山歩きやキャンプの装備を整えていると、どうしても気になるのがギアの重さとサイズですよね。筆者も荷物を1グラムでも軽くしたいと常々考えているのですが、そんな時に出会ったのがビクトリノックスのスーベニアです。
このモデル、実は現在ではエクセルシオールという名称に統合されつつあり、昔ながらのビクトリノックスのスーベニアを探している方も多いのではないでしょうか。特に赤いアルミハンドルのモデルなどは、その希少性からコレクターの間でも話題になっています。
薄くて軽いのに、しっかりとした切れ味を持つこのナイフが、なぜ登山者やミニマリストに愛されているのか。現行モデルとの違いや、気になる使い方、メンテナンスの方法まで、筆者の視点で詳しく紐解いていきたいと思います。
この記事でわかること
①スーベニアが持つ魅力とエクセルシオールとの関係
②アルミハンドル(アロックス)がなぜ人気が高いのか
③84mmスリムモデルが発揮する圧倒的な実用性
④お気に入りの一生モノにする正しい手入れと研ぎ方
ビクトリノックスのスーベニア:選ばれる理由と特徴

ビクトリノックスの数あるラインナップの中でも、スーベニアは「究極のシンプル」を体現したモデルと言えます。多機能さが売りのマルチツール界において、あえて機能を削ぎ落としたこのナイフがなぜ選ばれるのか、その背景にある歴史や仕様の変遷を見ていきましょう。
✅エクセルシオールとの違いや名称の統合について
✅赤いアロックスハンドルが持つ希少性と市場価値
✅アルミハンドルの薄さが生む圧倒的な携帯性
✅廃盤となったスーベニア赤モデルの入手方法
エクセルシオールとの違いや名称の統合について

これからこのモデルを手に入れようと思っている方がまず直面するのが、「スーベニア」という名前がカタログで見当たらないという問題かもしれません。結論から言うと、ビクトリノックスは2020年頃から製品名の標準化を進めており、かつてスーベニアと呼ばれていた84mmのスリムな2枚刃モデルは、現在「エクセルシオール」という名称に統一されています。
もともとスーベニア(Souvenir)は、フランス語で「記憶」や「思い出」を意味し、その名の通り「お土産・記念品」としての側面が強いモデルでした。
第二次世界大戦後、ヨーロッパに駐留していたアメリカ軍兵士たちが、基地内売店(PX)でこの美しいナイフを故郷への土産物として大量に購入したことが、「スイス・アーミーナイフ」の名を世界に広めるきっかけになったとも言われています。まさに、ブランドを象徴する歴史的な呼称なんですね。
現行のエクセルシオールと過去のスーベニアは、基本的な設計やサイズ感、84mmというフレームサイズに違いはありません。しかし、古くからの愛好家にとっては「スーベニア」という名前が冠されていた時代の、どこか優雅でノスタルジックな雰囲気に特別な価値を感じるものです。
現在は名称こそ統合されましたが、無駄を削ぎ落としたシルエットと洗練された使い心地は、しっかりと現行品にも受け継がれています。
名称統合によるラインナップの変化
スーベニアがエクセルシオールへと名称統合される過程で、いくつかのバリエーションも整理されました。
例えば、キーリングが付いていない「ポケットパル」や、アルミハンドルの「セクレタリー」なども、現在はエクセルシオールシリーズの一部として解釈されています。自分が探しているモデルがどの系統に属するのかを知っておくと、中古市場などで探す際にも役立ちますよ。
赤いアルミハンドルが持つ希少性と市場価値

ビクトリノックスの代名詞といえば鮮やかな「赤」ですが、スーベニアに関しては少し特殊な事情があります。現在、コレクターの間で非常に高い人気を誇り、入手困難となっているのが、「スーベニア AL」と呼ばれる赤いアルミハンドル(アロックス)仕様です。
アロックス(Alox)とは、アルミニウムを打ち出し加工し、陽極酸化処理(アルマイト加工)を施したハンドルのこと。通常の樹脂製ハンドルよりも格段に耐食性と耐摩耗性に優れ、金属特有の剛性感があります。
この赤いアロックスモデルは、実は2000年頃に製造が終了してしまいました。現在販売されているアロックスモデルは、そのほとんどがシルバー(銀色)です。
そのため、「ビクトリノックス伝統の赤×超薄型アロックス」という組み合わせのスーベニアは、今やヴィンテージ市場やオークションでしかお目にかかれない「聖杯」のような存在になっています。
なぜここまで価値が上がっているかというと、その審美性にあります。リブ加工が施されたマットな質感の赤いハンドルは、光の当たり方によって宝石のような輝きを見せます。
単なる道具としてのナイフを超え、工芸品のような美しさを持っているため、未使用のデッドストック品などは当時の定価の数倍で取引されることも珍しくありません。もし中古ショップなどで見かけたら、それはかなりラッキーな出会いかもしれませんね。
アルミハンドルの薄さが生む圧倒的な携帯性

