冬の低山登山を楽しみたいけれど、どんな服装で行けばいいか迷ってしまいますよね。標高が低いからといって普段着の延長で出かけると、急な登りでの発汗や稜線での冷たい風にさらされ、想像以上に体温を奪われてしまうことがあります。
冬の低山登山のレイヤリングは、単なる防寒だけでなく、運動中の汗をいかに処理するかが非常に重要です。
この記事では、ユニクロやワークマンといった身近なブランドの活用法から、失敗しない登山ウェアの組み合わせ方まで詳しく解説します。この記事を読めば、寒い季節でも快適に歩き続けるための具体的な装備がわかりますよ。
①汗冷えを防ぐためのレイヤリングの基本構造
②ウールや化繊など素材ごとのメリットとデメリット
③ユニクロやワークマンを安全に使うための注意点
④登山靴選びやアイゼンとの相性など足元の安全対策
冬の低山登山:失敗しないレイヤリングの基本

冬の低山は、実はウェアの調整が一番難しい場所かもしれません。登りは暑くて汗をかくのに、立ち止まると一気に冷えるからです。ここでは、その温度差に対応するための基本的な考え方を見ていきましょう。
✅ドライレイヤーで汗冷えを防ぐ最新の防寒対策
✅ベースレイヤーはメリノウールと化繊を使い分ける
✅行動中も快適なアクティブインサレーションの活用
✅グリッドフリースによる動的な熱管理と温度調整
✅冬用ソフトシェルパンツの防風性と選び方のコツ
ドライレイヤーで汗冷えを防ぐ最新の防寒対策
最近の登山シーンで欠かせなくなっているのが、ベースレイヤーの下に着る「ドライレイヤー」です。これは、かいた汗を素早く上の層へ逃がし、肌を常にドライに保つ役割を持っています。
肌が濡れたままだと、空気の約25倍という速さで体温が奪われてしまうため、これを防ぐことが冬山での生存戦略と言っても過言ではありません。特に、0℃付近の気温で湿った冷気が漂う冬の低山では、一度濡れた肌が冷気にさらされると、体力を急速に消耗させる原因となります。

ドライレイヤーの仕組みと代表的なブランド
ドライレイヤーの最大の特徴は、素材自体が水分を保たない「疎水性」を持っていることです。汗をかくと、メッシュの隙間を通って上のベースレイヤーへ汗を押し出し、自分はサラサラの状態をキープします。
代表的なものには、ファイントラック(finetrack)のドライレイヤーや、ミレー(MILLET)のドライナミックメッシュがあります。網目状の見た目に驚くかもしれませんが、その効果は絶大です。
↓↓画像:通称網シャツ!定番中の定番。筆者の周りでも愛用者多数。
自分に合ったドライレイヤーの選び方
汗っかきな自覚がある方は、ミレーのような少し厚手で大きなメッシュタイプを選ぶと、ベースレイヤーと肌の間に厚い空気層ができて、より高いドライ感と保温性を得られるかなと思います。
一方で、肌当たりや着心地を重視するなら、ファイントラックのような薄くソフトな生地がおすすめです。どちらにせよ、休憩中の不快な冷えを劇的に軽減できるため、冬の低山登山を始めるなら最初に揃えてほしいアイテムですね。
ドライレイヤーは「汗を吸う」のではなく「透過させる」のが仕事です。必ずその上に吸汗性の高いベースレイヤーをピッタリと重ねるようにしましょう。隙間があると汗が移動せず、効果が半減してしまいます。
↓↓画像:ファイントラックのベースレイヤーの人気を二分するベーシック。もう一つは下記のメリノスピン。どちらを選んでも正解!
ベースレイヤーはメリノウールと化繊を使い分ける
肌に直接触れる(ドライレイヤーを挟む場合はその上に来る)ベースレイヤー選びは、冬のレイヤリングの心臓部です。
選択肢は大きく分けて「メリノウール」と「ポリエステル(化繊)」の2つがありますが、筆者の感覚では、運動量が多くなりがちな冬の低山なら、両者の良いとこ取りをしたハイブリッド素材が一番使いやすいと感じています。ベースレイヤーは、ただ暖かいだけでなく、衣服内の湿度をいかに50%前後のコンフォートゾーンに保つかが重要です。

