大好きな愛犬と一緒に、関東の豊かな自然の中を歩いてみたい。そう考えている飼い主さんは多いですよね。
でも、いざ計画を立てようとすると、犬連れの登山を関東で楽しむにはどこが初心者向けなのか、あるいはロープウェイなどの公共交通機関にペットを乗せても大丈夫なのかなど、気になることがたくさん出てくるはずです。
都心からアクセスの良い奥多摩や秩父、丹沢エリアには、実はワンちゃんと一緒に歩きやすいフィールドがたくさんあります。
一方で、山にはマダニやヘビといった特有のリスクや、他の登山者への配慮など、街中の散歩とは違うルールも存在します。筆者も最初は不安でしたが、事前の準備さえしっかりすれば、愛犬との登山は一生の思い出になる最高の体験になりますよ。
この記事では、関東近郊で愛犬と一緒に登れるおすすめのスポットから、気になる温泉施設の情報、および絶対に知っておきたい安全対策までをまとめました。これを読めば、週末のプランニングがスムーズに進むはずです。ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。

この記事でわかること
①関東で小型犬でも安心して歩ける登山スポット
②ケーブルカーやロープウェイの利用条件とルール
③マダニなどから愛犬を守る具体的なリスク管理術
④下山後に立ち寄れる温泉やカフェの活用法
犬を連れて登山を楽しむ:初心者向けガイド【関東エリア編】

関東圏には、都心から数時間でアクセスできる魅力的な山岳地帯が広がっています。
まずは、初心者の方でも安心して挑戦できる、関東エリアの定番スポットを深掘りしてご紹介します。単に景色が良いだけでなく、愛犬を歓迎してくれる文化や設備が整っている場所を厳選しました。
✅初心者も安心な高尾山や御岳山の整備されたコース
✅ロープウェイやケーブルカーが利用可能な山岳エリア
✅登山後に愛犬と立ち寄れる周辺の温泉施設
✅富士山を望む金時山や絶景が魅力のスポット
初心者も安心な高尾山や御岳山の整備されたコース
東京都内で最も知名度が高く、かつ愛犬家に優しいスポットといえば、やはり高尾山と御岳山です。筆者も季節を変えて何度も足を運びますが、どちらも道が非常によく整備されているため、愛犬の足腰への負担を抑えつつ、本格的な自然を楽しめるのが最大のメリットですね。
高尾山:1号路から始めるステップアップハイク
高尾山のメインルートである1号路は、山頂まで全線舗装されています。そのため、「登山というよりは、高低差のあるお散歩」感覚で楽しむことができ、初めての犬連れ登山には最適です。道中には、テラス席で一緒に自然薯そばを楽しめる茶屋が多く、休憩ポイントに困ることはありません。
体力に自信があるワンちゃんなら、沢沿いの6号路や、吊り橋がある4号路など、より自然豊かなコースへステップアップするのも楽しいですよ。
御岳山:歴史と信仰が育んだドッグフレンドリーな聖地
青梅市にある御岳山は、関東の愛犬家なら一度は訪れたい「聖地」です。山頂の武蔵御嶽神社には、ニホンオオカミを神格化した「おいぬ様」が祀られており、古くから犬との縁が深い場所なんです。その歴史的背景から、参道の商店街やお土産屋さんは驚くほどワンちゃんに寛容です。
また、標高929mの山頂付近までケーブルカーで一気に上がれるため、山歩きの美味しいところだけを愛犬と楽しむことができます。さらに足を伸ばして「ロックガーデン」まで歩けば、苔むした岩場と清流が織りなす幻想的な景色の中で、愛犬もきっと野生の勘を刺激されるはずです。