スーベニア(エクセルシオール)の最大の特徴は、何といってもその「薄さ」にあります。特にアルミハンドル(アロックス)モデルの厚みは、驚きの約5.38mm。これは現代の一般的なスマートフォンの厚み(約7〜8mm)よりもさらに薄いという、驚異的な数値です。
| モデルタイプ | ハンドルの厚み | 重量 | 構造的特徴 |
|---|---|---|---|
| セリドール樹脂モデル | 約 10.0 mm | 約 22.0 g | ピンセット・ツースピック装備可 |
| アロックスモデル | 約 5.38 mm | 約 21.8 g | 極限の薄さと高剛性なリブ加工 |
この薄さが何をもたらすかというと、圧倒的な「ストレスフリーな携帯性」です。
登山において、メインの大型ナイフとは別に、すぐに取り出せる場所に置いておきたいサブナイフとして、スーベニアはこれ以上ない選択肢となります。ウェアの胸ポケットや、バックパックのショルダーハーネスにある小さなポケットに入れても、膨らみが全く気になりません。
筆者も実際に山で愛用していますが、重さ約22gというのは、単三電池1本分くらいのごくわずかな重量です。
スラックスのコインポケットにも縦にすっぽり収まるため、山歩きだけでなく、日常の「ジェントルマンズ・キャリー(紳士の嗜みとしての携帯)」としても完璧なサイズ感だと言えるでしょう。この「持っていることを忘れる」感覚こそが、スーベニアが長年愛され続ける最大の理由かなと思います。
廃盤となったスーベニア赤モデルの入手方法
もし、本記事を読んで「どうしても赤いアロックスのスーベニアが欲しい!」となった場合、現行の登山用品店を探しても見つかることはまずありません。前述の通り、20年以上前に廃盤となっているため、入手経路はかなり限定されます。
主な入手方法は、ヤフオクやメルカリなどの個人売買、あるいは「サカナイフ」やヴィンテージナイフを取り扱う海外のコレクターズショップ、Etsyなどのハンドメイド・ヴィンテージプラットフォームを根気強くチェックすることです。
稀に、古い金物屋さんの店先に当時の在庫が残っている「デッドストック掘り出し物」に出会えることもありますが、これは現代では奇跡に近い確率かもしれません。

中古品やヴィンテージ品を購入する際は、以下のポイントを必ず確認しましょう。
- ハンドルの剥げ:アロックスの赤い皮膜は強固ですが、落下や鍵との接触で角が剥げやすいです。
- ブレードのこすれ:2枚の刃が収納時に干渉し、表面に線傷がついている場合があります。
- バネのテンション:開閉時に「パチン」と小気味よく動くか、ガタツキがないかが重要です。
また、ブレードの根元に刻まれた「タングスタンプ(刻印)」の種類を確認することで、その個体が1980年代のものなのか、90年代のものなのかを判別できます。こうした歴史の欠片を探る作業も、スーベニアという名品を手に入れる醍醐味の一つですね。
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ビクトリノックスのスーベニア:日常で使いこなす技術

手に入れたスーベニアを宝の持ち腐れにせず、最高の道具として使い倒すための知識を深めていきましょう。筆者が長年使い続けて実感している「切れ味の秘密」や、一生モノにするためのメンテナンス術を詳しく解説します。
✅84mmスリムモデルの切れ味を支える鋼材の秘密
✅日常のメンテナンスと20度の角度で研ぐコツ
✅登山やキャンプで役立つ便利な使い方と注意点
✅まとめ:ビクトリノックスのスーベニア
84mmスリムモデルの切れ味を支える鋼材の秘密

ビクトリノックスのブレードには、1.4110(X50CrMoV15)という独自のステンレス鋼が使用されています。
この鋼材は耐食性に非常に優れ、かつ研ぎ直しが容易であるという、実用ナイフとして理想的なバランスを持っています。しかし、スーベニアの切れ味が他のモデルより鋭く感じるのには、鋼材以上の秘密があります。それが「ブレードの幾何学的設計」です。
一般的なマルチツール(91mmサイズ等)のブレード厚が約2.0mm〜2.4mm程度であるのに対し、スーベニアのラージブレードは約1.70mmとさらに薄く仕上げられています。刃が薄いということは、切断対象に刃が食い込んでいく際の「抵抗(ドラッグ)」が圧倒的に少ないことを意味します。
例えば、リンゴやチーズなどの食材をカットする際、厚い刃だと「割り裂く」ような感覚になりますが、スーベニアは「滑らかに断ち切る」という感覚に近い使い心地を提供してくれます。
この絶妙な薄刃設計こそが、精密な工作や軽作業においてスーベニアが「最高に切れ味の良い小型ナイフ」と評価される所以です。大きな力をかける作業には向きませんが、指先の延長のようにコントロールできるその操作性は、一度味わうと病みつきになりますよ。
日常のメンテナンスと20度の角度で研ぐコツ

