サイズ選びは慎重に。(※WIDEモデル優先：これ、とても大事なことです。)

EndoFit™によるストレスフリーな履き心地

もう一つ見逃せないのが「EndoFit™（エンドフィット）」です。これはタン（ベロ）の両端がソール内部と連結し、足を筒状に包み込む構造のこと。これにより、走行中にタンが左右にズレたり、靴紐の締め付けが直接足の甲に食い込んだりするのを防いでくれます。長距離を走っても足の甲が痛くなりにくいのは、地味ながら非常に大きなメリットだと感じました。

重さとクッション性のバランス

今回のモデルチェンジにおける最大のトピックは、間違いなくミッドソール素材の刷新でしょう。前作までの振動吸収重視素材「Optivibe」から、反発弾性に優れた「Energy Foam（エナジーフォーム）」へと変更されました。これが走りにどう影響しているのか、詳しく見ていきます。

Energy Foamがもたらす「適度な反発」

Energy Foamは、従来のEVA（エチレン酢酸ビニル）にオレフィン（OBC）を配合した新しいフォーム材です。実際に走ってみて最初に感じたのは、「沈み込みすぎない、コシのあるクッション性」でした。

最近のトレンドである「厚底マキシマリストシューズ」のような、雲の上を歩くようなフカフカ感とは一線を画します。着地した瞬間に衝撃を吸収しつつも、すぐにそのエネルギーを反発力として返してくれる感覚です。公式データなどの詳細は後述しますが、この反発性のおかげで、登り坂でも足がグイグイ前に出るような推進力を感じることができます。

グラウンドフィールを重視する設計

個人的に高く評価しているのは、路面の状況を足裏で感じ取れる「グラウンドフィール」が失われていない点です。トレイルランニングでは、木の根や浮石など、路面の凹凸を瞬時に判断して足の置き場を決める必要があります。

クッションが厚すぎるとこの情報が遮断され、捻挫のリスクが高まることがありますが、センスライド5は「守られているけど、地面の情報も分かる」という絶妙なラインを攻めています。これは、テクニカルなトレイルを好む中級者以上のランナーにとって、非常に信頼できる要素と言えるでしょう。

重量と軽快さのバランス

重量は27cmで約286g（実測値は個体差あり）。数字だけ見れば「最軽量クラス」ではありませんが、実際に履いて走ると数値以上に軽く感じます。これは重量バランスが優れていることと、足との一体感が高いためでしょう。

ドロップ（つま先と踵の高低差）は8mmに設定されており、これは多くのランニングシューズに近い数値です。そのため、フォアフット着地（つま先寄り）でもヒールストライク（踵寄り）でも、違和感なくスムーズな体重移動が可能です。

癖のない走り心地は、ロードシューズから初めてトレイルシューズに履き替える方にとっても、違和感なく移行できる大きな要因となっているようです。

グリップ力とアウトソールの特徴

トレイルランニングシューズの命とも言えるアウトソール。センスライド5には、サロモンが誇る「All Terrain Contagrip®（オールテレイン・コンタグリップ）」が採用されています。文字通り「全地形対応」を目指したこのコンパウンドの実力を検証しました。

あらゆる路面に対応する汎用性

実際に履いてみた環境は、乾いた土のトレイル、岩場、落ち葉の積もった林道、そしてアスファルトのロードです。結論として、「極端な状況以外はこれ一足で全てこなせる」と感じました。

特に優秀なのが、乾いたトレイルと岩場での食いつきです。ラグ（靴底の突起）の形状が前作よりも緻密になり、表面積が増えたことで、硬い路面でも面で捉えてグリップしてくれます。下り坂でブレーキをかけたい時も、しっかりと地面を噛んでくれる安心感がありました。

3.5mmラグの絶妙なバランス

ラグの高さは3.5mmに設定されています。これはトレイルシューズとしては「中くらい」の高さです。この高さが意味するのは、「ロードを走っても突き上げ感が少ない」ということです。

