「夏の登山でタイツは暑いのでは?」多くの方がそう思われるかもしれません。しかし、実は適切なタイツを選ぶことで、夏の登山はより快適で安全になります。下半身の動きをサポートする機能や、嬉しい疲労軽減効果、さらには虫刺されが防げるという利点も期待できるのです。
快適に履くためには、通気性と素材がポイントになります。この記事では、C3fitのインパクトブリーズロングタイツや、モンベル「サポーテックライトタイツ」は夏登山向きなのかといった具体的な製品にも触れながら、正しい着用方法と注意点まで詳しく解説します。思い込みを解消し、自分に合った一着を見つけてください。
この記事でわかること
①夏の登山でタイツを履く本当の理由と効果
②タイツが暑く感じないための素材や機能の選び方
③夏におすすめの具体的なサポートタイツの紹介
④タイツの効果を最大限に引き出す正しい履き方
夏の登山でタイツは暑い?機能と役割を解説

✅夏の登山でタイツは暑い?はかない方がいいのか?
✅疲労軽減効果がある?
✅下半身の動きをサポートする?
✅登山でタイツを履くと虫刺されが防げる?
✅夏のトレッキングには通気性と素材がポイント
夏の登山でタイツは暑い?はかない方がいいのか?

夏の登山でタイツを履くと暑いのではないか、むしろ履かない方が快適なのではないか、という疑問は多くの方が抱くものです。しかし、一概に「暑いから履かない方が良い」とは言えません。その理由は、登山用タイツが冬の防寒目的だけでなく、夏の使用を想定して作られた製品も多数存在するからです。
夏用のタイツは、接触冷感素材や、通気性に優れたメッシュ素材などが使われています。これらは汗を素早く吸収・発散させ、風が通ることで気化熱を促進し、むしろ素肌でいるよりも涼しく感じられることさえあります。
もちろん、季節に適さない保温性の高いタイツを選んでしまえば暑くて不快になります。しかし、日焼けによる体力消耗や、後述する様々なリスクを防ぐメリットを考えると、夏に適したモデルを選ぶことで、タイツは夏の登山において非常に有効なアイテムとなります。
疲労軽減効果がある?

はい、登山用タイツには疲労軽減効果が期待できます。これは主に「着圧(コンプレッション)」と呼ばれる機能によるものです。
登山では、長時間にわたって下半身の筋肉を使い続けるため、筋肉は細かく振動します。この不要な振動が、疲労の蓄積や筋肉痛の一因となります。着圧機能のあるタイツは、足全体に適度な圧力をかけることで、この筋肉のブレを抑制してくれます。これにより、エネルギーの無駄な消費が抑えられ、パフォーマンスの維持につながるのです。
また、ふくらはぎなどに段階的な着圧設計が施されているモデルは、下から上へと血流を促すポンプのような役割を果たします。血行が促進されることで、疲労物質の排出が助けられ、足のむくみやだるさを軽減する効果も期待できます。翌日に疲れを残したくない方にとって、心強いサポートとなります。
下半身の動きをサポートする?