- 高尾山:1号路は夜間も街灯があり安心。リフトは愛犬を抱っこして一緒に乗車可能。
- 御岳山:武蔵御嶽神社で「愛犬祈祷」を受け、健康を祈願できる。
- 利便性:どちらも公共交通機関でのアクセスが抜群で、車の運転が苦手な方でも安心。
ロープウェイやケーブルカーが利用可能な山岳エリア
「標高が高い場所の空気を吸わせてあげたいけれど、登り坂を全部歩かせるのは体力的に心配……」という飼い主さんにとって、文明の利器であるロープウェイやケーブルカーは強力な味方です。関東には、ペットと一緒に乗れる乗り物が備わった山が点在しています。
埼玉・栃木エリア:観光ハイクの楽しみ
埼玉県の長瀞にある宝登山は、標高497mとコンパクトながら、ロープウェイを利用することで誰でも手軽に山頂へ到達できます。山頂付近にはロウバイ園や小動物公園があり、観光要素が強いのが特徴です。
一方、栃木県の那須岳(茶臼岳)は、標高1,900mを超える本格的な火山ですが、ロープウェイで9合目まで上がれるため、荒涼とした火山特有の絶景を最短距離で楽しめます。那須ロープウェイには大型犬でも入れるレンタルケージが用意されているのも、飼い主さんには嬉しいポイントですね。
利用時の注意点:施設ごとのルールを遵守しよう
便利な乗り物ですが、利用条件は施設によって厳密に決まっています。「ケージやクレートに全身を入れなければならない」場所もあれば、「リードだけでOK」な場所もあります。
例えば、筑波山のロープウェイは全身を覆うバッグが必須ですが、御岳山のケーブルカーはリードのみで乗車できるペット優先エリアが設けられています。事前の確認不足で「乗れなかった……」という悲しい事態を避けるためにも、計画段階で各公式サイトの「ペット同伴規定」を熟読しておきましょう。
| スポット名 | 利用する乗り物 | ペットの乗車条件と特徴 |
|---|---|---|
| 御岳山 | ケーブルカー | リードのみで乗車可能。ペット専用エリア・運賃設定あり。 |
| 高尾山 | ケーブルカー | 全身を隠せるケージまたは専用バッグが必須。 |
| 高尾山 | エコーリフト | 飼い主が抱っこして乗車。中型犬までが現実的な目安。 |
| 筑波山 | ロープウェイ | 全身を覆うクレート等が必要。レンタルはない場合が多い。 |
| 那須岳 | ロープウェイ | 大型犬用レンタルクレートあり。山頂駅からは砂礫の道。 |
| 鋸山 | ロープウェイ | 10kg以下の小型犬限定。別途ペット料金(300円)が必要。 |
※運行状況や料金、ルールは変更されることがあるため、必ず事前に各公式サイトでご確認ください。
登山後に愛犬と立ち寄れる周辺の温泉施設
山を歩き切った後の温泉は、登山の醍醐味の一つですよね。しかし、残念ながら日本の多くの温泉施設では、ワンちゃんの同伴入館は認められていません。それでも諦める必要はありません。最近の愛犬家の間では、「交代入浴」というスタイルが定着しています。
交代入浴を快適にするための施設選び

交代入浴とは、一人が車内で愛犬と待機し、もう一人が入浴する。それを交互に行うスタイルです。これを快適に行うためには、駐車場が広く、風通しの良い温泉施設を選ぶのがコツです。
例えば、埼玉県の日和田山からほど近い「蔵の湯」などは、地元の方にも愛される広い施設で、交代入浴を前提に利用するハイカーも多いです。また、御岳山の麓にある「つるつる温泉」は、その名の通り美肌の湯として知られ、下山後のリフレッシュには最高ですよ。
下山後のケア:愛犬もリラックス
飼い主が温泉を楽しんでいる間、愛犬もリラックスできるよう、足裏の汚れをしっかり拭き、ブラッシングをしてあげましょう。また、温泉施設の近くにあるドッグカフェを予約しておけば、入浴後に愛犬と一緒にゆっくり食事を楽しむことができます。
長瀞エリアなら、宝登山の帰りに「阿左美冷蔵」のカキ氷をテラスで楽しんだり、高尾山なら駅周辺のイタリアンで愛犬とディナーを楽しむのも素敵ですね。
富士山を望む金時山や絶景が魅力のスポット
「初心者向けの山には慣れてきたから、次はもう少し本格的な景色を見てみたい」という方におすすめしたいのが、箱根エリアの金時山です。標高1,212mと聞くと高く感じるかもしれませんが、登山道は整備されており、多くの愛犬家が訪れる人気の山です。
金時山:金太郎伝説の地で富士山を仰ぐ
金時山の最大の魅力は、山頂から望む富士山の圧倒的な存在感です。眼下には芦ノ湖が広がり、まさに「箱根に来た!」という実感が持てます。登山道には岩場も含まれるため、中型犬や運動能力の高いワンちゃんなら、アスレチックのように楽しそうに登っていく姿が見られるでしょう。
山頂にある茶屋では、犬連れを歓迎してくれる場合もあり、絶景を眺めながらの名物「金時娘のなめこ汁」は格別です(※混雑状況によりルールが変わるため、周囲への配慮を忘れずに)。
筑波山:巨岩・奇岩の間を縫う冒険コース
茨城県の筑波山も、絶景スポットとして外せません。ケーブルカーも利用できますが、自分の足で登るコースは巨岩や奇岩が連続し、変化に富んだ山歩きが楽しめます。
ただし、足場が不安定な箇所も多いため、飼い主さんは常に愛犬の動きに注意を払い、必要に応じてハーネスで引き上げるなどのサポートが求められます。山頂から関東平野を一望する瞬間、愛犬と共有する達成感は何物にも代えがたいものです。

