登山を始めると、膝の負担を減らしたりバランスを取ったりするためにトレッキングポールが欲しくなりますよね。
でも、お店やネットショップを見ると、細長く伸び縮みするものや、三節棍のようにカチカチと組み立てるものがあって、一体トレッキングポールの折りたたみと伸縮はどっちがいいのか、迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
特に初めての一本を選ぶとなると、カーボンとアルミの素材の違いや、自分の登山スタイルに合うのがどちらなのか判断するのは難しいかなと思います。この記事では、それぞれの構造のメリットやデメリット、そして気になる耐久性の違いについて、筆者の経験を交えながら分かりやすくまとめてみました。
この記事でわかること
①伸縮式と折りたたみ式の違いと得意分野
②アルミとカーボンの素材特性による使い分け
③人気ブランドの主要モデルに見るスペック比較
④最適な一本を見極めるための具体的な判断基準
トッキングポールは折りたたみと伸縮のどっちを選ぶ?素材と機能性

まずは、多くの登山者が最初に直面する「収納方式」の選択について詳しく見ていきましょう。王道の伸縮式と、近年シェアを伸ばしている折りたたみ式、それぞれの特徴を整理しました。
✅初心者に推薦のアルミ伸縮式のメリットとデメリット
✅カーボン素材の耐久性と軽量性を徹底比較
✅ブラックダイヤモンドやモンベルの代表モデルを紹介
✅雪山登山で重要なレバーロック式の操作性と信頼性
初心者に推薦のアルミ伸縮式のメリットとデメリット

登山を始めたばかりの方に筆者がまずおすすめしたいのが、アルミ製の伸縮式(テレスコーピング・タイプ)です。
このタイプは、太さの異なるシャフトをスライドさせて重ね合わせる構造になっています。長年、登山の標準装備として愛されてきたのには、それなりの理由があるんですね。
最大のメリットは、その「圧倒的な剛性と安心感」です。伸縮式は各セクションのシャフトが重なり合っている部分(ラップ)があり、その重なりが支柱としての強度を支えています。
重いザックを背負って岩場を降りる際や、疲れてガクッと膝が折れそうになった瞬間に体重を預けても、しなりが少なくしっかりと地面を捉えてくれます。これは物理的な構造上、折りたたみ式よりも優れている点かなと思います。
長さ調整の自由度がもたらす快適性とデメリット
また、長さ調整がミリ単位で自由自在にできるのも大きなポイントです。登りでは少し短くして推進力を得やすくし、下りでは長めに設定して膝への衝撃を逃がすといった調整がスムーズに行えます。
モデルによっては無段階で調整できるため、自分の身長やその日の斜度に合わせて「これだ!」という絶妙な長さに合わせられるのは、初心者にとって非常に心強い味方になりますね。
伸縮式のいいところ
- 構造がシンプルで物理的に壊れにくく、長期にわたって使える
- 無段階調整が可能で、登り・下りの状況に合わせて微調整がしやすい
- 生産コストが抑えられているため、高品質でも比較的リーズナブル
- 万が一折れた場合も、その節のシャフトだけ交換修理ができることが多い
一方で、デメリットとして挙げられるのは収納時のサイズ感です。縮めても55cm〜65cmほどあるため、30リットル以下の小型ザックだと外側に括り付けるしかありません。
森林限界以下の樹林帯を歩く際、飛び出したポールが枝に引っ掛かってバランスを崩したり、公共交通機関で移動中に周囲の人へ先端が触れそうになったりと、取り回しに少しだけ注意が必要になる場面もあります。