登山用タイツが持つもう一つの重要な役割が、「下半身の動きのサポート」です。これは主に「サポート」タイプのタイツが持つ機能で、テーピングの理論を応用して設計されています。
タイツに組み込まれたサポートラインが、筋肉や関節の動きを適切な方向に導き、安定させてくれます。特に負担のかかりやすい腰、太もも、そして膝周りをしっかりと支えることで、歩行時のブレが少なくなり、足運びがスムーズになります。
これにより、一歩一歩にかかる負担が軽減され、長時間の登山でも安定したパフォーマンスを維持しやすくなります。特に、膝に不安がある方や、下山時に膝がぐらつきやすい方にとっては、怪我の予防という観点からも大きなメリットがあります。単に筋肉を締め付けるだけでなく、正しい動きを導いてくれるのが、サポート機能の本質です。
登山でタイツを履くと虫刺されが防げる?
はい、登山でタイツを履くことは、虫刺されの予防に有効な対策の一つです。夏の山には、蚊やブヨ(ブユ)、アブ、ヒルなど、様々な害虫が存在します。ハーフパンツなどで肌を露出していると、これらの虫の格好の標的となってしまいます。
タイツを履くことで、肌が直接外気に触れるのを防ぎ、物理的なバリアとして機能します。肌に密着しているため、虫が衣服の中に入り込みにくいという利点もあります。
ただし、タイツの生地の上から刺してくる虫(アブなど)もいるため、100%万全とは言えません。薄手のタイツの場合は、防ぎきれない可能性もあります。そのため、より対策を万全にするためには、タイツを履いた上で、虫除けスプレーをウェアの上から噴霧するなどの併用がおすすめです。
また、虫刺されだけでなく、転倒した際の擦り傷や、草木による切り傷など、小さな怪我からも肌を守ってくれるため、安全対策としての役割も担っています。
夏のトレッキングには通気性と素材がポイント
夏の登山でタイツを快適に履きこなすためには、「通気性」と「素材」の選択が最も重要なポイントとなります。この二つを間違えると、「暑くて不快」という結果につながりかねません。
通気性
夏用タイツの多くは、熱がこもりやすい部分にメッシュ素材を採用するなど、高い通気性を確保する工夫が施されています。
特に、股間部分やお尻、太ももの裏側など、汗をかきやすい部分の通気性が高いモデルを選ぶと、ウェア内に熱や湿気がこもるのを防ぎ、長時間の行動でも快適さが持続します。生地の隙間から風が抜けることで、気化熱による冷却効果も高まります。
素材
素材選びでは、汗を吸って乾きにくい綿(コットン)は避け、「吸水速乾性」に優れた化学繊維(ポリエステル、ナイロンなど)や、天然素材でありながら調湿性に優れたメリノウールを選ぶのが基本です。汗をかいてもすぐに乾き、肌をサラサラの状態に保ってくれます。
さらに、肌に触れるとひんやりと感じる「接触冷感」機能を持つ素材もあります。これらの機能を備えた適切なタイツを選ぶことで、「夏の登山でタイツは暑い」というイメージは大きく変わるでしょう。
夏の登山でタイツが暑い!と感じないための選び方

✅モンベル「サポーテックライトタイツ」は夏登山向き?
✅C3fitのインパクトブリーズロングタイツ・メッシュで暑い日でも快適?
✅C3fit「クーリングトランクス」を合わせる利点とは
✅登山用タイツの正しい着用方法と注意点
✅まとめ:夏の登山でタイツは暑い?
モンベル「サポーテックライトタイツ」は夏登山向き?

はい、モンベルの「サポーテックライトタイツ」は、夏登山に非常におすすめできるモデルの一つです。日本の気候や登山スタイルを知り尽くしたモンベルならではの、優れたバランス感覚が特徴です。
夏に適した機能
このタイツは、前面と後面で異なる生地を使用しています。前面には0.2mmという非常に薄い素材が使われており、これが抜群の通気性を生み出します。風が吹くと素肌のようにスースーと感じられるほどで、夏の暑い日でも蒸れることなく快適に過ごせます。もちろんUVカット機能も備えています。
ふくらはぎ部分には段階的な着圧が設計されており、血行を促進して疲労感を軽減する効果も期待できます。サポート機能と夏に求められる涼しさを、高いレベルで両立させているのが、このタイツが夏登山向きと言われる大きな理由です。
注意点
前面の生地が非常に薄いため、岩場などで強く擦ったり、引っ掛けたりすると破れてしまう可能性があります。ただし、非常に丈夫な繊維が使われているため、小さな穴であればそこから一気に広がってしまうことは少ないようです。
岩稜帯など、よりハードな環境での使用には少し注意が必要かもしれませんが、一般的な登山道であれば、その快適さが大きなメリットとなるでしょう。
C3fitのインパクトブリーズロングタイツ・メッシュで暑い日でも快適?