犬を連れて登山を楽しむ:リスク管理とマナー【関東エリア編】

自然の中での活動には、予期せぬリスクが常に付きまといます。特に犬は人間のように言葉で不調を訴えることができません。筆者が実践している、愛犬の命を守るためのリスク管理術を詳しく解説します。
✅マダニ対策や野生動物との遭遇を防ぐ安全装備
✅暑さ対策や熱中症を防ぐための夏山登山の注意点
✅排泄物の処理やリード着用など登山者の基本マナー
✅岩場や悪路から愛犬を守るドッグギアの選び方
✅まとめ:犬を連れて登山【関東エリア編】
マダニ対策や野生動物との遭遇を防ぐ安全装備
山岳地帯において、クマやイノシシ以上に日常的な脅威となるのがマダニと毒蛇です。これらは街中の公園よりも遥かに高い密度で生息しており、適切な対策なしに山へ入るのは無謀と言わざるを得ません。
マダニの恐ろしさと科学的な予防法
マダニは草むらの葉の先で獲物を待ち構えており、犬が通りかかると一瞬で飛び移ります。吸血そのものも問題ですが、本当に怖いのは「バベシア症」や「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」といった致死性の高い感染症です。市販の虫除けスプレーだけでは、深い茂みに潜むマダニを完全に防ぐことは不可能です。
(出典:厚生労働省『ダニ媒介感染症』)
- 動物病院の処方薬: 登山に行く数日前までに、必ずフロントライン等の駆除薬を投与しておきます。これが唯一にして最大の防御です。
- 被毛のブラッシング: 下山直後、車に乗せる前に、ノミ取り櫛で全身をチェックします。特に目の周り、耳の付け根、指の間は要注意。
- 除去器具の携行: もし食いつかれているのを見つけたら、無理に引っ張らず、専用の「ティックツイスター」などを使って頭部を残さず除去してください。

ヘビ(マムシ・ヤマカガシ)への対応

関東の山にはマムシも生息しています。犬は動くものに興味を示し、茂みに顔を突っ込んで鼻先を噛まれるケースが多いです。
万が一噛まれた場合は、毒を吸い出そうとせず、患部を安静にして直ちに最寄りの動物病院へ搬送してください。事前に現地の動物病院の連絡先をメモしておくことが、生死を分ける分かれ道となります。
暑さ対策や熱中症を防ぐための夏山登山の注意点
「山の上は涼しいだろう」という思い込みは危険です。標高が1,000m上がっても気温は約6度しか下がりません。さらに、犬は人間よりも地面に近い位置を歩くため、アスファルトや岩場からの「輻射熱」をまともに受けてしまいます。
熱中症を未然に防ぐ行動選択
筆者の場合、7月〜9月の真夏日は標高1,500m以下の低山には絶対に行きません。もし行くのであれば、日の出とともに登り始め、午前10時には下山を完了させるスケジュールを組みます。
また、犬は汗をかいて体温を下げることができないため、パンティング(口腔蒸散)に頼るしかありません。湿度の高い日本の山では、この機能が十分に働かず、あっという間に体温が40度を超える熱中症に陥ってしまいます。
水分補給と便利グッズの活用
飲み水は「人間用+犬用」でかなりの重量になりますが、決して削ってはいけない荷物です。飼い主は通常の1.5倍から2倍の量を持参し、こまめに少しずつ飲ませるようにしてくださいね。
最近では、水に濡らして着せる「クールベスト」や、肉球を熱や鋭い岩から守る「ドッグブーツ」も非常に進化しています。これらを活用することで、愛犬の疲労度を劇的に軽減することが可能ですよ。
↓↓画像:なんと、ビブラムソールです。(笑)
ラフウェア(RUFFWEAR):JAPAN ラフウェアはあのモンベルでも取り扱っているので安心ですよ。
排泄物の処理やリード着用など登山者の基本マナー
犬連れ登山を楽しむためには、他の登山者との調和が不可欠です。「犬が入れる山」がこれ以上減らないよう、私たち一人ひとりが高い倫理観を持つ必要があります。
リード着用は「絶対の義務」
山岳環境におけるノーリードは、事故の元凶です。野生動物の匂いを追って滑落したり、逆に野生動物に襲われたりするリスクがあります。
また、狭い登山道で犬が急に飛び出してくれば、他の登山者が驚いて転倒し、大怪我をさせてしまうかもしれません。どんなに訓練された犬であっても、伸縮しない固定式のリードを短く持って歩くのが登山の鉄則です。
排泄物の管理:生態系への配慮
犬の糞を山に放置することは、環境汚染そのものです。野生動物にはない細菌を山に持ち込むことになり、地域の生態系に甚大な影響を与える可能性があります。
必ず専用の防臭袋に入れ、自宅まで持ち帰りましょう。また、水場(沢や湧き水)付近での排泄は、下流でその水を飲用する登山者もいるため、絶対に避けなければなりません。

