夏の登山の格好について、登山初心者は何から揃えれば良いか悩んでいませんか。緑が美しい夏の山は魅力的ですが、快適で安全な登山のためには適切な服装選びが欠かせません。
実は、夏でもレイヤリングが大切で、登る山の標高によって服装を選ぶ必要があります。NGの服装とは何かを知り、クーリング機能と速乾性のある素材を選ぶことが、失敗しないための鍵となります。もちろん、紫外線対策や虫対策、そして雨対策必須のため、しっかり備えなければなりません。
この記事では、夏山に最適な登山靴や夏登山の靴下の選び方から、基本的な暑さ対策、さらには低山なら空調服もアリという選択肢や、首に巻く冷感タオルの活用法、命に関わる熱中症対策まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。万全の準備で、安全な夏山登山を楽しんでください。
この記事でわかること
①夏の登山における服装の基本原則とNGな服装
②標高や天候に応じたレイヤリング(重ね着)の方法
③熱中症や紫外線など夏特有のリスクと具体的な対策
④登山を快適にするウェアの素材選びと便利グッズ
夏の登山の格好|基本となる服装選びのポイント

✅服装選びで気をつけることは?NGの服装とは
✅夏でもレイヤリングが大切
✅素材が大事|クーリング機能と速乾性について
✅登る山の標高によって服装を選ぶ
✅適した登山靴とは
✅夏登山は靴下が大事
服装選びで気をつけることは?NGの服装とは
夏の登山の服装を選ぶ際、まず気をつけるべきは「暑さ対策」と「様々なリスクへの備え」を両立させることです。気温が高いからといって、街で着るような半袖・半ズボンといった軽装で臨むのは非常に危険です。
山では、強い日差しによる日焼け、虫刺され、転倒時や植物との接触による怪我など、肌を露出することのリスクが常に伴います。これらのリスクを避けるため、基本的には長袖・長ズボンが推奨されます。
NGの服装とは
特に初心者が陥りやすい失敗が、素材選びです。普段着として快適な綿(コットン)100%のTシャツやデニムパンツは、登山の服装としてはNGです。
綿は汗をよく吸いますが、非常に乾きにくい性質を持っています。汗で濡れたウェアが肌に触れたままだと、風に当たった際に体温が急激に奪われる「汗冷え」を引き起こします。夏でも山の標高が高い場所や天候の急変時には、汗冷えが原因で低体温症に陥る危険性があり、注意が必要です。
したがって、服装選びではデザインだけでなく、機能性や素材を重視することが、安全で快適な登山への第一歩となります。
夏でもレイヤリングが大切
「夏に重ね着?」と意外に思うかもしれませんが、登山の服装の基本は、季節を問わず「レイヤリング」つまり重ね着にあります。山の天気は変わりやすく、標高によっても気温が大きく異なるため、ウェアを脱ぎ着して体温をこまめに調節する必要があるからです。レイヤリングは、主に以下の3層で構成されます。
ベースレイヤー(肌着・アンダーウェア)
肌に直接触れる一番下の層です。役割は、かいた汗を素早く吸い上げ、肌から遠ざけること。これにより、汗によるベタつきや汗冷えを防ぎます。吸汗速乾性に優れたポリエステルなどの化学繊維や、保温性と調湿性に優れたメリノウールが適しています。
ミドルレイヤー(中間着)
ベースレイヤーの上に着用し、保温を主な目的とする層です。フリースや薄手のダウンジャケット、化繊のジャケットなどがこれにあたります。夏山では、行動中に着ることは少ないかもしれませんが、休憩中や山頂での冷え込み、天候が悪化した際に体を保温するために必ず携行すべきレイヤーです。
アウターレイヤー(一番外側のウェア)
雨や風から体を守る役割を担います。防水透湿性を備えたレインウェアが一般的です。雨を防ぐだけでなく、強い風による体温低下を防ぐウィンドブレーカーとしても機能します。
夏山では、行動中はベースレイヤー1枚で過ごすことが多くなりますが、ミドルレイヤーとアウターレイヤーをザックに入れておくことで、あらゆる状況に柔軟に対応できるようになります。
以下に、夏の登山に最適な「ベースレイヤー」「ミドルレイヤー」「アウターレイヤー」を初心者向けにそれぞれ1つずつピックアップし、具体的に解説します。参考にしてください。