夏の暑さを極限まで軽減したい、という方に特におすすめなのが、ゴールドウイン(Goldwin)が展開するC3fitの「インパクトブリーズロングタイツ」です。このモデルは、まさに「夏専用」として設計されており、その涼しさは特筆すべきものがあります。
最大の特徴:大胆なメッシュ配置
最大の特徴は、熱が最もこもりやすい「そけい部・お尻・太ももの裏側」といった広範囲に、向こうが透けて見えるほど目の粗い網目状のメッシュ素材を大胆に採用している点です。これにより、他の夏用タイツとは一線を画す圧倒的な通気性を実現しています。
歩くたびに風が通り抜け、熱や湿気を強制的に排出してくれるため、真夏の低山ハイクなど、過酷な暑さの中でも非常に快適です。
サポート機能との両立
もちろん、涼しさだけでなく、C3fitの根幹であるサポート機能もしっかりと備わっています。登山で特に負担のかかる腰、太もも、膝、ふくらはぎといった主要部分をサポートし、疲労を軽減します。
オールシーズンモデルの「インパクトエアーロングタイツ」と比較すると、メッシュ部分のサポート力は若干譲りますが、夏の快適性を最優先に考えた絶妙なバランスと言えます。
モデル名 | 主な特徴 | 適したシーズン |
インパクトブリーズ | 圧倒的な通気性(広範囲の網目メッシュ) | 夏 |
インパクトエアー | 高いサポート力と通気性のバランス | オールシーズン |
このように、サポート機能を維持しつつ、徹底的に「涼しさ」を追求したインパクトブリーズは、夏の登山における強力な味方となるでしょう。
C3fit「クーリングトランクス」を合わせる利点とは
高機能なタイツを履いていても、その下に履く下着(アンダーウェア)が汗で濡れて不快感を覚えては、せっかくの快適さが半減してしまいます。そこで、タイツの効果を最大限に引き出すために有効なのが、C3fitの「クーリングトランクス」のような高機能アンダーウェアを合わせる方法です。
快適さを最大化する相乗効果
C3fitのクーリングトランクスは、タイツと同様に、熱がこもりやすい股間部分などがメッシュ構造になっています。前述の「インパクトブリーズロングタイツ」と組み合わせると、メッシュ部分が重なり、まさに「下着を履いていない」かのような圧倒的な通気性が生まれます。これにより、蒸れによる不快感を根本から解消することが可能です。
素材の機能性
素材自体も、肌に触れるとひんやりと感じる接触冷感機能を持ち、汗をかいてもすぐに乾く速乾性を備えています。タイツとアンダーウェアの両方で汗を素早く処理することで、肌は常にドライで快適な状態に保たれ、汗冷えのリスクも軽減されます。
このように、高機能なタイツを履く際は、その下のアンダーウェアにも気を配ることで、システム全体として快適性を格段に向上させることができるのです。
登山初心者の方に向けて、ゴールドウインの「C3fit」シリーズについて、その特徴や選び方を詳しく解説します。参考にしてください。
ゴールドウイン「C3fit」とは?
C3fitは、日本の大手スポーツアパレルメーカーである「ゴールドウイン」が展開する、高機能なコンプレッションウェアやサポートウェアのブランドです。
単なる「タイツ」とは異なり、運動中の体をより良い状態に保ち、パフォーマンスを向上させるための様々な機能が搭載されています。ブランド名は、以下の3つの「C」に由来しており、これらを高次元で実現することを目指して製品が開発されています。
- Compression(コンプレッション): 適度な着圧で、筋肉の余計なブレを抑え、血行を促進する。
- Conditioning(コンディショニング): 体の調子を整え、運動機能を維持・向上させる。
- Comfort(コンフォート): 快適な着用感で、長時間の使用でもストレスが少ない。
登山においては、この3つの機能が疲労の軽減や怪我の予防に直結するため、多くの登山者に愛用されています。
登山におけるC3fitタイツの主な効果
初心者の方がC3fitのタイツを着用することで、主に以下のような効果が期待できます。
- 疲労感の軽減: 適度な着圧が筋肉の無駄な振動を抑え、エネルギーのロスを減らします。また、血行を促進することで、疲労物質が溜まりにくくなり、下山後の疲労感や翌日の筋肉痛を和らげてくれます。
- 膝や腰のサポート: テーピング理論を応用したサポート機能を持つモデルは、特に負担のかかりやすい膝関節や、体を支える腰回りを安定させます。これにより、歩行時のブレが少なくなり、膝の痛みや腰の不安を軽減します。