メリノウールの「天然のエアコン」機能
メリノウールは、繊維の内部に湿気を溜め込み、表面は水を弾くという不思議な構造をしています。そのため、濡れても冷たさを感じにくく、急激な体温低下を防いでくれるのが魅力です。
また、天然の防臭効果があるため、汗をかいても臭いにくいのが嬉しいポイント。ゆったり歩く山行や、山頂でのんびりしたい時には最適の素材ですね。
↓↓画像:ポリエステル63%、ウール37%のハイブリッド素材で、風合いが気持ち良い。
化繊の「圧倒的な速乾性」とハイブリッドのすすめ
一方で、ポリエステルなどの化繊は、毛細管現象を利用して汗を素早く拡散・蒸発させます。登りがきつくて滝のように汗をかくような場面では化繊の右に出るものはありません。しかし、汗が冷えた時のヒンヤリ感が強めなのが欠点。
そこで登場したのが、ウールの中に化繊を混ぜたハイブリッド素材です。ウールの「冷えにくさ」と化繊の「乾きの早さ」を両立しているため、冬の低山のように「汗をかきやすいが冷えも厳しい」環境では、これ以上ない合理的な選択肢になります。
| 素材名 | メリット | デメリット | 向いているシーン |
|---|---|---|---|
| メリノウール | 冷えにくい、防臭 | 乾きが遅い、高価 | ゆったりハイク、冷え性の方 |
| 化繊(ポリエステル) | すぐ乾く、丈夫 | 汗冷え感がある、臭いやすい | 運動量が多い急登、暑がりな方 |
| ハイブリッド | バランスが良い | 価格がやや高い | 冬の低山全般におすすめ |
行動中も快適なアクティブインサレーションの活用
「アクティブインサレーション」という言葉を耳にしたことはありますか?これは日本語で言うと「動的保温着」のことで、着たまま動けることを前提とした保温着です。
従来のフリースやダウンの弱点を克服した比較的新しいカテゴリーのウェアで、筆者も冬の低山では一番出番が多いアイテムです。アークテリクスのプロトンシリーズなどがその代表格ですね。
↓↓画像:プロトンFLフーディ・低山での秋冬の活動やトレイルランなど。軽量で通気性重視!
↓↓画像:プロトンフーディ・クライミングや高山登山など山岳アクティビティ全般に対応する汎用性。オールラウンダー!
↓↓画像:プロトンLTフーディ・通気性と保温性のバランスが良好で汗冷えしにくい!
なぜ「脱がなくていい」のが重要なのか
これまでの冬山では、動くと蒸れて暑くなり、脱ぐと冷たい風にさらされて寒いという「脱ぎ着のループ」が登山者の悩みの種でした。
アクティブインサレーションは、高い通気性を持つ中綿とストレッチ性のある表地を組み合わせることで、余分な熱を逃がしつつ、必要な温かさをキープしてくれます。この絶妙なバランスのおかげで、「ずっと着ていられる」のが最大のメリットです。
↓↓画像:ファイントラックのアクティブインサレーションは、日本人の体系にすこぶる合うサイズ感。パンツの取り回しがとても楽でよく考えられている。上下セットでの着用をおススメ!
冬の低山での具体的な運用方法
冬の低山でも稜線に出ると突然強い風が吹くことがありますが、アクティブインサレーションはある程度の防風性も備えているため、わざわざアウターを着なくても対応できる場面が多いです。
もし非常に寒い場合は、この上にハードシェルを羽織れば、中綿が含むデッドエアによって一気に保温力が高まります。軽量でコンパクトに収納できるモデルも多いので、ザックに入れておくだけで安心感が違いますよ。
中綿に「ポーラテック・アルファ(Polartec Alpha)」や「オクタ(Octa)」といった素材が使われているものは、非常に軽量で抜けが良いので特におすすめです。これらは繊維自体に空洞があったり、特殊な織り方をしているため、汗抜けの良さが抜群です。
グリッドフリースによる動的な熱管理と温度調整
定番のフリースですが、登山で使うなら「グリッド構造(裏地が凸凹の格子状)」になっているものが圧倒的に使いやすいです。
パタゴニアの(R1シリーズ)やファイントラックの(ドラウトセンサー)シリーズなどがその代表格ですね。一見すると薄手に見えますが、その構造には緻密な計算が隠されています。冬の低山では標高が上がるにつれて気温が下がりますが、このフリース1枚で幅広い温度域に対応できるかなと思います。