- ベースレイヤー:パタゴニア キャプリーン・クール・デイリー・シャツ
夏の登山で肌に直接着るベースレイヤーとして、まず最初に選ぶべき一枚はパタゴニアの「キャプリーン・クール・デイリー・シャツ」です。
おすすめする理由
・優れた吸汗速乾性で快適
登山中の汗は、ベタつきによる不快感だけでなく「汗冷え」による体温低下の原因にもなります。このシャツは、汗を素早く吸い上げて生地の外へ発散させる機能に非常に優れており、肌を常にドライな状態に保ってくれます。夏の暑い日でもサラサラとした着心地が持続するのが大きな特徴です。
・防臭加工で臭いが気にならない
長時間行動する登山では、汗の臭いも気になるところです。この製品にはハイキュ・ミント防臭加工が施されており、臭いの原因となるバクテリアの繁殖を抑制します。山小屋泊や下山後の温泉などでも、周りを気にせず快適に過ごせます。
・汎用性が高く、一枚で活躍
夏の低山であれば、基本的にはこのシャツ一枚で行動できます。紫外線対策として長袖モデルを選ぶのが特におすすめです。非常にシンプルなデザインなので、登山だけでなく普段のランニングや旅行など、様々なシーンで活用できる汎用性の高さも魅力です。
- ミドルレイヤー(中間着):パタゴニア フーディニ・ジャケット
夏山では「保温」よりも「防風」が重要になる場面が多くあります。そこで、中間着として活躍するのがパタゴニアの「フーディニ・ジャケット」のような超軽量なウィンドシェルです。
パタゴニア《フーディニ・ジャケット》の透湿性が落ちたという人もいますが私は判断がつかないです。透湿性を重視するなら《フーディニ・エア》でしょう。
— patagonia_de_ikiso (@patagonia_ikiso) October 15, 2019
私が気になるのは、ポケットの縫い付け( _〉形)がなくなったため、ジッパーを開けるとポケット袋がそこから表にはみ出てくる点。
旧新比較 pic.twitter.com/CmMYTgZmls
おすすめする理由
・風による体温低下を効果的に防ぐ
標高の高い場所や稜線では、夏でも風が強く、体感温度は一気に下がります。フーディニ・ジャケットは、薄手ながら風をしっかりとブロックしてくれるため、汗冷えや低体温症のリスクから体を守ります。
・驚くほど軽量でコンパクト
重量が約100g前後と非常に軽く、胸のポケットに本体を丸ごと収納できる「パッカブル仕様」になっています。収納すると手のひらに収まるほど小さくなるため、ザックの中で全く邪魔になりません。この携帯性の良さは、持っていくべきか迷う必要がないという安心感につながります。
・幅広いシーンで使える汎用性
少し肌寒い朝晩の行動開始時や、休憩中に羽織るのに最適です。また、多少の小雨であれば弾いてくれる撥水性も備えています。フリースほど厚手ではないため、夏山の体温調節着としてまさに理想的な一着と言えます。
- アウターレイヤー:モンベル トレントフライヤー ジャケット
山の天気は変わりやすいため、天候に関わらず必ず携行すべき装備がレインウェアです。アウターレイヤーとして、モンベルの「トレントフライヤー ジャケット」は、初心者から上級者まで絶大な信頼を得ている定番モデルです。
おすすめする理由
・最高レベルの防水透湿性
防水透湿素材の「スーパー ドライテック®」を採用しており、外からの雨は完全にシャットアウトしつつ、衣服内の蒸れは効率的に排出します。これにより、雨の中の行動でも、汗による不快な濡れを防ぎ、体をドライに保ちます。
・しなやかで快適な着心地
従来のレインウェアにありがちだったゴワゴワとした硬さがなく、非常にしなやかで動きやすいのが特徴です。これは独自の縫製技術防水性と動きやすさを追求した、独自のカットパターン「K-Mono カット」によるもので、長時間の着用でもストレスを感じさせません。
・軽量・コンパクトで携帯性に優れる
高い性能を持ちながら、非常に軽量で、付属のスタッフバッグにコンパクトに収納できます。ザックのスペースを圧迫しないため、常に携行する「お守り」として最適です。雨具としてだけでなく、風が強い時の防風着としても高いパフォーマンスを発揮します。【平均重量】186g