- 怪我の予防: 関節を安定させ、筋肉を適切にサポートすることで、捻挫などの思わぬ怪我のリスクを減らすことができます。
【初心者向け】C3fitタイツの選び方
C3fitにはいくつかの種類がありますが、初心者の方はまず、ご自身の目的に合わせて大きく2つのタイプから選ぶと良いでしょう。
1. 「疲労感を減らしたい」なら:コンプレッションタイプ
「とにかく翌日に疲れを残したくない」「足のむくみが心配」という方におすすめなのが、着圧を主機能とする「コンプレッションロングタイツ」です。
このタイプは、一般医療機器「弾性ストッキング」としての認証も受けており、血行促進効果やむくみ軽減効果が期待できます。特定の関節を強く固定するサポート機能はないため、締め付け感が比較的マイルドで、初めてサポートタイツを履く方でも違和感が少なく、快適に着用できるのが特徴です。
2. 「膝や腰をしっかり支えたい」なら:サポートタイプ
「下山時の膝の痛みが不安」「長時間の歩行で腰に負担がかかる」といった悩みを持つ方には、サポート機能に特化したモデルがおすすめです。
特に登山・トレッキング専用に設計された「フォーカスサポートロングタイツ」は、膝や腰を安定させるサポート機能を持ちながら、独自の立体設計により足の上げ下げがしやすく、歩きやすさも両立しています。
また、フロントにファスナーが付いており、サポートタイツ特有の「履きにくさ・脱ぎにくさ」が大幅に軽減されている点も、初心者の方には嬉しいポイントです。
まとめ
ゴールドウインのC3fitシリーズは、登山の疲労や不安を軽減し、より安全で快適な山歩きを可能にしてくれる高機能タイツです。
- とにかく疲れやむくみを軽減したい → 「コンプレッションロングタイツ」
- 膝や腰の動きをしっかり支えてほしい → 「フォーカスサポートロングタイツ」
このように、ご自身の目的に合わせて選ぶことが大切です。高機能なタイツは決して安い買い物ではありませんが、その効果は価格以上のものがあります。購入の際は、必ず店舗で試着をして、ご自身の体に合った正しいサイズを選ぶようにしてください。
登山用タイツの正しい着用方法と注意点
登山用タイツ、特にサポート機能や着圧機能を持つモデルは、その効果を最大限に発揮するために正しい着用方法を守ることが非常に大切です。ただ履くだけでは、十分な効果が得られないばかりか、不快感の原因になることもあります。
正しい着用方法
- たぐり寄せて履く: まず、タイツをウエスト部分から足首部分まで小さくたぐり寄せます。
- 足首から位置を合わせる: 両足首まで通し、かかとの位置をしっかりと合わせます。
- 膝の位置を合わせる: サポートラインの膝の中心と、ご自身の膝のお皿の中心がぴったり合うように、少しずつ引き上げていきます。ここでズレると、サポート効果が正しく得られません。
- 股下を合わせ、ウエストまで引き上げる: 左右均等に、シワができないようにゆっくりとウエストまで引き上げます。
無理に生地を引っ張ったり、爪を立てたりすると、生地を傷める原因になるため注意しましょう。
着用時の注意点
- サイズ選び: 最も重要なのがサイズ選びです。サイズが合っていないと、適切なサポートや着圧が得られません。特にきつすぎると血行不良の原因となることもあります。初めて購入する際は、必ず試着をして、メーカーのサイズ表と照らし合わせながら最適なサイズを選んでください。
- 肌との相性: 肌に直接触れるものなので、縫い目や肌触りも確認してください。肌が弱い方は、縫い目がフラットな製品を選ぶと良いです。
- 使用上の注意を確認: 製品によっては、特定の持病(高血圧など)がある方の使用に関する注意書きがある場合もあります。購入前に必ず確認してください。
まとめ:夏の登山でタイツは暑い?
• 夏用タイツは通気性や接触冷感素材なら暑くない
• 主な役割は疲労軽減と動作のサポート
• 日焼けや虫刺され、擦り傷の予防にもなる
• 機能別に着圧・サポート・ハイブリッドのタイプがある
• 自分の目的に合ったタイプのタイツを選ぶことが大切
• モンベルのサポーテックはサポート力と涼しさを両立
• C3fitインパクトブリーズはメッシュ多用で特に涼しい
• 機能性アンダーウェアとの併用で快適性はさらに向上
• 正しいサイズ選びと着用方法が効果を発揮する鍵
• ハーフパンツと合わせることで通気性もファッション性もアップ
• 綿素材のタイツや下着は汗冷えの原因になるため避ける
• 夏でも高山では保温性も考慮する必要がある
• 思い込みを捨てて適切な一着を選べば夏の登山はもっと快適になる