カーボン素材の耐久性と軽量性を徹底比較
次に、素材の話を深掘りしましょう。店頭で実際に手に取った際、多くの人が「え、こんなに軽いの?」と驚くのがカーボン製です。カーボン(炭素繊維強化プラスチック)は、とにかく振ったときのスイングウェイトが軽く、長時間歩いても腕や肩の疲労を劇的に抑えてくれるという素晴らしい特徴があります。
また、カーボン特有のメリットとして「減衰特性」があります。これは地面を突いたときに手に伝わる微細な振動を素材自体が吸収してくれる性質のことで、アスファルトの林道歩きが長いルートなどでは、手首や肘へのストレスがかなり軽減されるのを実感できるはずです。
これに対し、アルミは素材の特性上、どうしても振動がダイレクトに伝わりやすいという面があります。
カーボンが抱える「脆性(もろさ)」という課題
ただし、知っておいてほしいのが「壊れ方」の決定的な違いです。アルミニウム合金(主に7075系超々ジュラルミンなど)は、強い衝撃を受けると「曲がる」ことで衝撃を逃がします。
山中で曲がってしまっても、ある程度の機能は維持できるため、下山まで使い続けられることが多いです。しかし、カーボンは限界を超えると「パキン」と一瞬で破断する性質を持っています。
カーボン素材の注意点
カーボンは垂直方向の荷重(上から押す力)にはアルミ以上の強度を発揮することもありますが、横方向からの衝撃や、鋭利な岩の角にぶつけてできた「深い傷」には極端に弱いです。傷を起点に一気に折れるリスクがあるため、装備の扱いに慣れていないうちは、粘り強いアルミ製を選んでおくのが最も安心かなと思います。
最終的には「軽さによる疲労軽減」を取るか、「万が一の際の折れにくさ」を取るかという選択になりますが、長期縦走や厳しい環境下では、信頼性の高いアルミを選ぶベテランの方も意外と多いんですよ。
ブラックダイヤモンドやモンベルの代表モデルを紹介

実際に選ぶとなると、どのブランドが良いのか悩みますよね。筆者が自信を持っておすすめできるのは、やはりアフターケアや品質が安定している一流ブランドです。
まずは日本が誇るモンベル(mont-bell)。日本人の平均的な体格や日本の登山道に合わせた設計がなされており、価格も良心的です。モンベルの「アルパイン ポール」シリーズは、耐久性の高いアルミシャフトに、操作性の良いカムロック(レバー式)を組み合わせた定番中の定番です。
一方で、軽量化を突き詰めたい方向けに「U.L.フォールディングポール」というモデルもありますが、こちらは長さ調整ができない固定長タイプなので、自分の身長に完璧に合わせる必要があります。
世界のスタンダード「ブラックダイヤモンド」
そして、折りたたみ式の分野で世界をリードしているのがブラックダイヤモンド(Black Diamond)です。彼らの「Zポール」シリーズは、内部のケブラーコードを引っ張るだけで一瞬でロックがかかる画期的なシステムを採用しています。(公式:ブラックダイヤモンド)
| モデル名 | 方式 | 重量(ペア) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ディスタンスFLZ | 折りたたみ | 約420g〜 | Zポールの利便性と長さ調整を両立したアルミ製の名作 |
| ディスタンスカーボンFLZ | 折りたたみ | 約340g〜 | 究極の軽さを求めるハイカーやランナー向け |
| トレイル | 伸縮式 | 約490g | 非常に頑丈で、どんな山行にも対応するアルミの王道 |
「FLZ」と名の付くモデルは、折りたたみ式でありながら上部にレバーロックを備えており、15cm〜20cm程度の長さ調整が可能です。このハイブリッドな設計が、今のトレンドのど真ん中と言えるかもしれませんね。
雪山登山で重要なレバーロック式の操作性と信頼性

もしあなたが将来的に「雪山(冬山)」への挑戦も視野に入れているなら、収納方式以上に「ロック機構」の種類を慎重に選ぶ必要があります。一昔前は、シャフトを回して固定する「スクリュー式(回転式)」が一般的でしたが、現在は「レバーロック(カムロック)式」が強く推奨されています。
なぜかというと、雪山では気温が氷点下になり、ポールの内部に侵入した水分が凍結することがあるからです。スクリュー式だと内部のプラグが凍りついて空回りしたり、逆に固着して動かなくなったりするトラブルが頻発します。
また、厚手の防寒グローブを着用していると、細かい回転操作は非常に困難です。その点、レバー式ならグローブ越しでもパチンと倒すだけで確実に固定でき、一目でロック状態がわかるので安心感が違います。
ドイツの名門「LEKI(レキ)」の技術力
このロック機構において高い信頼性を誇るのが、ドイツのブランドであるレキ(LEKI)です。レキの「スピードロックシステム」は、軽い力で強力に固定できることで知られています。
さらに、グリップ上部が卵型に膨らんだ独自の形状は、下り坂で上から手のひらを添えて体重を預けるのに最適で、身体工学に基づいた疲労軽減を実現しています。
(出典:環境省『国立公園内での安全な利用について』)※国立公園などのデリケートな環境では、植生を傷めないようポール先端に必ず「石突きゴム」を装着することがマナーとされています。雪山以外ではゴムキャップを正しく使うことも、信頼される登山者への第一歩ですね。
トッキングポールは折りたたみと伸縮のどっちを選ぶ?迷いを解消