以上の3点を基本のレイヤリングとして揃えることで、夏の様々な山の状況に柔軟に対応でき、安全で快適な登山を楽しむことができます。
素材が大事|クーリング機能と速乾性について
登山の快適さを大きく左右するのが、ウェアの「素材」です。前述の通り、汗を吸って乾きにくい綿素材は避け、機能的な素材を選ぶことが不可欠です。夏の登山ウェア選びでは、特に「クーリング機能」と「速乾性」が鍵となります。
速乾性
登山中は大量の汗をかくため、ウェアが濡れた状態が続くと不快なだけでなく、汗冷えのリスクも高まります。速乾性に優れた素材は、汗を素早く吸収し、生地の表面で拡散させて蒸発を促します。これにより、肌をドライな状態に保ち、快適に行動を続けることが可能です。ポリエステルなどの化学繊維は、この速乾性に非常に優れています。
クーリング機能
クーリング機能とは、体を積極的に冷やす仕組みのことです。多くは、通気性を極めて高くした素材を用いることで実現されます。ウェア内に風を取り込み、汗の蒸発(気化)を促進させることで、気化熱によって体表の温度を下げる効果が期待できます。特殊な加工でひんやりとした肌触り(接触冷感)を持たせた素材もあります。
これらの機能を持つ素材としては、ポリエステルやナイロンといった化学繊維や、天然素材でありながら優れた調湿機能を持つメリノウール、またはこれらを組み合わせたハイブリッド素材が挙げられます。ウェアを選ぶ際は、タグの素材表記を確認する習慣をつけると良いでしょう。
登る山の標高によって服装を選ぶ
夏の登山と一言で言っても、登る山の標高によって気温や環境は大きく異なります。そのため、目的地に合わせて服装を調整することが非常に大切です。
一般的に、標高が100m上がるごとに気温は約0.6℃下がると言われています。例えば、平地の気温が30℃の場合、標高2,000mの山頂付近では単純計算で18℃、3,000m級の山であれば12℃まで下がることになります。これは平地の春や秋、あるいは初冬に相当する気温です。
低山(標高1,000m未満)
低山では気温が高く、湿度も高くなりがちです。暑さと大量の発汗への対策が中心となります。服装は吸汗速乾性の高いベースレイヤー(半袖または長袖)に、動きやすいトレッキングパンツというスタイルが基本です。ただし、急な雨や休憩時の汗冷えに備え、軽量なレインウェアやウィンドシェルは必ず携行しましょう。
中・高山(標高2,000m以上)
森林限界を超える高山では、日差しや風を遮るものがなくなります。気温の低下に加え、強い紫外線や風への対策が不可欠です。ベースレイヤーは紫外線対策も兼ねて長袖が基本となり、休憩時や天候悪化時に羽織るフリースなどのミドルレイヤーが必須アイテムになります。
以下に標高による気温変化の目安をまとめました。登る山の計画を立てる際の参考にしてください。
平地(0m)の気温 | 標高1,000m | 標高2,000m | 標高3,000m |
30℃ | 約24℃ | 約18℃ | 約12℃ |
25℃ | 約19℃ | 約13℃ | 約7℃ |
このように、行き先の標高を事前に確認し、山頂の気温を想定して適切な防寒着(ミドルレイヤー)を用意することが、安全登山の基本となります。
適した登山靴とは
夏山登山において、足元を支える登山靴(トレッキングシューズ)は、服装と同じくらい重要な装備です。スニーカーなど普段履きの靴では、滑りやすい、疲れやすい、足を痛めやすいといった問題が生じる可能性があります。
夏登山に適した登山靴を選ぶポイントは、主に「ソールの硬さとグリップ力」「防水透湿性」「カットの高さ」の3つです。
ソールの硬さとグリップ力
登山道は、整備された道ばかりではありません。岩場や砂利道、木の根が張った道など、様々な路面状況に対応するため、靴底(ソール)には高いグリップ力が求められます。また、ある程度の硬さがあるソールは、不整地からの突き上げを防ぎ、足裏の疲れを軽減してくれます。
防水透湿性
夏の山は天気が変わりやすく、突然の雨に見舞われることも少なくありません。また、ぬかるみや沢を渡る場面もあります。靴の中に水が浸入すると、不快なだけでなく、靴擦れや体温低下の原因になります。