凸凹構造がもたらす魔法のような調節機能
このグリッドの凸部(山になっている部分)は肌に触れて暖かい空気を溜め込む「デッドエア」の役割を果たします。
一方で、凹部(谷になっている部分)は生地が薄くなっており、ここが通気孔として機能します。立ち止まっている時は凸部が温めてくれ、歩き始めて風を受けると凹部から熱と湿気が抜けていくという仕組みです。まさに動的な熱管理が可能なウェアですね。
↓↓画像:何よりフリースよりかさばらない。アウトドアアクティビティではフリースを着ても、山岳アクティビティではグリッドフリース一択!合わせてパンツもどうぞ。
街着のフリースとの決定的な違い
街で着るようなモコモコした厚手のフリースは暖かいが、山で着るとすぐにオーバーヒートしてしまいます。また、かさばるためザックの容量を圧迫するのも難点です。(薄手のフリースという手もあります。)
↓↓画像:フリースなどでポピュラーな手法である繊維を毛羽立たせ絡まった状態で嵩高性を出す「起毛」と異なり、繊維1本1本を立ち上げることで嵩高性を出す「立毛」技術を採用したことで、スムーズな吸水・拡散を実現。明らかにフリースとは違う構造です。

登山専用のグリッドフリースは、適度に風を通すからこそ、ベースレイヤーとアウターの間の「仲介役」として最高の仕事をしてくれます。低山ハイクから本格的な雪山まで、1枚持っておいて損はないマストアイテムと言えます。
冬用ソフトシェルパンツの防風性と選び方のコツ
下半身は上半身ほど頻繁に脱ぎ着ができないため、最初のパンツ選びがその日の快適さを左右します。
冬の低山でおすすめなのは、防風性と透湿性、そして伸縮性のバランスが取れたソフトシェル素材のパンツです。デニムや綿のパンツは、濡れると重くなり乾かないため、絶対に避けてくださいね。また、下半身は筋肉量が多いため、動きを妨げないカッティングも重要なポイントです。

タイツの重ね着で注意すべきポイント
「冬だから」と最初から厚手の裏起毛タイツを履いてしまう初心者の方が多いですが、これは要注意です。最高気温が5度を超えるような低山では、厚手のタイツは行動中にオーバーヒートを引き起こし、足の倦怠感や大量の発汗を招く可能性があります。
筆者のおすすめは、薄手の速乾タイツか、少し奮発して薄手のメリノウールタイツをベースにすること。これにソフトシェルパンツを重ねれば、動きやすさを保ちつつ、必要な保温性を確保できます。
↓↓画像:ジャージのような動きやすさのパンツ。全方位方向のストレッチで楽ちん!感動パンツ。フーディも心地よく機能的。
ソフトシェルパンツの細かな機能チェック
選ぶ際は、膝の曲げ伸ばしがスムーズか、股下にガゼット(マチ)があるかを確認してください。
また、表面にDWR(耐久撥水)加工が施されていれば、多少の雪や泥跳ねを弾いてくれるので、ウェアが重くなるのを防げます。裾にドローコードがついているモデルなら、靴との隙間を埋めて雪の侵入を防ぐ「簡易ゲイター」としても使えて便利ですよ。
最近のタイツには「加圧(コンプレッション)」機能がついたものもありますが、冬場は締め付けが強すぎると血流が悪くなり、逆に足先が冷えてしまうことがあります。サイズ選びは慎重に行いましょう。
冬の低山登山:レイヤリングと装備の最適解
全体のレイヤリングの構成が見えてきたところで、次はアウターや足元、そして気になる格安ブランドの活用術についてさらに深掘りしていきましょう。
✅レインウェアとハードシェルの使い分けと注意点
✅雪山にも対応する登山靴の剛性と防水性の重要性
✅ワークマンやユニクロ素材を賢く活用する技術
✅三首を温めて熱損失を防ぐ防寒小物の効果的運用
✅レイヤリング術が「運用の知恵」であるとは?
✅まとめ:冬の低山登山でのレイヤリング!
レインウェアとハードシェルの使い分けと注意点
アウターレイヤーの選定は、冬の低山において最も議論が分かれるポイントかもしれません。
2,000メートル級以上の本格的な雪山ではハードシェルが必須ですが、雪の少ない低山であれば、高性能なレインウェアで代用することも可能です。しかし、そこには明確な「性能の壁」があることを理解しておく必要があります。
ハードシェルの圧倒的な安心感
ハードシェルは、雪山での過酷な使用を想定し、耐摩耗性の高い厚手の生地で作られています。また、冬の冷たい風を受けてもバタつきにくいハリのある質感も特徴です。
大きなメリットは、脇下に換気用のファスナー(ピットジップ)があるモデルが多いこと。これにより、アウターを着たまま体温調整ができるため、低山でも強風時には非常に心強い味方になります。
↓↓画像:ノースのマウンテンジャケットは、冬の山岳登山でも使えるゴアテックスファブリック製。もちろんピットジップ付きで立体裁断の肩回りやフードも秀逸!パンツのユーザビリティーも優れる。上下セットで揃えて。ただし、関東近郊の冬の低山登山だと、ややオーバースペックかな。
レインウェア活用の限界と「風冷え」のリスク
レインウェアは軽量・コンパクトで素晴らしい装備ですが、冬の強風下では生地が薄いために風圧で内側のロフト(空気層)が押し潰され、体温を奪われやすい「風冷え」が発生します。
また、生地が柔らかく滑りやすいため、もし雪の上で転倒した場合、制動が効かずに滑落が加速する危険性もあります。低山で使う場合は、天候が安定していることが大前提ですね。
レインウェアを冬の低山で使うなら、ミドルレイヤーを通常より一段階厚めにするなどの工夫が必要です。また、アイゼンを引っ掛けて生地を破きやすいので、足元の動作には十分注意してください。
↓↓画像:スーパードライテック素材はゴアテックスに匹敵!ピットジップもあり。ストームクルーザーは安心の一着で、モンベルのベストセラー。無雪期の高山登山でも使える。こちらも必ず上下セットで揃えて!冬の低山登山ならノースよりこちら。
雪山にも対応する登山靴の剛性と防水性の重要性
足元は地面の冷気と直接接触し、かつ心臓から遠い末端組織であるため、最も冷えやすい部位です。冬の低山登山において、靴の選定ミスは単なる不快感だけでなく、疲労や転倒、最悪の場合は凍傷に直結します。基本となるのは「防水性」と「剛性(硬さ)」です。