ナイフは使えば必ず刃が丸くなります。ビクトリノックスのステンレス鋼は適度な粘りがあるため、こまめなメンテナンスで鋭い切れ味を維持しやすいのが特徴です。
公式に推奨されている研ぎ角度は、片角15度〜20度(両角で30度〜40度)です。この角度を維持できるかどうかが、切れ味を左右する生命線になります。
理想的な研ぎ方のステップ:
- 角度の固定:砥石に対してブレードの背を少し浮かせます。目安は「10円玉を2枚重ねて挟めるくらいの隙間」を作ること。これが約20度の目安になります。
- 一定の力で:刃のカーブに合わせて、根元から先端まで一定のスピードと力で滑らせます。
- バリ取り:研ぎ終わったら、革砥(ストロップ)や新聞紙で刃先を軽く擦り、目に見えない微細な金属の返り(バリ)を丁寧に取り除きます。
また、スーベニアはラージブレードとスモールブレードの2枚刃構成です。筆者は「ラージは食品や封筒の開封」「スモールは段ボールのテープ切りや工作用」と明確に使い分けています。
粘着剤などで汚れやすい作業をスモール刃に限定することで、メインのラージ刃を常に清潔で鋭い状態に保つことができます。この「役割分担」ができるのも、スーベニアの賢い運用方法ですね。
登山やキャンプで役立つ便利な使い方と注意点

アウトドアの現場において、スーベニアはそのコンパクトさを活かした使い方が輝きます。
例えば、登山の行動食のパッケージ開封、細引き(ロープ)のカット、あるいは鉛筆のように木を削ってペグの補修をするなど、ちょっとした作業にサッと取り出せる機動力は抜群です。しかし、軽量・スリムゆえの限界も知っておかなければなりません。
スーベニアは刃を固定する「ロック機構」を持たないスリップジョイント式です。これは世界各国の法規制に適応しやすいメリットがある反面、使い方を誤ると危険を伴います。特に、刃の背の部分に上から強い荷重がかかると、意図せず刃が閉じてしまい、指を挟んで大怪我をするリスクがあります。
安全に使うための鉄則:
- 「突き刺す」動作は厳禁:先端に強い負荷がかかるとバネが外れやすくなります。
- ハードワークは避ける:太い枝を切り倒すような作業には、より大型でロック機構付きの111mmモデルや130mmモデルを使いましょう。
- 常に刃の向きを意識:刃が閉じる方向に力がかからないよう、常に切断方向をコントロールしてください。
道具の特性を理解し、その範囲内で最大限の性能を引き出す。これこそが、登山者としてのリテラシーであり、スーベニアという繊細な名品を楽しむための嗜みかなと思います。
(出典:警視庁「刃物の話」)によれば、正当な理由なく刃物を携帯することは法律で禁じられています。キャンプや登山といった目的がある場合に限り、適切に保管・携行するように心がけましょう。
🔶残念ながら、現在ECサイトでは在庫切れのようです。100年以上にわたって、機能性の象徴とされてき(↓↓画像はクラシック SD ALOX)を紹介します。検討してくださいね。
まとめ:ビクトリノックスのスーベニア

本記事で深く掘り下げてきた「ビクトリノックスのスーベニア」は、単なる小さなナイフではなく、140年にわたるスイスの職人魂と、歴史的なストーリーが凝縮された一品です。
84mmという絶妙なサイズ、アルミモデルが実現した5.38mmという極薄のボディ、そして薄刃が生み出す至高の切れ味。これらは、現代の複雑すぎる道具に対する一つの明確な答え(アンチテーゼ)のようにも感じられます。
赤いアロックスモデルのようなヴィンテージを探してその歴史に浸るのも良し、現行のエクセルシオールを日々使い込んで自分だけの道具に育てるのも良し。どちらにせよ、このスリムなナイフは、あなたのポケットの中で主張しすぎることなく、しかし確実に「いざという時に頼れる相棒」になってくれるはずです。
これからスーベニア(エクセルシオール)を手に入れようとしている方は、ぜひその薄さと軽さを体感してみてください。きっと、今までの装備選びの基準が変わるほどの衝撃を受けると思いますよ。
詳細な仕様や現行モデルのバリエーションについては、必ずビクトリノックス公式サイトで最新情報をチェックしてくださいね。それでは、皆さんのアウトドアライフが、この小さな名品と共に、より豊かでスマートなものになることを願っています!
筆者の独り言:
最近はミニマリストという言葉が流行っていますが、スーベニアこそが「ミニマリズムの原点」ではないかと筆者は思っています。必要最小限の機能美。これこそが、飽きずに一生使い続けられる最大の秘訣なのかもしれません。