ゴアテックス(GORE-TEX)に代表される防水透湿性素材を使用した登山靴なら、外からの水の侵入を防ぎつつ、靴の中の汗による蒸れを外に逃がしてくれるため、足を快適な状態に保てます。
カットの高さ
登山靴は、足首周りの高さによって「ローカット」「ミドルカット」「ハイカット」に分けられます。荷物が軽く、比較的整備された道を歩く低山ハイキングであれば、スニーカー感覚で履けるローカットでも対応可能です。
しかし、初心者の方や、荷物が重くなる場合、足場の悪い道を歩く場合には、足首をしっかり保護し、捻挫を防いでくれるミドルカット以上のモデルがおすすめです。
以下に、登山初心者の方が夏に最初の1足として選ぶのに最適な登山靴を1つだけピックアップし、具体的に解説します。参考にしてください。
初心者におすすめの夏登山靴:キャラバン C1_02S
もし登山初心者の方が、夏山登山のために最初の1足を選ぶのであれば、キャラバン C1_02S が最もおすすめです。多くの登山用品店で「最初の一足」として推奨されており、初心者にとって必要な機能がバランス良く備わっています。
おすすめする理由
1.初心者のために考え抜かれた「履きやすさ」
この靴は、日本の登山靴ブランドであるキャラバンが、登山入門者のために開発したモデルです。日本人の足型に合わせた幅広の設計(3E)になっており、足入れがしやすく、指先周りにもゆとりがあるため、長時間の歩行でも痛みが出にくいのが特徴です。
初めて登山靴を履く方でも違和感が少なく、すぐに足に馴染んでくれます。
2.足首をしっかり守る安心の「ミドルカット」
夏山といえども、登山道には岩や木の根などがあり、足場は不安定です。C1_02Sは足首をしっかりと保護してくれるミドルカットモデルなので、捻挫などの怪我のリスクを大幅に軽減できます。この足首のサポートは、まだ歩き方に慣れていない初心者にとって非常に重要な機能です。
3.夏の急な雨にも対応できる「防水透湿性」
夏の山は天候が変わりやすく、突然の雨に見舞われることも少なくありません。このモデルは、防水透湿素材のゴアテックス®を採用しているため、外からの雨水の侵入を防ぎつつ、靴の中の汗による蒸れを外に逃がしてくれます。これにより、雨の日でも靴の中を快適な状態に保つことができます。
4.疲れにくい「軽量性」
登山では、靴の重さが足の疲れに直結します。C1_02Sは、しっかりとした作りでありながら比較的軽量に設計されているため、長時間の登山でも足への負担が少なく、体力の消耗を抑えることができます。
まとめると
「キャラバン C1_02S」は、「歩きやすさ」「安全性」「快適性」という、登山初心者に必要な要素を高次元で満たしている一足です。特定の機能に偏ることなく、あらゆる状況に対応できるバランスの良さが、夏の様々な山に対応できる汎用性につながっています。
登山靴はフィット感が最も重要ですので、購入する際は必ず登山用の靴下を履いて実際に店舗で試し履きをし、ご自身の足に合うことを確認してから選ぶようにしてください。
夏登山は靴下が大事

登山靴選びに注目しがちですが、その内側で重要な役割を果たす「靴下」の選択も、登山の快適性を大きく左右します。普段履いているような綿素材の薄い靴下は、登山には適していません。
登山用の靴下は、主に以下の3つの重要な機能を持っています。
クッション性
登山では、長時間にわたり足に体重と荷物の負荷がかかり続けます。登山用の靴下は、つま先やかかと、足裏など、特に負荷がかかる部分が厚手に作られており、優れたクッション性で衝撃を吸収します。これにより、足の疲労を軽減し、マメなどのトラブルを防ぐ効果があります。
吸汗速乾性
足は体の中でも特に汗をかきやすい部位です。登山用の靴下には、汗を素早く吸い上げて乾かす機能が求められます。メリノウールや化学繊維で作られた靴下は、この吸汗速乾性に優れており、靴の中をドライに保ち、汗による冷えや不快な蒸れを防ぎます。
フィット感と耐久性
ズレにくく、足にしっかりとフィットすることも大切です。靴の中で靴下がズレると、摩擦によって靴擦れの原因になります。また、繰り返しの洗濯や過酷な使用にも耐える耐久性も、登山用靴下ならではの特徴です。
適切な登山靴と登山用靴下を組み合わせることで、初めて長時間の歩行でも足のトラブルを最小限に抑えることができます。