防水性が生死を分ける?
冬の低山では、一見雪がなくても、日当たりの良い場所では雪が溶けてドロドロの泥濘になっていたり、逆に日陰ではカチカチに凍っていたりします。靴の中が濡れることは、冬山では絶対に避けなければなりません。
必ず「ゴアテックス(GORE-TEX)」などの防水透湿メンブレンを採用した登山靴を選んでください。濡れた足は、乾いた足よりも20倍以上速く冷えると言われています。
アイゼン装着を想定したソールの硬さ
冬の低山でチェーンスパイクや6本爪の軽アイゼンを使用する場合、靴のソール(底)にある程度の硬さが必要です。柔らかすぎるウォーキングシューズにアイゼンを付けると、ベルトの締め付けで足が圧迫されて血行不良になり、激しい痛みや冷えを招きます。
また、歩くたびに靴がしなることでアイゼンが外れるリスクもあります。手でグイッと曲げてもビクともしない程度の剛性があるミドルカット以上の登山靴を選びましょう。
↓↓画像:スポルティバ・低山であっても、アイゼンを使うような環境なら本格的な冬用靴にして。これは、関東近郊の場合が最適!靴下もメリノ混の物をチョイスしてくださいね。
近年はスポルティバの「TX5 GTX」のような、軽さと剛性を両立したアプローチシューズ派生モデルが冬の低山でも大人気です。足首のホールド感がありつつ軽快に歩けるので、初心者の最初の1足としてもおすすめですよ。
🔶注意点 アイゼン装着について!
ただし、前後ともコバがないのと、アイゼンを付けるほどの剛性感はなく、ワンタッチ式もセミワンタッチ式もつかないようです。冬の低山登山でも厳しい状況の山は、冬専用を揃えてくださいね。
ワークマンやユニクロ素材を賢く活用する技術
登山装備をゼロから揃えるとかなりの出費になりますよね。そこで注目されているのがユニクロやワークマンです。筆者もこれらのブランドが大好きですが、登山においては「使っていいもの」と「絶対に避けるべきもの」が明確に分かれます。
近年、ワークマンなどは専門ブランドに肉薄する技術を投入していますが、限界を知っておくことが大切です。