岩場や悪路から愛犬を守るドッグギアの選び方
犬連れ登山をより安全で快適なものにするためには、装備への投資を惜しまないことをおすすめします。人間が登山靴を履くように、犬にも山専用のギアが必要です。
ハンドル付きハーネスの重要性

筆者が最も重要だと感じているのは、背中に「ハンドル(持ち手)」がついた頑丈なハーネスです。登山道には、ワンちゃんの足ではどうしても越えられない段差や、滑りやすい岩場が出てきます。
そんな時、ハンドルがあれば安全に愛犬をリフトアップしてサポートできます。また、万が一の滑落時にも、首輪ではなくハーネスであれば体へのダメージを分散させることができます。
緊急時のエマージェンシー・ギア
もし山の中で愛犬が怪我をして歩けなくなったら、あなたはどうしますか?数kgの小型犬なら抱っこで下山できますが、20kgを超える中型犬・大型犬の場合は、一人で運ぶのは不可能です。飼い主は万が一に備え、犬を背負うことができる「ドッグキャリー(スリング)」を必ず携行してください。
また、岩場で肉球を切ってしまう事故も多いため、粘着しない包帯や洗浄用の水など、犬用のファーストエイドキットも必須アイテムです。
- ハンドル付きハーネス: ラフウェアなどの登山ブランドが信頼性高め。
- 非伸縮リード: 1.5m〜2m程度の、強度の高いナイロン製。
- 犬用レインウェア: 撥水性だけでなく、視認性の高い色を選ぶのがコツ。
- ポータブル水飲み皿: シリコン製の折りたたみタイプが軽量で便利。
- 高カロリーな犬用おやつ: 消費エネルギーが激しいため、小まめに給餌。
まとめ:犬を連れて登山【関東エリア編】
ここまで、犬連れの登山を関東で楽しむための具体的なスポットから、厳格なリスク管理までを網羅的に解説してきました。関東エリアには、御岳山のような「おいぬ様」への愛に溢れた場所から、金時山のような雄大な富士を仰ぐ山まで、愛犬と絆を深めるための最高のフィールドが揃っています。
しかし、愛犬との登山は、単なるレジャーではありません。それは、愛犬の安全と周囲への配慮を全て引き受けるという、飼い主としての強い責任が伴う冒険です。
マダニの予防薬を忘れず、排泄物は必ず持ち帰り、リードを離さない。これらの基本的なマナーを徹底することが、巡り巡って愛犬を守り、私たち愛犬家が山を楽しみ続けられる未来に繋がります。
「うちの子にはまだ早いかな?」と思ったら、まずは高尾山の1号路のような、舗装された道から始めてみてください。一歩ずつ、愛犬のペースに合わせて山に慣れていくプロセスこそが、何にも代えがたい喜びになるはずです。
安全に犬を連れて登山を満喫できるよう、入念な準備をして、最高の週末を過ごしてくださいね!
※掲載している情報は執筆時のものです。現地の登山道の状況、交通機関のペット乗車規定、動物病院の営業状況などは変更される可能性があるため、出発前に必ずご自身で各公式サイトや最新の登山情報を確認し、自己責任において行動してください。