ラグが高すぎる（深すぎる）シューズは、アスファルトの上を走ると足裏にイボイボが当たる感触があり、着地が不安定になりがちですが、センスライド5はそれがほとんどありません。自宅から数キロ走って登山口へ向かい、トレイルを楽しんでまた走って帰る。「Door to Trail」というコンセプトを体現するための、計算し尽くされた設計だと言えます。

苦手なコンディションと注意点

もちろん、万能なソールにも弱点はあります。

もし、泥んこのレースや雨天時の岩場メインのコースを走るのであれば、「Speedcross」のような特化型モデルを選ぶべきでしょう。しかし、晴れた日のハイキングや一般的なトレイルランニングにおいて、不満を感じることはほとんどないはずです。筆者のレベルでは十分すぎるスペックです。

気になる寿命と耐久性の検証

安くない買い物ですから、どれくらい長持ちするのかは重要な問題です。トレイルランニングシューズは過酷な環境で使われるため、ロードシューズよりも消耗が激しいのが一般的ですが、センスライド5の耐久性はどうでしょうか。

強靭なエンジニアードメッシュアッパー

アッパー素材には、耐久性と通気性を両立させた「エンジニアードメッシュ」が採用されています。触ってみると分かりますが、かなりしっかりとした生地感です。特に、足の屈曲によって負担がかかりやすい親指の付け根付近や、岩や木の根にぶつけやすい爪先周りには、適切な補強（オーバーレイ）が施されています。

藪こぎに近いような荒れたトレイルも走りましたが、今のところメッシュが裂けたりほつれたりする気配はありません。通気性が良いのに、引っ掻き傷には強いという、アウトドアユースに最適な素材選びがなされています。

ミッドソールのヘタリにくさ

Energy Foamのもう一つの利点は、へたり（圧縮永久歪み）に対する強さです。従来のEVA素材は、長距離を走ると潰れて元に戻らなくなり、クッション性が低下することがありました。

しかし、多くのユーザーレビューや自身の感覚では、500km程度走行した後でも、新品時に近い反発力が維持されていると感じます。

アウトソールのラグに関しても、ロード走行が多いと削れやすい傾向にはありますが、コンタグリップ自体の耐摩耗性は高く、800km程度までは実用範囲内で使えるポテンシャルを持っているようです。

メンテナンスと汚れについて

耐久性に関して唯一の懸念点を挙げるとすれば、「汚れ」です。特にホワイトや明るいカラーのモデルを選んだ場合、トレイルの細かい泥粒子がメッシュの奥に入り込むと、完全に落とすのは難しいです。

ただ、これは機能的な劣化ではありません。むしろ「山の勲章」として捉えられるなら問題ないでしょう。もし綺麗に使いたい場合は、使用後にインソールを抜いて、ブラシで水洗いし、陰干しする習慣をつけることで、加水分解などの劣化を遅らせることができます。

全体として、コストパフォーマンス（1kmあたりの単価）で見れば、非常に優秀なトレーニングシューズと言えます。

サロモンのセンスライド5のレビュー：用途別評価

ここからは、より具体的な利用シーンに焦点を当てていきます。競合モデルとの比較や、ランニング以外での活用法など、実践的な視点でこのシューズの価値を再評価します。

ライバル製品との詳細な比較

「センスライド5が良いのは分かったけど、他の人気モデルと比べてどうなの？」という疑問に答えるため、主要なライバル製品との比較をしてみます。

対 HOKA Speedgoat 6

Speedgoatは圧倒的なクッション厚とVibramソールによる強力なグリップが魅力ですが、ソールが厚すぎるため「捻挫しそう」という不安を感じる人もいます。センスライド5は、より重心が低く安定感があるため、「自分の足でコントロールして走りたい」というランナーに向いています。