ユニクロ:ヒートテックはなぜ登山に不向きなのか
重要なので繰り返しますが、ユニクロのヒートテックを冬の登山で着るのはおすすめしません。その理由は、主成分の「レーヨン」にあります。レーヨンは吸湿性に優れますが、保水力が高すぎて一度濡れるとなかなか乾きません。
登山で大量の汗をかくと、ヒートテックが冷たい湿った布に変わり、休憩中に一気に体温を奪う「汗冷え」を招きます。一方で、ユニクロの「ドライEX」や「フリース」、「※パフテックジャケット」などの、化繊100%のものを選べば予備の防寒着として非常に優秀です。(低山登山に限る)
🔶パフテックジャケット・パーカ
「パフテックパーカ」は、軽くて暖かい高機能中綿素材「パフテック・ユニクロと東レが共同開発」を使用したアウター。極細の中空糸(マカロニ状)が空気をたっぷり含むことで、高い保温性を発揮。2枚の生地を織り合わせた特殊素材は針穴がなく、雨や風が侵入しにくい設計。小雨程度なら弾くはっ水加工(ハスの葉の原理)も施されている。
袖口や裾には伸縮性のあるテープとギャザーを採用し、冷気の侵入を軽減。3Dカット設計により腕を上げやすく動きやすいのも特徴(山岳アクティビティに有効)。手洗い可能で手入れが簡単な点もアウトドア使いには魅力的。
↓↓画像:パフテックパーカ・ジャケットもある。

ワークマン:最新の「メリノテック」の衝撃
最近のワークマンは本当にすごいです。特に「メリノテック」シリーズは、高価なメリノウールを使いつつ、熱伝導性の高いグラフェンを組み合わせるなど、驚きのコスパを実現しています。低山のハイクであれば、ベースレイヤーとして十分すぎる性能ですね。
ただし、ウェアの立体裁断やフードの調整機能など、細かい作り込みにおいてはやはり登山専用ブランド(モンベルやパタゴニア等)に一歩譲ります。過酷な環境に行くなら専門ブランド、整備された低山ならワークマンといった具合に、賢く使い分けてくださいね。
三首を温めて熱損失を防ぐ防寒小物の効果的運用
人体の熱の多くは、頭部と「3つの首(首、手首、足首)」から放出されます。ここを保護するだけで、高価なジャケットを1枚追加するのと同じくらいの保温効果が得られることもあります。小物を制する者は冬のレイヤリングを制す、と言っても過言ではありません。(笑)
頭と首:体温の流出口を塞ぐ
冬山では耳まで隠れるウールやフリース製のニット帽が必須です。頭部からの放熱はバカにできず、帽子をかぶるだけで全身のポカポカ感が変わります。また、ネックウォーマーも重要です。太い血管が通る首元を温めることで、全身に温かい血流が回りやすくなります。
ワークマンのメリノウール製ネックウォーマーなどは安くて高性能なので、予備を含めて持っておくと重宝しますよ。
↓↓画像:スマートウールの製品・このメリノビーニーは薄手のもの。オシャレ!ネックゲイターも薄手だが、使い勝手が良い。これだけでもだいぶ違うよ!
手首と足首:末端の冷えをシャットアウト
手袋は「薄手+防風」のレイヤリングが基本です。スマホ操作ができる薄手グローブの上に、風を防ぐミトンやグローブを重ねることで、細かい作業と保温を両立できます。
↓↓画像:ノースのグローブ、寒い時は重ねて使える。手の保護や防寒に!
そして足元。靴下は絶対に「厚手のメリノウール製(スマートウールなど)」を選んでください。単に暖かいだけでなく、クッション性が高いので足の疲れを軽減し、靴とのフィット感を高めて靴擦れを防いでくれます。
↓↓画像:スマートウールのソックス。厚手でつま先も暖かい。クッション性の良い一足!
↓↓画像:メリノパイル製を使ったキャラバンの靴下。専門メーカーのソックスだがリーズナブルな一足!
(出典:熱中症環境保健マニュアル ※寒冷期における防寒の基本原理についても応用される一般的な生理学的知見)
レイヤリング術が「運用の知恵」であるとは?
ここまで装備の選び方を解説してきましたが、最後は「運用の知恵」です。どんなに良いウェアを持っていても、使い方が間違っていれば宝の持ち腐れ。冬の低山で遭難や体調不良に陥るケースの多くは、装備の不足ではなく、装備の「調整不足」から生じているかなと思います。
↓↓レイヤリングについては、下記の記事でも扱っているので参考にしてください。
スタート時の「少し肌寒い」が正解
登山口で準備をしている時、寒いからといってアウターをしっかり着込んで出発していませんか?これは失敗の第一歩です。歩き始めて15分もすれば、体温は一気に上昇します。
「歩き出しは少し寒いくらい」でスタートし、身体が温まった時にちょうど良くなるように調整するのが登山の鉄則です。最初から厚着をしていると、脱ぐタイミングを逃して汗だくになり、その汗が後の汗冷えを引き起こします。