以下に、登山初心者の方が夏に最初に選ぶべき登山用靴下を1つだけピックアップし、具体的に解説します。参考にしてください。
初心者におすすめの夏登山靴下:DARN TOUGH (ダーンタフ) トレッキングソックス
夏の登山で初心者の方が最初に選ぶべき一足として、DARN TOUGH(ダーンタフ)のトレッキングソックス、特に「マイクロクルー」という丈で「ライトウェイトクッション」の厚さのモデルを推奨します。
靴下は登山の快適さを左右する非常に重要なアイテムであり、このモデルは初心者に必要な機能が凝縮されています。
おすすめする理由
1.夏に最適な「厚み」と「丈」
夏登山では、足が汗で蒸れやすくなります。このモデルの「ライトウェイト」という厚みは、足を保護するための十分なクッション性を持ちながら、通気性にも優れているため、暑い日でも快適さを保ちやすいのが特徴です。
「マイクロクルー」という丈は、くるぶしをしっかりと覆い、登山靴との摩擦による靴擦れを防ぎつつ、長すぎないので暑苦しさを感じさせない絶妙な長さです。
2.驚異的な「耐久性」で長く使える
インプットした情報にもある通り、ダーンタフの靴下は一般的な靴下と比較して非常に摩耗に強いことで知られています。登山では靴の中で常に足が動くため、靴下は想像以上に消耗が激しいアイテムです。
このモデルであれば、一度購入すれば長期間にわたって性能を維持してくれるため、結果的にコストパフォーマンスが非常に高くなります。
3.汗をかいても快適な「吸湿速乾性」
素材には高品質なメリノウールが使われています。メリノウールは「夏は涼しく、冬は暖かい」という優れた温度調節機能を持ち、かいた汗を素早く吸収・発散してくれます。
これにより、靴の中が蒸れにくく、マメや靴擦れといった足のトラブルを効果的に防ぎます。また、天然の抗菌防臭効果があるため、汗をかいても臭いが気になりにくいのも嬉しいポイントです。
一言でいうならば
登山において靴下は、単なる衣類ではなく「装備」の一つです。特に初心者の方は、足のトラブルが登山全体の楽しさや安全を損なう原因になりがちです。
「ダーンタフ」のこのモデルは、「快適性」「耐久性」「トラブル予防」の三拍子が揃っており、夏山登山を始める最初の一足として、これ以上なく信頼できる選択肢と言えます。
夏の登山の格好|シーン別対策と快適アイテム

✅熱中症対策
✅紫外線対策
✅虫対策の基本
✅雨対策必須:軽量コンパクトなレインウェア
✅首に巻く冷感タオルが秀逸なわけ
✅夏の低山登山なら空調服もアリ
✅まとめ:夏の登山の格好はどうする
熱中症対策
夏の登山で最も警戒すべきリスクの一つが熱中症です。山の中ではすぐに医療機関にかかることができないため、予防が何よりも大切になります。熱中症対策は、登山当日だけでなく、その前から始まっています。
登山前の対策
暑さに体を慣らしておく「暑熱順化」が有効です。登山予定日の1週間ほど前から、ウォーキングなどで意識的に汗をかく習慣をつけると、体が暑さに対応しやすくなります。
また、前日は十分な睡眠をとり、体調を万全に整えましょう。出発前の朝食と水分補給も欠かせません。朝食でエネルギーを補給し、出発前に200〜500mlの水分を摂っておくことが理想です。
登山中の対策
行動中は、「喉が渇いた」と感じる前に、こまめに水分を補給することが基本です。一度に大量に飲むのではなく、15〜30分に一度、一口か二口飲むのが効果的。水だけでなく、汗で失われる塩分や糖分を補給できるスポーツドリンクや経口補水液、塩飴などを併用しましょう。
休憩も疲れを感じる前に、計画的にとることが大切です。日陰の涼しい場所を選んで体を休ませ、エネルギー補給も忘れずに行います。
万が一、めまいや頭痛、吐き気などの初期症状を感じたら、すぐに行動を中断し、涼しい場所で休憩し、水分補給と体の冷却を行ってください。
紫外線対策
山の紫外線は、平地に比べて格段に強いということを忘れてはいけません。一般的に、標高が1,000m上がるごとに紫外線量は約10%増加すると言われています。
強い紫外線を浴び続けると、日焼けによる肌のダメージだけでなく、体力の消耗や熱中症のリスクも高まります。紫外線対策の基本は、肌の露出を極力減らすことです。