さて、ここからはさらに具体的な使用シーンを想定して、あなたの登山スタイルにどっちがフィットするのか、迷いを完全に断ち切るための解説をしていきます。
✅トレイルランニングで活躍する軽量なZポールの魅力
✅公共交通機関での移動に便利なコンパクト収納の利点
✅まとめ:トレッキングポールは折りたたみと伸縮のどっち?
トレイルランニングで活躍する軽量なZポールの魅力
近年、山を走る「トレイルランニング」や、荷物を極限まで削る「ウルトラライト(UL)ハイキング」を楽しむ人が増えています。こうしたスタイルにおいて、折りたたみ式(Zポール)はもはや欠かせない装備となっています。最大の魅力は、やはりその機動力です。
トレランのレースやスピードハイクでは、登りの急坂ではポールを使い、平坦な道や走りやすい下りではポールを畳んで手に持つ、あるいはザックに素早く収納するという動作が頻繁に発生します。
伸縮式だと「緩める→縮める→締める」というプロセスが必要ですが、折りたたみ式ならボタン一つでパッとバラせるため、慣れれば片手で数秒、歩きながらでも収納が可能です。この「行動のリズムを崩さない」という点は、競技者にとって大きなアドバンテージになりますね。
ただし、折りたたみ式はシャフトの接続部(ジョイント)が短いため、岩の隙間に先端が挟まった状態で横にこじってしまうと、テコの原理で接続部が破損しやすいという弱点もあります。ラフなルートではより繊細な操作が求められる、少し上級者向けの側面もあることは覚えておいてください。
公共交通機関での移動に便利なコンパクト収納の利点

「自分は走らないし、普通のハイキングがメイン」という方でも、折りたたみ式を選ぶべき強力な理由があります。それが、家から山までの「移動のしやすさ」です。電車やバスを利用して登山口に向かう場合、伸縮式ポールはザックからアンテナのように突き出してしまい、混雑した車内ではかなり周囲に気を遣います。
折りたたみ式なら、多くのモデルが収納時に33cm〜40cm程度まで小さくなります。これは標準的なA4サイズのノートより少し大きい程度。これなら、20〜30リットルクラスのデイパックの内部に完全に収めることができます。
ザックの中にしまってしまえば、移動中にポールをどこかにぶつける心配もありませんし、何より「いかにも登山に行きます!」という仰々しさを抑えてスマートに移動できるのが嬉しいポイントかなと思います。また、下山後の温泉や観光を楽しむ際も、大きなポールを外に付けて歩かなくて済むのは大きなメリットですよね。
まとめ:トレッキングポールは折りたたみと伸縮のどっち?
さて、ここまで読んでくださったあなたは、もう自分に必要なのが「トレッキングポールは折りたたみと伸縮のどっち」なのか、答えが見えてきているのではないでしょうか。最後に、判断基準を整理しますね。

| あなたの重視するポイント | 推奨タイプ | 素材の選び方 |
|---|---|---|
| 初心者で、まずは丈夫で安いものがいい | 伸縮式 | アルミ(壊れにくく経済的) |
| 電車移動が多く、街中でもスマートでいたい | 折りたたみ式 | アルミ(丈夫さ優先) or カーボン(軽さ優先) |
| 雪山にも挑戦したい、重い荷物で縦走したい | 伸縮式 | アルミ(絶対的な信頼性) |
| トレランやUL登山でスピードを追求したい | 折りたたみ式 | カーボン(軽さが武器になる) |
筆者の結論としては、「最初の一本としてあらゆるシーンで使いたいなら、アルミ製の伸縮式レバーロックモデル」が最も失敗が少ない選択かなと思います。逆に、サブ用として「いざという時のために持っておきたい」なら、ザックの底に放り込める折りたたみ式が最高に便利です。
トレッキングポールは、一度使うとその楽さに驚き、もう手放せなくなる装備です。まずは自分のよく行く山や移動手段を思い浮かべて、最適な相棒を選んでみてください。
最新のモデル情報や具体的な修理対応については、モンベルやブラックダイヤモンドなどの公式サイトもチェックしてみることをおすすめします。道具を正しく選び、メンテナンスして、安全に山の景色を楽しんできてくださいね!