知識を持って冬の絶景へ
冬の低山は、虫がいなくて空気も澄み渡り、富士山や遠くの山々が本当に綺麗に見える最高の季節です。今回お話ししたドライレイヤー、適切なベースレイヤー、そしてアクティブインサレーションの組み合わせを実践すれば、寒さを恐れる必要はありません。
なお、山の状況は刻一刻と変わります。最新の気象情報や積雪状況は、必ず「ヤマレコ」や「YAMAP」などのアプリ、あるいは現地の公式情報を確認してください。冬の低山登山におけるレイヤリング術をマスターして、冬ならではの静寂と絶景を心ゆくまで満喫してくださいね。
| アイテム | チェックポイント | 優先度 |
|---|---|---|
| ドライレイヤー | メッシュ構造で肌を乾かせるか | 高(汗冷え防止) |
| 登山靴 | ゴアテックス採用、ソールが硬いか | 最高(安全性) |
| アイゼン類 | チェーンスパイクや6本爪を携行しているか | 高(スリップ防止) |
| 保温着(予備) | ダウンや厚手フリースをザックに入れたか | 中(停滞時用) |

まとめ:冬の低山登山でのレイヤリング!
この記事で解説した重要なポイントをリストにまとめました。最終チェックとして活用してくださいね。
- 冬の低山は標高が低くても運動強度と気温差による汗冷えのリスクが高い
- 肌を常にドライに保つ疎水性のドライレイヤーをベースレイヤーの下に着用する
- 濡れた肌は乾燥時と比較して25倍の速さで体温を奪うため汗処理が生存戦略となる
- ベースレイヤーは保温性の高いメリノウールと速乾性に優れた化繊の長所を組み合わせる
- 衣服内のコンフォートゾーンとして湿度50パーセント前後を維持することを目指す
- 行動中の蒸れを防ぎつつ停滞時の保温性を両立するアクティブインサレーションを活用する
- グリッド構造のフリースは凸凹の隙間から熱を逃がしデッドエアで効率よく保温する
- ボトムスはジーンズなどの綿素材を避け防風性と伸縮性のあるソフトシェルパンツを選ぶ
- 厚手の裏起毛タイツは行動中にオーバーヒートを招くため薄手タイツとの併用で調整する
- 登山靴は雪解け水や泥による濡れを防ぐためゴアテックス等の防水素材が必須となる
- アイゼンの締め付けによる痛みや脱落を防ぐためにソールが硬い靴を選定する
- ユニクロのヒートテックはレーヨンが水分を保持し汗冷えを誘発するため登山には不向き
- ワークマンのメリノテックなどレーヨンを含まない高コスパなウール製品を賢く取り入れる
- 首や手首および足首の3つの首を小物で重点的に温めて効率的に熱損失を防ぐ
- 歩き出しは少し肌寒い程度の服装でスタートし行動中の発汗を最小限に抑える
無理な山行は避け、ご自身の体調に合わせて安全第一で楽しんでください。正しい装備は、あなたの挑戦をしっかりと支えてくれるはずです。いってらっしゃい!





🔶ワークマン メリノテックアクティブインサレーション長袖Tシャツ
・ワークマンのメリノテックは、天然の保温性を持つメリノウールと熱伝導性に優れたグラフェンを組み合わせた画期的な素材 。これを活用したアクティブインサレーションは、驚きの低価格ながら行動中の蒸れを逃がし、停滞時は暖かさを保つ「動的保温」を実現。
冬の低山ハイクにはコスパ最強の選択肢と言える 。(ポリエステル75%・ウール23%・ポリウレタン2%)・ジャケットやフーディもある。参考までに。
↓↓画像:腹横にシークレットポケット・サムホール付き・マスタードイエローがおススメ!