ウェアによる対策
基本は長袖・長ズボンの着用です。最近の登山ウェアには、UVカット機能(UPFという数値で示される)が付いているものが多くあります。色については、白などの淡い色は紫外線を反射しやすいですが、黒などの濃い色の方が紫外線を吸収して肌に届きにくくする効果が高いとされています。
小物の活用
老眼マンでもサングラスは必須なので、オーバーグラスを愛用しております。
— のいじー (@burstout_nara) November 15, 2024
高額なモノを買うのも良いかもしれませんが、コールマンの跳ね上げ式を使うと、他のが使えなくなりました。
一応、車用と釣り用で使い分けてます。#バス釣り #ハンドメイドルアー pic.twitter.com/zdk5E3wwGn
帽子は必須アイテムです。顔全体に影を作れる、つばの広いハットタイプが特に効果的です。首の後ろの日焼けを防ぐために、ネックゲイター(ネックカバー)を着用するのも良いでしょう。
目は紫外線によるダメージを受けやすいため、UVカット機能のあるサングラスも必ず着用しましょう。目から入る紫外線が、疲労の原因になるとも言われています。
もちろん、日焼け止めクリームを露出する部分(顔、首、手など)にこまめに塗り直すことも大切です。
虫対策の基本
【着る防虫 SCORON(スコーロン)】ティムコ
夏の山では、蚊、ブヨ(ブユ)、アブ、ヒルなど、様々な虫との遭遇が避けられません。虫刺されは、かゆみや痛みで不快なだけでなく、アレルギー反応を引き起こす可能性もあり、しっかりとした対策が必要です。
虫対策も、紫外線対策と同様に、まずは肌の露出を減らすことが基本となります。長袖・長ズボンを着用し、シャツの裾はズボンに入れる、パンツの裾は靴下に入れるなどの工夫で、衣服内への虫の侵入を防ぎます。
ウェアの色も虫対策に影響します。一般的に、ハチやアブは黒などの暗い色に寄ってくる習性があるとされています。そのため、白や黄色、グレーといった明るい色のウェアを選ぶ方が、虫を寄せ付けにくいと言えます。
虫除けスプレーの使用も効果的です。ディートやイカリジンといった成分が含まれたものが有効ですが、汗で流れやすいため、こまめに塗り直すことが大切です。肌が弱い方は、ウェアにスプレーするタイプの虫除け剤や、ハッカ油を水で薄めたものを自作して使う方法もあります。
万が一刺されてしまった場合に備え、ポイズンリムーバーや塗り薬(抗ヒスタミン剤やステロイド軟膏)を救急セットに入れておくと安心です。
雨対策必須:軽量コンパクトなレインウェア
「山の天気は変わりやすい」という言葉の通り、夏山では晴れの予報でも、午後になると急に雨雲が湧いて通り雨に見舞われることが頻繁にあります。雨に濡れると、体が冷えて低体温症のリスクが高まるため、雨対策は安全登山の基本中の基本です。
そのため、天候にかかわらず、レインウェアは必ず携行しなくてはなりません。登山用のレインウェアは、防水性はもちろんのこと、衣服内の蒸れを外に逃がす「透湿性」を兼ね備えていることが大きな特徴です。この透湿性が低いと、雨は防げても自分の汗で内側が濡れてしまい、結局は汗冷えにつながります。
夏山で使うレインウェアは、ザックの中でかさばらない「軽量性」と「コンパクトさ」も重要な選択ポイントです。最近のモデルは、上下セットでも500mlのペットボトル程度の大きさに収納できるものが多くあります。
また、レインウェアは雨天時だけでなく、風が強い時のウィンドブレーカーとしてや、気温が下がった際の防寒着としても活用できる非常に汎用性の高いアイテムです。お守りとしてではなく、積極的に活用する装備として、信頼できる一着を用意してください。
初心者向けの夏登山に適した「軽量コンパクトなレインウェア」を1つだけピックアップして具体的に解説します。参考にしてください。
Goldwin パーテックスシールドエアーアドバンスドライトジャケット
夏山のレインウェアとして、ゴールドウイン(Goldwin)の「パーテックスシールドエアーアドバンスドライトジャケット」は、特に「軽さ」と「快適さ」を重視する初心者の方に最適な一着です。
おすすめする理由
1.ウィンドシェルのように使える「軽さと通気性」