対 Salomon Speedcross 6

同じサロモンでも、Speedcrossはラグが5mm以上あり、泥や雪道では無敵の強さを誇ります。しかし、その深いラグは舗装路では邪魔になり、引っかかりを感じることも。ロードとトレイルをミックスして楽しむなら、間違いなくセンスライド5の方が汎用性が高くストレスがありません。

登山やハイキングにも使える性能

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「走るつもりはないけど、登山用に買っても大丈夫？」という質問をよく受けますが、答えは「YES」です。特に、荷物を極限まで軽くする「ウルトラライトハイキング（ULハイク）」や、スピードを重視する「ファストパッキング」には最適な選択肢となります。

軽量装備での快適性

一般的な登山靴は片足500g〜700g程度ありますが、センスライド5はその半分近い軽さです。足に重りをつけて歩くのと、スニーカーで歩くのとの違いを想像してみてください。一歩一歩の疲労度が段違いです。日帰り登山や、整備された山小屋泊のルートであれば、この軽さは武器になります。

Quicklace™システムの恩恵

登山中に地味に便利なのが、サロモンの代名詞でもある「Quicklace™（クイックレース）システム」です。紐を結ぶ必要がなく、スライダーを上下させるだけで締め付けを調整できます。

• 休憩中にサッと緩めてリラックスする。
• 急な下りが始まる前にワンタッチで締め直してフィット感を高める。
• テント場での脱ぎ履きがスムーズ。

これらの動作が数秒で完了するのは、実際に山に行くと本当にありがたい機能です。余った紐はタンのポケット（レースポケット）に収納できるので、枝に引っ掛けて転倒するリスクも防げます。

普段履きとしての評判と魅力

最近では、機能性だけでなくファッションアイテムとしてのアウトドアシューズの人気が高まっています。いわゆる「ゴープコア（Gorpcore）」スタイルの流行もあり、センスライド5を街履きとして選ぶユーザーが増えています。

洗練されたデザインとカラー展開

センスライド5は、競技用シューズ特有の「派手すぎる色使い」だけでなく、ブラックやグレー、アースカラーを基調とした落ち着いたカラーモデルも多く展開されています。特にオールブラックのモデルや、コラボレーションモデル（SRシリーズなど）は、テック系のパンツやデニムとも相性が良く、街中で履いても全く違和感がありません。

立ち仕事や旅行にも最適

機能面でも街履きに向いています。3.5mmのラグはアスファルト上でも歩きやすく、Energy Foamの適度なクッション性は、長時間の立ち仕事やショッピング、旅行での歩き疲れを大幅に軽減してくれます。

また、完全防水ではありませんが、Contagripソールは雨の日の駅のタイルやマンホールの上でも比較的滑りにくいです（※絶対に滑らないわけではありません）。

急な雨でも安心感があり、濡れてもメッシュ素材なのですぐに乾くというメリットもあります。「高機能なスニーカー」として一足持っておくと、梅雨時期や旅行先で重宝すること間違いなしです。

総括：サロモンのセンスライド5のレビュー

ここまで詳細にレビューしてきましたが、Salomon Sense Ride 5を一言で表すなら、「あらゆる項目で85点以上を叩き出す、最強の優等生」です。

特定の機能（例えば泥道でのグリップや、極厚クッションなど）に特化したシューズは他にもありますが、これほどまでに「ロードの走りやすさ」「トレイルでの安定感」「耐久性」「価格」「デザイン」を高次元でバランスさせたモデルは稀有です。

様々なシューズを履いてきましたが、「今日はどの靴で行こうかな？」と迷った時、ついつい手が伸びるのがこのセンスライド5です。それだけ信頼できる相棒だと言えます。もし購入を迷っているなら、自信を持って背中を押したいと思います。(※履き心地が軽くて、ふくらはぎが疲れない！)

※本記事の情報は執筆時点のものです。正確なスペックや最新の価格については公式サイトをご確認ください。また、シューズのフィッティングは個人差が大きいため、最終的な判断は専門店での試着をおすすめします。