このジャケットの最大の特徴は、レインウェアでありながら、まるでウィンドシェルのように使えるほどの「軽さ」と「通気性」を両立している点です。従来のレインウェアにありがちな「蒸れて暑い」「重くてかさばる」といったネガティブな印象を覆す快適さを持っています。
そのため、雨が降っていない時でも、風が強い山頂などで気軽に羽織ることができ、持ち運ぶことへの抵抗感がありません。
2.高温多湿な日本の夏に最適な素材
素材には、高温多湿な環境下でも快適に行動し続けることを目的に開発された「パーテックスシールドエア」が採用されています。この素材は非常に高い透湿性を持ち、衣服内の汗による蒸れを効率的に外へ逃がしてくれます。
汗をかきやすい夏の登山において、この機能は汗冷えを防ぎ、快適な状態を維持するために非常に重要です。
3.徹底した軽量・コンパクト設計
インプットした情報にもある通り、このジャケットは袖口のフラップやポケットなどを極力シンプルにすることで、徹底的な軽量化が図られています。
光が透けるほど薄くしなやかな生地で、ザックの中でほとんどスペースを取らないため、初心者の方が「念のため」に持っていく装備として完璧な一着と言えます。
一言でいうと
「ゴールドウイン パーテックスシールドエアーアドバンスドライトジャケット」は、レインウェアとしての高い防水性能を確保しながら、夏の登山で特に求められる「軽さ」「通気性」「コンパクトさ」を極限まで追求したモデルです。
首に巻く冷感タオルが秀逸なわけ
夏の暑さ対策グッズとして、近年非常に人気が高まっているのが「首に巻く冷感タオル」です。水に濡らして絞り、数回振るだけで生地の温度が下がるという手軽さが魅力で、登山の際にも大きな効果を発揮します。
冷感タオルが秀逸な理由は、首を効率的に冷やせる点にあります。首筋には、脳へと続く太い血管(頸動脈)が皮膚の表面近くを通っています。この部分を冷やすことで、冷えた血液が体内を循環し、効率的に体全体の温度(深部体温)を下げることができるのです。これは熱中症対策として非常に有効な方法です。
また、登山中は、行動を止めずに体温調節をしたい場面が多くあります。冷感タオルであれば、首に巻いておくだけで継続的に体を冷やすことができ、歩きながらでもクールダウンが可能です。
軽量でコンパクトに持ち運べるため、荷物になりにくいのも登山向きのポイントです。休憩時に頭に巻いたり、汗拭きとして使ったりと、様々な活用法があります。厳しい暑さが予想される日の登山では、ぜひ一枚ザックに忍ばせておきたいアイテムです。
夏の低山登山なら空調服もアリ
空調服登山はじめました
— ムーンライトなごや (@ml_nagoya) September 7, 2024
竜ヶ岳へ登ったのはこちらのテストで。
発端は7月の低山登山で猛暑にやられて購入を決意したのですが8月は天候に恵まれず使う機会が無かったので登山では初テスト。… pic.twitter.com/3PRbKjHftt
夏の低山は、標高が低い分、高山よりも気温・湿度ともに高く、過酷な暑さに見舞われることがよくあります。このような状況で近年注目されているのが、ファン付きウェア、いわゆる「空調服」を登山に活用するという選択肢です。
空調服は、腰部分などに取り付けられた小型のファンがウェア内部に風を送り込み、汗を強制的に気化させることで体を冷やす仕組みです。汗の気化熱を利用するため、汗をかくほど高い冷却効果が得られます。
登山で使うメリット・デメリット
メリットは、なんといってもその高い冷却効果です。無風で蒸し暑い樹林帯など、自然の風が期待できない場所でも、強制的に風を作り出して体を冷やせるため、熱中症のリスクを大幅に軽減し、体力の消耗を抑えることができます。
一方で、デメリットもあります。最大の課題は、ザックを背負うと背中部分のファンが塞がれてしまい、効果が半減することです。また、バッテリーの重さや稼働時間の問題、ファンの作動音なども考慮すべき点です。
対策と選び方
登山をされる方はご存知のこのアミアミシャツが空調服と相性がバッチリなのはほぼ誰も知らない
— 無駄手間 (@st_saidhingu) June 12, 2024
みんなよく着るピタピタのコンプレッションインナーより涼しいですよ
ただ癖の強いデザインなのでコッソリ着替える必要があるけど#ミレー
#ドライナミックメッシュ pic.twitter.com/GQipvuVKVU
このデメリットを解消するため、最近ではファンが背中ではなく脇腹(サイド)に付いているモデルが登場しています。これならばザックを背負っても風の通り道が確保されやすくなります。また、ザックと背中の間に隙間を作るための「インナースペーサー」といった関連グッズも販売されています。
風が全くない炎天下の低山歩きなど、特定の条件下では非常に有効なアイテムです。一つの選択肢として検討してみる価値はあるでしょう。
モンベルにも「ファンブロー®シリーズ」というモデルがありますが、今回は作業服メーカーの商品に着目しました。
登山初心者の方が夏山で使うのに適した空調服®(ファン付きウェア)を1つだけピックアップし、具体的に解説します。参考にしてください。
初心者におすすめの空調服®:ジーベック (XEBEC) 空調服® XE98026
夏の低山など、特に蒸し暑い環境での登山において、初心者の方が最初に選ぶべき空調服®としてジーベックの「XE98026」を推奨します。これは、登山で使う際の最大の問題点を解決した、非常に実用的なモデルです。
おすすめする理由
1.ザック(リュック)を背負っても風が通る「サイドファン設計」
このモデル最大の特徴であり、登山で使う上で最も重要なのが「サイドファン設計」です。一般的な空調服®はファンが背中側に付いているため、ザックを背負うとファンが完全に塞がれてしまい、風を取り込めず全く機能しません。
しかし、「XE98026」はファンが背中ではなく両脇腹に配置されています。これにより、ザックを背負っていても吸気口が塞がれることなく、常に外の空気を取り込んでウェア内部に風を送り続けることができます。
自分の汗を気化させて体を冷やす、という空調服®本来の機能を、登山中も最大限に発揮できるのです。
2.動きやすさを確保する「ベストタイプ」
袖のないベストタイプであるため、腕の動きが一切妨げられません。トレッキングポールを使う際や、岩場などで腕を動かす際にもストレスがなく、アクティブな動きが求められる登山に適しています。
3.夏山に嬉しい生地の機能性
ポリエステル100%の素材は、軽量で速乾性に優れています。また、紫外線を95%以上カットするUVカット機能も備えており、強い日差しから肌を守り、体力の消耗を防いでくれます。
■初心者の方が使用する上での注意点
・バッテリーの持続時間:
空調服®は電動ファンのため、専用バッテリーの充電が必要です。登山の行動時間に合わせて、バッテリーの稼働時間を確認し、必要であれば予備バッテリーを検討しましょう。
・雨天時の使用は不可:
ファンは電子機器のため、雨の中では使用できません。天候の急変に備え、必ず別途レインウェアを携行してください。
・作動音:
ファンの作動音がするため、静かな山歩きを好む方には気になる可能性があります。
一言でいうと
ジーベックの「XE98026」は、登山の際の「ザック問題」を解決した、まさに登山者のための空調服®と言えます。特に風がなく蒸し暑い夏の低山ハイクにおいて、熱中症のリスクを大幅に軽減し、体力の消耗を抑えてくれる心強い味方です。
まとめ:夏の登山の格好はどうする
以下に、この記事のポイントをまとめました。
• 夏の登山の服装はレイヤリング(重ね着)が基本
• 綿素材は乾きにくく汗冷えの原因になるため避ける
• 吸汗速乾性に優れた化学繊維やメリノウールを選ぶ
• 標高が上がると気温が下がるため防寒着は必須
• 紫外線対策として帽子や長袖、サングラスを活用する
• 虫刺されや怪我防止のため肌の露出は最小限に
• 山の天気は変わりやすいためレインウェアは必ず携行する
• 登山靴は足首を保護し滑りにくいモデルを選ぶ
• 靴下は厚手でクッション性と速乾性のある登山用を
• 熱中症対策は登山前から始まっている
• こまめな水分補給と計画的な休憩を心がける
• 暑さ対策には冷感タオルなどの冷却グッズが有効
• 低山の厳しい暑さ対策として空調服も選択肢の一つ
• 服装と装備を万全に整えることが安全な登山につながる
• 自分に合った格好で快適な夏山登山を楽しむ